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セブンスドラゴン3 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


セガ社が出した、シリーズモノゲームの第3弾にして最終作が当作品、『セブンスドラゴン3』である。
聞きかじりではあるものの、『1』『2』『3』と全部異なったハードウェアでの発表であったはずであり、当作品は3DSにホームを移しての作品である。
ゲームの印象としては、オリジナリティ半分、どこかで見たパターン半分と言った按配と言った感じである、以下に、その内実を述べていってみたい。

ストーリーの大筋としては、何処からか襲来した竜を退け、世界を再構築すると言ったもの。
筋書きに齟齬・妙な点は見られず、大体良く練り込まれたストーリーと言って差し支えない。
ただ、プレイヤーの分身にあたる主人公のスタンスに、正直違和感を覚える。はっきり言って、この点だけででもゲームの出来のスコアが半減している、とまで言っても良いレベル。
主人公と言うからには、確固たる個体か、或いは敢えてあやふやにしてプレイヤーの投影にするかのどちらかにすべきであるが、このゲームはその両取りをやってしまっている。
恐らく製作サイドとしては「プレイヤーの意志」を重視したかったのであろうが、意思決定の断絶が酷い。プレイヤーか、主人公か、誰が決定しているのか分からない有様である。

システム面での売りであろう、自由度の高いキャラクターメイキングも、それと関係のないところでゲームに暗い影を投げ掛けている。
最も宜しくないのが、キャラクターの外見・声・名前をいつでも変更出来るシステム。これが主人公含む総てのキャラクターに適用出来る事で、プレイヤーに混乱と興醒めをもたらす。
考えてもらえれば分かると思われるが、例えば“A”なるキャラクターが、唐突に“E”なるキャラクターに変化して、周りの扱いが何も変わらないと言うのは異常でしかないであろう。
確かに多種多様な外見・声を揃えた以上、いろいろ試せるシステムを作ったのは理解は出来る。しかしその分、違和感のないシナリオを拵えてもらいたかった。
一言で言うなら「誰が主人公だろうと構わない」というシステムになってしまっている。だがそれならばストーリーをなぞる必要はなかった。残念な結果である。

その他の部分、例えば戦闘とかの出来は概ね良い。若干難易度が易しめかもしれないが、それなりに手応えもある。
ボイスも大体パートボイスながら、ここ一番で発言するため特に違和感はない。ただ、サブキャラクターはメッセージが多い反面、ボイスが碌にない事が逆に醒める。
BGMは良質と言って良い。雰囲気にも合っている。ただ、多少数が少ないような印象も受ける。
あと気になる点としては、1パーティー3班で行動するのであるが、時として分離して行動しなければならない場面がある。故に、万遍のない育成と等しい装備の強化が求められる。
設定上は1班目が東京人、2班目がアトランティス人、3班目がエデン人のパーティーであるらしいが、これもはっきり言って要らん設定と言えよう。

先程から否定的な事ばかりを述べて申し訳ないが、これならいっそ、ストーリーかキャラクターメイキングのどちらかをすっぱりと捨て去るべきであったと思っている。
個人的にはストーリーを切るよりキャラクターメイキングを切るべきと思う。ストーリーは割と出来ており勿体ないと思うからである。
シリーズ最終作品がこれか、と思うと何やら物悲しくもある。次回作に期待、とは言えないのであるからして。


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