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初音ミク and Future Stars Project mirai プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


セガ発のリズム・アクションゲーム、兼、「ボーカロイド」初音ミクのプロモーションビデオソフトウェア。
メインはあくまでもリズムゲームである……とは言い難い。最も適切な表現としては、「初音ミクを愛でるソフトウェア」なのではないかと思われる。
この表現でもって、このゲームの内容はほぼ形容出来るのであるが、以下の文章で詳しく内実を述べていこうと思う。

さて、まず、私はボーカロイドやら初音ミクやらに付いての知識を殆ど持たない文盲漢である。
故に、このゲームに付いては、自分の感性をもって当たるしかなく、またそういった感想を述べる事しか出来ない。
その私が見て、このゲームは少なくともリズムゲームとは言えない。そういう側面は確かにあるが、メインとは表す事は少し無理がある。
強いてリズムゲームとして見ると、足りない部分がやや目立つ。プレイヤーが調整する事により変化を加える事は出来るが、おまけと表現するのが適切ではあるまいか。
では、リズムゲームはなんのおまけであるか。それは即ち、初音ミクのプロモーションビデオのおまけである。
これは決して偏った見方ではない。その証にビデオ鑑賞モードがある。これに対する力の入れ方が半端ない。
少なくともリズムゲームよりお金と力を注いでいる事であろう。どうしてそう分かるのかと言えば、見て分かるのである。

次に……私は、ネットビデオ再生コミュニティ「ニコニコ動画」に付いての知識も殆ど持っていない。そもそもアカウントさえ持っていない有様である。
別にそれを恥じる必要は全くないが、このゲームにおいてニコニコ動画に対する知識がないと、或いは理解不能になる側面があるのではないであろうか。
初め私は、このゲームにおけるすれ違い通信での肝、「コメント投稿」というのがどういう魂胆か分からなかったが、これがどうやらニコニコ動画におけるコメントの付け方に由来するらしいのである。
ただ、正直言ってこの試みは失敗に終わっているようにも見える。ニコニコ動画でなら兎も角も、3DSの不確実なすれ違い通信でそれをやろうというのは無理があろう。
それ以外にも、ミクの歌う歌の中でも、それらしき概念を表す歌詞というか節がところどころに見受けられる。
尤も、こちらは、いやこちらも知らずとも、さしたる問題はないのではないかとも思えるのであるが……。

弱点というか欠点というか、弱いところとしては、底の浅さというか全体的な小粒感が漂うのが少々惜しい。
キャラクターは愛らしいし、歌もその歌詞も悪くない。曲数もそれなりに揃ってはいる。ビデオの出来も良いし。
それらを踏まえても、なんと言うか……逆にそれだけ、というような印象を受けてしまう。ゲームとして見ないのであれば寧ろ良かったのかもしれない。
他に残念な点としては、しょっちゅうセーブが入りテンポがやや宜しくない事や、曲数を増やすためにゲームプレイとやり込みを余儀なくされる事などが挙げれる。
特にこの、ゲームのやり込みを余儀なくされる点は実にダメな点である。既に述べた通り、これはゲームと言うよりはビデオビューワーと言った方が正確なところであるからして。
力の入れ方、入れる方向性を見誤ったとも見えてしまう、ちょっと残念なソフトウェアであった。


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