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バトルアスリーテス大運動会
トレーニング時メッセージ集

文:W.KOHICHI


【前書き】

『バトルアスリーテス 大運動会』……セガサターンのゲームで、いろいろ微妙なゲームです。私の評価としてはプラス分とマイナス分が相殺しあって(九段階中)『中の中』というところでしょうか。
ジャンル的には、育成シミュレーションです。
よくも悪くも、とてもセガサターンらしいゲームだと思います。

さて、内容としては、ほぼ毎日生徒の神崎あかりをトレーニングで鍛えるというゲームなのですが、このトレーニングが不必要なまでに数が揃っているんです。
「不必要」というのは言葉通りで、普通にプレイしてたら選ぶ機会さえないトレーニングも多々。
序盤こそ数は限られますが、最終的には27種類から選べます。
ところが、そのうち有用的なのはせいぜい8つ程。残りはおまけみたいなものです。
しかしこのゲームはトレーニングも楽しみのうち。そう、トレーニング中の教官とあかりの会話も一つのイベントだと思うのですよ。
そこで、多くの人はそこまでやらないと見越して、私がそのトレーニング中のメッセージを列挙してみようと思い立ちました。
これを見て『バトルアスリーテス 大運動会』がやってみたくなったら幸いです。ゲームでは声もついていますので(あかりのみ)、これを見てもお楽しみいただけるかと思います。
心配なのはこういう事をネットで流して大丈夫なのかという事くらいですか。今回は、多分大丈夫だろうと判断して見切り発車しました。
それでは、興味がありましたら御覧下さい。


【注意事項&確認事項】

このメッセージはセガサターン版からの忠実な引用です。
表記の不統一・誤字・脱字が見掛けられますが、それも原文を尊重しての事です。敢えてそのまま載せています。

メッセージの並びは順繰りです。1つのトレーニングにつき5つのメッセージがあるものと思われます。始めに5つが表示され、5つ出尽くすと、5つのうち始めの一つを除く4つから、ランダムに1つづつメッセージが表示されるようです。

改行はゲーム内の表示に準じています。

特に文字の改変などは加えていません。
ただしHTMLでの表現上、レイアウトを変更している箇所があります。御了解下さい。

総てのメッセージを網羅していない可能性があります。その可能性は低いと思うのですが……。


【メッセージ集】

[ランニング]

教官「神崎、おまえ、
 走るスポーツは、得意か?」
あかり「いえ、あんまり………。
 私、どちらかと言えば、お散歩
 とか、歩くスポーツの方が……」
教官「散歩はスポーツとは言わん…」

教官「重心移動をスムースに!!
 腕のふりはコンパクトにまとめ、
 歩幅は一定の感覚を保て!!」
あかり「え、えーと……」
教官「……簡単に言うと、
 しっかり走れ!!」
あかり「あ、わかりやすい♪」
教官「……大丈夫なのか、こいつ?」

教官「……だいぶ、タイムも
 上がってきたな」
あかり「ほ、ホントですか?」
教官「ああ。
 人並みのタイムには、なった」
あかり「よかった!!
 これで私も、人並みですね!!」
教官「そこで喜ぶなよ……」

「べちゃっ!!」
教官「どうして、何もない地面で
 コケるんだ?」

あかり「すう、すう、はく、はく、
 すう、すう、はく、はく……」
教官「神崎、複式呼吸は黙ってやれ」



[腕立て伏せ]

教官「腕立て伏せは、腕力を
 つけるのに最も基本的な訓練だ」
教官「では、始め!!」
あかり「いーち、にーぃ、さーん…」
教官「この運動は、広い場所も
 特別な設備も必要ない」
教官「実にシンプルかつ、
 経済的な運動だ」
教官「俺も訓練生の頃は、
 よくやった」
あかり「つまり教官は、
 お金が無かったんですね?」
教官「………………………………」

