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A列車で行こう3D プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


調べる限りかなりの古い歴史を持つシリーズ『A列車で行こう』。そのシリーズ最新作が今作『A列車で行こう3D』である。
シリーズの歴史はさておき、今作のジャンルとしては、公称「都市開発鉄道シミュレーション」。個人的に「鉄道」の2文字はなくて構わないと思うが、ここにシリーズの歴史があるのであろう。
ちなみに当方、この『A列車3D』が、当シリーズ初の挑戦となった。故に過去作との比較は出来ないが、その分先入観などのない視点でレビューを届ける事が出来る、はずである。
それでは、以下に今作品の感想を述べていってみたい。順を追って可能な限り分かり易く。

まず、ゲームを手掛ける前、購入前の情報収集の時点から思っていた事であるが、見るからにややこしそう・複雑そう、という印象があった。
これは公式サイトのゲーム紹介を見てもらえればまさに一目瞭然であろう。このシリーズに慣れていない人であれば百のうち九十九はそう思うと思われる。
残念な事に、このゲームは万人向けとは決して言えない。一種のマニアックさを持ったゲームであり、そのややこしさ・複雑さを否定する事は不可能。
無論面白くない、といった意味ではない。適合する人にはとても面白く思えるであろう。ただ、その適合範囲はお世辞にも広いとは言えない。逆にピンポイント主義とも言える類の面白さである。

どういったゲームであるか、という事を当方から説明するのなら、「クリア条件付の都市開発ゲーム」という一言で済ませる事は出来る。ここだけは分かり易く簡素な目的である。
しかしながらその手段は、煩雑、という形容が当て嵌まる。若干宜しくない意味も込めてこの形容がぴたりと来る。
都市開発のために会社経営をする必要がある、と言えば大体合っていよう。より正確には、都市の開発目的のために目的に即した会社経営をする必要がある。
あくまで目的は都市開発、手段は会社経営。それ故、単に自己の会社を大きくするだけではダメであり、柔軟な思考が要求される。

しかし、目的達成するだけのゲーム、では流石に全体の面白さを損なう、と開発スタッフも考えたのか、それが総てというゲームではない。
その他には例えば、目的達成後の都市開発つまり「クリア後の世界」とか、自分の開発した都市を闊歩出来たりとか、交通機関単位のデザインとか、いろいろな事が出来るようになっている。
また、どこまでも目的達成にこだわるやり込みユーザーのために、自分でシナリオを作って遊べる「コンストラクションモード」といったものも用意されている。
と、いった具合に、奥深さはかなりのものと言える。ただし、簡素ではなく、分かり易いといったものでもない。合わないユーザーには受け付け難いゲームとも言えるのでは。

プレイしてみて分かったが、中々面白く感じた。逆に言えば、実際にプレイするまでは、その面白さは分からなかった。
こんなゲームにこそ体験版があれば良かったのに、と痛切に思う。こんな大容量の大型ゲームの体験版を3DSで用意する、という事は無理と分かってはいるが。
新規参入者に対する間口は開かれてはいるものの、決して広い間口ではない。おまけに高価なゲームというわけではないが、安いゲームでもない事もやや痛い。
まずは公式サイトを見てみて、各々に適合しそうがどうかを判断してもらいたい。私から言えることはこの程度である。良くも悪くもお薦めは出来かねるので。


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