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空気読め。

文責:W.KOHICHI





時は江戸時代。
米問屋『桔梗屋』を巡り繰り広げられる騒動。
浪人の秦野と松本は穏便な解決を目指して奔走する。
そんな折、桔梗屋の娘・志乃が何者かに攫われた!
秦野は桔梗屋と護衛の松本に急を知らせに走る!

「松本! ……うっ、これは一体!?」
「秦野! 桔梗屋が闇討ちに遭った!」
「犯人は何者だ?」
「分からん。桔梗屋は覚えがあるようだが……おお、桔梗屋! しっかりしろ!」
「うう……ま、松本さま……秦野さま……」
「傷は浅いぞ、今秦野も来てくれた!」
「ああ、……それが、志乃が攫われたようなのだ」
「何!?」
「ええ!?」
「こちらも犯人は不明だが、桔梗屋が何か知らぬかと思って……」
「は、秦野さま……娘を、娘をお助け下さい……!」
「ああ、必ずや」
「待て、桔梗屋、お前を斬ったのは誰だ!? 言ってくれ!」
「ど、どうか、娘を……」
ガクッ。
「桔梗屋!」
「桔梗屋!」
「ええい、話してくれなかったか……おい秦野!」
「なんだ」
「なんだではない、どうして桔梗屋にとどめを刺すような事を言った!」
「いや、早めに言っておいた方がいいかと思ったのだ」
「状況を読まんか! 桔梗屋から闇討ちの犯人に付いて聞けなかったではないか!」
「いや、……すまん」
「すまんですんだら奉行所はいらんわい!」

……事件は結局、桔梗屋が闇討ちにより命を落とした事により迷宮入り。志乃も戻らず。
桔梗屋は主人を失い、潰れた。
この件に付いて、2人の浪人が事情に詳しいとの報を掴み、奉行所ではこの2人の行方を追っている。



<終わり>


後書き

TVの二流時代劇にこういうのに近いシーンがありました。その話は見事解決するんですけどね。
痛切に突っ込みましたよ、「空気読めよ!」って。
アホな話ですが、現実にこういう事がないように祈ってます。反面教師にしてもらえればいいなあ。……なんてね。


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