あかり「教官、腕力をつけると、
 どうなるんですか?」
教官「そうだな、
 腕ずもうが強くなるな」
あかり「あのー。
 もう少し、女の子らしい
 効果はないんでしょうか?」
教官「女子柔道や、女子プロレスの
 訓練にも最適だぞ」
あかり「……もう、いいです……」

教官「神崎、腰があがってるぞ。
 もっと下げて、身体を直線にしろ」
あかり「でも、下げると…………
 べちゃ、ってつぶれちゃうんです」
教官「それをこらえないと、
 訓練に、ならんだろーが」
あかり「わ、わかりました……。
 うーん……」
「べちゃっ!!」
あかり「……ほら、ね?」
教官「ほら、ね、じゃない!!」

あかり「教官は、腕立て伏せって
 何回できますか?」
教官「除隊するまでは、
 毎日やってたからな……」
教官「あの頃は………
 千回近くまでやってたな」
あかり「すごーい!!
 腕立て伏せの鬼ですね!!」
教官「…おまえ、もっとマトモな
 ホメ方ができないか?」

教官「だいぶ慣れてきたな。
 スピードも上がったし」
あかり「これも、教官のおかげです」
教官「はっはっは。
 俺は、横から見てるだけだがな」
あかり「それも、そうですね」
教官「…………………………」



[エアロビクス]

あかり「こーいう訓練は、楽しくって
 好きです」
教官「こらこら、遊びじゃないんだぞ
 真剣にやれよ」
あかり「はぁーい」
教官「(……もっとも、遊びでも訓練
 でも、出る結果は同じだがな。
 本当に、ミョーなヤツだ)」

あかり「私、リズム感には
 自信あるんです!!」
教官「どれ、やってみろ」
あかり「はっ……ほっ……とっ……
 やっ……」
教官「(……16ビートの音楽に、
 4ビートでついていってる……。
 なんてマイペースなヤツだ)」

教官「(それにしても……
 レオタードか……うーむ……)」
あかり「一緒に踊りませんか、教官」
教官「お、俺にレオタードを着ろと
 言うのかっ!!」
あかり「そ、そんなコト言って
 ませぇん……」
教官「ぜぇ、ぜぇ……(あ、アブない
 妄想にひたってしまった)」

あかり「ダイエットにもなるし、
 一石二鳥ですね!!」
教官「そうだな、はっはっは」
あかり「これなら、ちょっとケーキ
 とか食べても大丈夫ですね!!」
教官「(それは甘いぞ、神崎……)」

あかり「ふぅ、汗かいちゃいました」
教官「そのぐらい動いて当然だ、
 訓練なんだからな」
あかり「そういえば、訓練でしたね」
教官「忘れてたのかっ、
 おまえはっ!!」
あかり「す、すいませぇん……」



[ダンベル]

あかり「ダンベルって、形がかわいい
 ですよね」
教官「かわいい? どのへんが?」
あかり「丸っこいところが……」
教官「そういう感覚には、
 ついていけんなあ」

教官「ダンベルの訓練をすると、
 胸が大きくなるぞ」
あかり「ホントですか?
 がんばろっと」
教官「と、言っても、主に筋肉が
 増えるんだがな」
あかり「き、筋肉ですか……」

あかり「筋肉質になっちゃったら、
 教官、責任とってくれます?」
教官「責任ってなんだ?」
あかり「ん……素敵な男の人、
 紹介してくれるとか」
教官「俺じゃダメか?」
あかり「………………………きゃっ」
教官「赤くなるな。冗談だ」

教官「左右交互に、上げ下げしろ」
あかり「よっ、ほっ、はっ……」
教官「慣れてきたら、ペースを
 上げていけ。
 目標は1秒間に100回だ」
あかり「それは無理ですぅ……」

教官「結構、楽そうだな」
あかり「これも、訓練の成果
 ですねっ!!」
教官「よし、じゃあ、明日から
 回数を100倍に増やすか」
あかり「教官、極端すぎます……」



[片腕立て伏せ]

