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奇妙な密室での死

文責:W.KOHICHI





「駅前の探偵事務所の高上さん、脳溢血で亡くなったんですって?」
「ええ、まだ若かったのにお可哀相に」
「なんでもトイレに行ったっきり戻ってこないんで、不審に思った事務員さんが声を掛けたんだけど返事がなくて」
「へえ……それで?」
「この暑さでしょ? 中で熱中症にでもなったのかと思って、鍵を開けてみたら、もう……」
「あらあら……」
「まあほら、気張り過ぎたんでしょうね、多分」
「サスペンスドラマのオチには絶対使えない亡くなり方ね」
「そんなドラマ作ったら脚本家は袋叩きよ……ある意味ではサスペンスチックだけど」
「ホント同情するわ……共感はしないけど」
「まあ、ね……」
「まさしく憤死ってわけね。トイレだけに」
「……いやそれは不謹慎よ。上手いとは思うけど」



<終わり>


後書き

……おかしい、最初は真面目に密室殺人事件の小ネタを考えていたのに、何故こんな形になってしまったんだ。
やはりサブタイトル『トイレでの死は密室殺人っぽくないかね? フン!』なんてのを思い付いてしまったのが躓きの始めか。
この下に更に、「トイレに入ってたら洪水で流されて死亡」なんてネタを考えていたのは君と僕だけのヒミツだ。


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