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リーナのアトリエ 〜シュトラールの錬金術師〜 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


ガスト社の人気シリーズが満を持して登場……と言う程でもないな。前作が出たのが2009年3月、今作が出たのが同年12月だし。
まあ、今作と前作の間に関連性はないと思われるので、別段意識する事ではないだろう。
ジャンルはロールプレイング、のようなもの。単純なロールプレイングではないが、大きく括るとロールプレイングというジャンルになる、という意味。
ストーリーとしては、妖精の森の放火犯に間違えられた主人公と幼馴染みが森の復興を目指して頑張る、という筋書き。
設けられた三年間の期限の中で、妖精の森の復興の手伝いをしたり、モノの調合をしたり、とまあいろいろやれる。

今作のキャッチフレーズというか目玉というか、とにかくそんなものの一つに「行商」というものがある。主人公は錬金術師兼行商人、といったスタンスで話は進む。
だがはっきり言って、このゲームにおいて行商、或いは商売という匂いは全くしない。もしくはガストが行商という概念を根本から分かっていない。
勿論私にも総て分かっているわけではないが、少なくとも行商とは「A市の産物をB市で売って利鞘を得る」というような感じであり、「自分でこしらえたものをA市で売って利鞘を得る」というような感じではないはずだ。
つまり行商とは謳っているが、やる事は連綿と続いてきた「アトリエ」シリーズでやる、いつもの行為と言えよう。

仲間に出来るキャラクターは9名。そのうちから2名を選抜してパーティーを組む。ちなみに1人で旅立つ事も出来るが、単に自殺的行為でしかない上にメリットもない。
キャラクターには友好度があるのだが、それがどういう意味を持つのか今一つ不明。友好度が高いと固有イベントが発生する、というような感じと推測するものである。
残念な点として、全部のメンバーをパーティーに入れたわけでもないので断言は出来ないものの、仲間同士の会話はほぼないと言っていい。逆にリーナと他キャラクターの会話は豊富。
また、各街の店員が過ぎたるがまでに個性的。ミニイベントまであるという気の入れよう、インパクトはかなり強い。しょっちゅう一言喋るし。

ゲームの目的の中核とも言えるのが「妖精の森復興」であるが、この目標は非常に手間が掛かるように出来ている。正直、並大抵のプレイでは目標達成は無理だろう。
しかしこのゲームには、一部のアイテム・所持金を引き継いでプレイ出来る二周目以降が存在する。一周目で目的達成出来ずとも、二周目からはぐっとゲームの難易度が下がる。
とは言え、「妖精の森復興」はゲーム目的の核ではあるものの、絶対にやらなければならない目的ではない。何をやろうとプレイヤー次第。良く言えば自由度が高く、悪く言えば無責任。
本気で「妖精の森復興」を目指すなら、次周回を見据えた計画的なプレイが必要になるだろう。逆に何度でも行き当たりばったりでも構わない。

当然と言うべきか、マルチエンディング方式をとっており、プレイスタイルに応じてエンディングが変化する。
このゲームを極めたとは言えないながら、エンディングは基本的に主人公の立場で繰り広げられるようだ。これはつまり、他キャラクタ−の出る幕はほぼないという意味。
クリア後にはタイトル画面からおまけモードに入る事が出来る。一枚絵やBGMなどを観賞する事が出来るぞ。
と、まあ、なんというか……あまり「アトリエ」シリーズとしては目新しくもないな、という出来だった気がする。面白い事は面白かったのであるが。
シリーズのファンにならお薦め出来るだろう。バグとかもないようだし、入門にもちょうど良いのでは。


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