あかり「教官……これって、
 すっごく疲れます……」
教官「慣れれば大丈夫だ、がんばれ」
あかり「慣れるには、どうしたら
 いいんでしょうか?」
教官「より多く、回数をこなす事
 だな。がんばれ」
あかり「……つまり、続けるしか
 ないんですね」
教官「そういう事だ。がんばれ」

あかり「教官……なんだか、ヘンな
 視線を感じるんですけど?」
教官「き、気のせいだ」
あかり「そうかなあ……?」

あかり「肩が、外れそう……」
教官「外れたら、俺が入れてやる」
あかり「……あのー、優しくして
 くださいね」
教官「優しくしても、痛いのは
 同じだがな」
あかり「ヒドぉい……」

あかり「右手にばっか、
 筋肉ついちゃう」
教官「左も同じ回数やる。
 心配するな」
あかり「それってつまり、普通の倍、
 やるってコトですか?」
教官「そういうコトになるな」
あかり「しくしくしく……」

教官「慣れてきたら、ペースアップ
 しろよ」
あかり「慣れなかったら、ゆっくり
 やってもいいんでしょうか?」
教官「構わんが、ノルマの回数は
 同じだぞ」
あかり「教官のイジワル……」



[クロール]

あかり「……ぷはぁっ!!、
 息つぎって、むずかしい!!」
教官「んー………」
教官「なら、スタートからゴール
 まで、息つぎナシで一気に
 泳ぐってのは、どうだ?」
あかり「死んじゃいますよぉ……」

あかり「教官、水泳って
 全身運動なんですね」
教官「ああ。
 普段使わない筋肉も
 使うからな……ヤセるぞ」
あかり「がんばりますっ!!」
教官「急にやる気がアップしたな」

あかり「もっともっと、
 速く泳ぎたいです!!」
教官「んー……。
 足に、スクリューでも
 つけてみるか」
あかり「それって、ぜったい反則
 ですよね……」

教官「流れに逆らうのが訓練だ!!
 ただし、気をぬくと流されるから
 気をつけろ……」
あかり「きゃあぁぁーっ……」
教官「……ちょっと、遅かったか。
 まぁ、これもお約束だしな」
あかり「たぁすけてーぇぇぇ……」

教官「神崎、その頭についてる
 スクリューも回転させろ!!
 スピードが、上がるぞっ!!」
あかり「これは髪ですったらっ!!」



[室内ランニング]

あかり「室内で走るのって、ちょっと
 味けないですね」
教官「後ろに、背景でも流すか?」
あかり「あ、それいいな。お花畑を
 お願いします」
教官「そんなプログラムは無い」
教官「戦場と断崖絶壁と猛獣のオリ
 なら、あるが?」
あかり「……遠慮しときます……」

あかり「教官、フォーム、チェック
 してくださいね」
教官「空気抵抗が少ない。
 胸が小さいおかげだな」
あかり「……いじわる……」

あかり「何時間でも走れます、
 教官!!」
教官「よし、じゃあ夕食の時間を
 ツブして走るか!!」
あかり「それは、ちょっと……」

教官「調子はどうだ、神崎!!」
あかり「まだまだ、余裕です!!」
教官「よし、じゃあ時速を100キロ
 に上げるぞ!!」
あかり「どーして、そんなに極端
 なんですか……」

あかり「ふぅ、ふぅ、ち、ちょっと
 キツいかな……」
教官「まだまだ!! 他の生徒は、この
 1億倍のスピードで走るぞ!!」
あかり「教官、それじゃマッハこえて
 ますよ……」



[ボディビル]

あかり「これで、脚の筋肉を
 鍛えるんですね」
教官「そうだ。キツいだろうが、
 しっかりやれ」
あかり「あー、なんだかすっごく
 楽です」
教官「座ってるだけだからだっ!!
 ちゃんと動かせ!!」

あかり「脚が太くなっちゃうのは、
 ヤダなぁ」
教官「一緒に、腹も太くすれば
 バランスはとれるぞ」
あかり「もっと、イヤですよぉ」

あかり「んしょ、んしょ……。
 ち、ちょっとひと休み」
教官「ハンパな所で休むと、再開
 するのがしんどいぞ」
あかり「じゃあ、思いきって今日は
 ここまで、ということに」
教官「勝手に決めるなっ!!」

あかり「教官……カラダをきたえる
 のって、たいへんですねぇ」
教官「まだまだ。軍の訓練なんて
 こんなもんじゃないぞ」
あかり「えーっ、私、絶対に軍隊には
 入らないでおこっと」
教官「むこうも、おまえのような
 のんき者は断るだろうな」

あかり「よいっ……しょおぉ!!」
教官「だいぶたくましくなったな」
あかり「嬉しいような、悲しいような
 ……」



[指立て逆立ち]

あかり「教官、指をきたえると、
 どんな効果があるんでしょうか?」
教官「握力が増す」
教官「握力アップは腕力の増加に
 つながり……」
教官「トータルとして身体全体の
 体力に大きく影響するのだ」
あかり「なんだか、
 『風が吹けばおけ屋が儲かる』
 みたいですねぇ」
教官「おまえ、妙なコトを
 知ってるな……」

あかり「教官……おなかが寒いです
 ……」
教官「だから、アンダーシャツを
 着ておけと言っただろう」
あかり「だってアンダーシャツって、
 デザインがオバさんっぽいんだもん
 ……」
教官「いいじゃないか。
 どうせ、いつかは、オバさんに
 なるんだから」
あかり「教官、女心が
 わかってません……」

教官「……神崎……」
あかり「なんでしょうか?」
教官「おまえ、おでこ広いな」
あかり「………教官の、バカっ!!」

あかり「ツ、ツメが割れちゃうぅ…
 ……」
教官「そんなの、ちゃんと切っとけ」
あかり「せっかく、大人っぽく伸ばし
 たのに……」
教官「そういう考え自体が、子供な
 証拠だ」
あかり「教官、ヒドい……」

あかり「か、カラダが思いぃ……」
教官「それは、地球に引力が
 あるからだ」
あかり「引力を発見したのは、
 誰ですか?」
教官「ニュートンだな」
あかり「ニュートンの、イジワル!!」
教官「そんな昔の人に八つ当たり
 して、どーする」



[砂地ランニング]

あかり「いつもの地面より、
 少したいへん……」
教官「その大変が、おまえを成長
 させるのだ。走れ、神崎!!」
「べちゃっ!!」
教官「……誰が転べと言った……」

あかり「気をつけないと……。
 足、くじいちゃう……」
教官「俺に言える事は、一つだけだ。
 『気をつけろ』!!」
あかり「……ご忠告、ありがとう
 ございます……」

あかり「ち、ちょっとだけ、
 走りにくいかな……?」
教官「ちょっとだけならいいな、
 よし、走れ!!」
あかり「教官って、大ざっぱです…
 ……」

教官「そろそろあがるか、神崎!!」
あかり「だいじょうぶです、
 まだやれます!!」
教官「どうしたんだ、今日は熱心
 じゃないか。
 おまえらしくもない」
あかり「どーゆぅ意味ですかぁ」

あかり「こ、転びそう……」
教官「転ぶな、といっても、
 転ぶんだろうなぁ……」
「べちゃっ!!」
教官「……ほんっとに、わかりやすい
 ヤツだな」



[新体操]

あかり「レオタードなんて……。
 ちょっぴり、恥ずかしいです」
教官「水着は平気なのにか?」
あかり「水着とレオタードって、全然
 違うじゃないですか」
教官「同じに見えるがなぁ……」

教官「もっと優雅に、美しく、華麗に
 演技するんだ!!」
あかり「と、言われても……。
 具体的に、どうすればいいんで
 しょうか?」
教官「……それは、自分で考えろ」
あかり「ズルぅい……」

あかり「スティックって、扱いづらい
 ……」
教官「他の道具にするか?
 鉄球とムチとクサリガマが
 あるが?」
あかり「教官、なんだか新体操を
 誤解してませんか?」

あかり「髪、まとめとけば
 よかったかなぁ」
教官「いっそのこと、丸坊主に
 すればどうだ?」
教官「ジャマにならないし、
 手入れも楽だし、さっぱりするぞ」
あかり「………………………………
 イヤです……」

あかり「教官、私、上手にできて
 ますか?」
教官「まだまだ!!」
教官「そんなワザでは、相手の
 息の根を止める事はできんぞ!!」
あかり「教官、新体操は格闘技じゃ
 ないんですから……」



[背泳ぎ]

あかり「教官、ほらほら、
 背泳ぎですよぉ」
教官「背泳ぎ?
 どうして背中が水面に
 出てるんだ?」
あかり「これは胸ですっ!!
 もー、失礼な……」

あかり「ああ……いい気持ち。
 なんだか、のんびりしちゃう」
教官「……………………」
あかり「くかー……」
教官「泳ぎながら寝るなっ!!」

あかり「泳ぐのは苦手だけど、
 こういうのは楽しいです」
教官「……まあ、溺れないだけマシだ
 と思っておこう」

教官「しかし……こんなにのんきで
 いいのだろうか?」
あかり「教官、いっしょに
 泳ぎませんか?」
教官「だから、遊んでるんじゃ
 ないんだぞっ!!」

あかり「……教官、でも、背泳ぎじゃ
 トライアスロンには勝てませんね」
教官「そうだ!! よし、今から犬かき
 に切り換えるぞっ!!」
あかり「それも、ちょっと、
 違うような……」



[つなわたり]

教官「綱渡りは初めてか、神崎?」
あかり「はぁ」
教官「なにごとも経験だ、
 ここでやっておくとイザという
 時に、役に立つぞ」
あかり「それって、どんな時なんで
 しょうねぇ……?」

あかり「教官……。落っこちたら、
 受け止めてくださいね」
教官「なんか、腕が折れそうだな」
あかり「ぶー!!
 私、そんなに重くないですよぉ」

あかり「な、なんだか、下から見られ
 ると……恥ずかしいですぅ……」
教官「そ、それは、おまえにやましい
 心があるからだ。」
教官「く、訓練に集中していれば、
 恥ずかしくなんかないないない」
あかり「? 教官、何をあわててる
 んですか?」

あかり「やってみると、けっこう
 難しいですね」
教官「綱の上を渡って、A地点から
 B地点に移動するだけだろう。
 なにが難しい?」
あかり「じゃあ、お手本見せて
 くれますか?」
教官「……ううっ、急におなかが
 痛くなった……」
あかり「お子様みたいなゴマかし方
 しないでください……」

あかり「よっ……とっ……、
 ちょっぴりコワいかな?」
教官「怖い時は、楽しい事を考えろ」
あかり「はぁ。……教官、世界中の
 雲が綿菓子だったら、みんなで
 食べきれますか?」
教官「……それが、おまえにとって
 楽しい事なのか?」



[玉乗り]

あかり「…んっ……バランス取る
 のって、結構ムズかしいですね」
教官「そう言ってるわりには、
 ちゃんと乗ってるじゃないか」
あかり「これなら、サーカスに
 入れますね」
教官「今から入ってどーする」

あかり「なんだかこの訓練、
 楽しいです」
教官「目的を見失うなよ、神崎」
あかり「はい、次は空中ブランコに
 挑戦します」
教官「いきなり見失っとる
 じゃないか!!」

あかり「よっ……ほっ、はっ、
 上手ですか、教官」
教官「あぁ。
 おまえ、前世ではサーカスに
 いたのかもな」
あかり「玉乗りのピエロですか?」
教官「いや、玉乗りの象だろう」
あかり「どーゆぅ意味ですかぁ……」

教官「だいじょうぶか、神崎?」
あかり「平気です。
 転んだりなんかしませんよーだ!!」
教官「何もないとこではコケる
 のになぁ……わからんヤツだ」

あかり「あはっ、OKOK。
 楽勝です!!」
教官「調子に乗るなよ、神崎」
あかり「はい、玉に乗ってます」
教官「……つまらないぞ、神崎」
あかり「すいません……」



[タイヤ]

教官「これは、タイヤという。
 昔の車は、これを回転させて
 地面を走っていたんだ」
教官「それが今では、こういう訓練
 以外では、めったに使わない
 アイテムとなった……」
あかり「フツーのウェイトじゃ、
 ダメなんですか?」
教官「バカ者!! 20世紀の昔から
 訓練で引っ張るのはタイヤに
 決まってる!!」
教官「これは、人類の約束だ!!」
あかり「そ、そうなんですか……」

教官「スピードを上げろ!!」
あかり「はいっ!!」
教官「このタイヤが、地面につかない
 くらい速く走れ!!」
あかり「そ、それは無理です……」

あかり「レディー、ゴー!!
 ……うーん!!」
教官「ゴーと言ったんなら動け、
 神崎」
あかり「お、重くて……」

あかり「タイヤの1つや2つ、
 平気です!!」
教官「これは3つだぞ、神崎」
あかり「おっ、重いぃ……」

あかり「走ります!!
 夕日に向かって!!」
教官「今は昼だぞ、神崎」
あかり「じゃあ、太陽に向かって!!」
教官「太陽は空だぞ、神崎」



[重量挙げ]

あかり「バーベルって、あんまり
 かわいくないですよね」
教官「だから、その基準はどこに
 あるんだ?」

教官「筋肉は、使わないと退化する。
 だが、使いすぎても逆にしぼんで
 しまう……」
教官「無理せずに、自分の限界を
 見据えて訓練しろ」
あかり「も、もう限界ですぅ……」
教官「早すぎるぞっ!! まだ2回しか
 やっとらんだろーがっ!!」

教官「『心頭滅却すれば、
火もまた涼し』の精神だ。
重いと思うな、軽いと思え!!」
あかり「……やっぱり、重いです…」
教官「……ま、そりゃそーだな」

あかり「んー、んー、お、重いぃ…」
教官「がんばれっ!!
 あと50回だっ!!」
あかり「もう少し、おまけして
 くださぁい……」
教官「よし、あと60回だ」
あかり「いや、増やすんじゃくて…」

あかり「なんの……これしきいっ!!」
教官「その意気だ、がんばれっ!!」



[バタフライ]

教官「この器具は、
 名称をバタフライという」
教官「腕を開閉する様子が、チョウの
 羽ばたきに似ているからだ」
教官「どうだ、勉強になるだろう」
あかり「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」
教官「聞いてないな、おまえ」

あかり「こ、これは、
 どこを鍛えるんでしょうか?」
教官「腕、胸、背中の筋肉が
 鍛えられる。お得だぞ」
あかり「その分、重いです……」
教官「立派な筋肉質になれるぞ」
あかり「あんまり、なりたくないです
 ……」

あかり「んー……、ぐー……
 よいしょぉ!!」
教官「声だけがんばってないで
 力を入れろ!!」
あかり「わ、わかりましたか?」

あかり「教官……。
 これって、重すぎませんか?」
教官「よくわからんから、重りを
 全部つけといた」
あかり「そんなああぁぁ……」

あかり「んー、んー、動かないぃ…
 ……」
教官「がんばれ。
 俺はいつでも見守っているぞ」
あかり「どうせなら、助けてください
 ……」



[バンブーダンス]

あかり「これって、当たっちゃ
 ダメなんですよね」
教官「当然だ。
 うまくかわしてみせろ」
あかり「……あ、いきなり当たっちゃ
 いました……」
教官「せめて、1本ぐらいかわせよ
 ……」

あかり「も、もっとゆっくり
 動かしてぇ……」
教官「どのくらいだ?」
あかり「えーと……秒速1センチ
 ぐらい……」
教官「それじゃ止まってるのと
 かわらん!!」

あかり「あぁーん、髪がさわっちゃう
 ……」
教官「髪も、当たると判定に
 なるからな。
 あ、その頭の触角もだ」
あかり「これも、髪ですよっ!!」

あかり「教官、バーのスピード、
 上げてませんか?」
教官「よく気づいたな、神崎。
 見事な洞察力だ」
あかり「えへへ、それほどでも……」
教官「ほうびに、バーのスピードを
 倍にしてやろう」
あかり「そんなごほうび、
 いりませぇん……」

教官「神崎、右だ、左だ、
 そら、後ろからも来るぞ!!」
あかり「……とっ、……はっ、
 ……おっと…」
教官「よし、そこでバック転して
 前転して、側転してかわせ!!」
あかり「む、無理ですぅ……」



[ローラー]

教官「これは、ローラーと言う」
教官「もともとは、グラウンドを
 整備するものだったが、今では
 特訓用のアイテムとなっている」
あかり「……どうして、こんなに
 大きいんですか?」
教官「最初は、もっと小さかった
 んだが……」
教官「トレーニング用に改良されて
 いるうちに、こうなったらしい」
あかり「改良って言うんでしょうか?
 こーゆーのって?」

教官「根性が足りん!!
 気合を入れろっ!!」
あかり「もう少し、具体的な指導を
 してくださいぃ……」
教官「んー…………ガッツだ!!」
あかり「わ、わかんない……」

あかり「がんばります、
 たりゃああぁぁ!! ぬああぁぁっ!!
 おおぉっ!!」
教官「かけ声だけは合格だ、神崎」

あかり「努力!! 根性!! 勝利!!
 ちりゃああぁっ!!」
教官「しかし、やっぱり筋力も
 必要だな、神崎」

あかり「きょ、教官!!
 動きましたっ!!」
教官「よしっ!!
 後は、おしツブされないように…」
あかり「きゃああぁぁっ!!」
教官「……あ、遅かったか」



[スライム]

あかり「……はぁぁっ!!
 これって、なんのプール
 なんですかぁっ!?」
教官「んー……説明書には………」
教官「『水の粘度を上げた特製液体!!
 アナタの生徒も楽々実力アップ!!』
 と書いてあるが………」
あかり「ぜんぜん楽じゃ
 ありませぇん……」

あかり「うくっ……。
 少し、飲んじゃった……」
教官「成分は、人体に無害
 だと書いてある。
 安心して飲め!!」
あかり「いりませぇん……」

あかり「あぁーん、髪が重い……」
教官「シャンプーとリンスを
 用意しておく。
 存分に泳げ!!」
あかり「その前に、溺れちゃいそう…
 ……」

あかり「教官、な、なんか全身
 ヌルヌルしますっ!!」
教官「粘着質の液体だからな。
 ガマンしろ」
あかり「そんな、一言でかたづけ
 ないでください」
教官「耐えろ。こらえろ」
あかり「しくしくしく……」

あかり「本当に、他の人もこんな訓練
 してるんでしょうか……?」
教官「そういえば、
 人が見当たらないな」
あかり「私だけこんなコトしてたら、
 なんだかバカみたい……」
教官「何を言う。
 他のヤツらに差をつける
 チャンスじゃないか」



[木人拳]

あかり「きゃーっ!! ちょ、ちょっと
 待ってくださいっ!!」
教官「四方八方のダミーから
 繰り出される攻撃!!」
教官「それをかわす事によって、
 獣のように鋭い反射神経が
 身につくのだ!!」
あかり「い、いたい、あぁん、
 頭、ぶったぁ!!」
教官「……ま、かわせなければ、
 痛いだけだが」

あかり「こんなにいっぱい、
 いるなんてズルいです」
教官「1対1じゃ、訓練に
 ならんだろうが。
 相手は人形なんだから」
あかり「でも、スピードは私と同じ
 くらいじゃないですか」
教官「それは、おまえがニブいんだ」
あかり「ヒドいぃ……」

あかり「こ、こないで!!
 きちゃダメぇーっ!!」
教官「こらっ、ちゃんと戦え!!」
あかり「暴力反対!!」
教官「訓練だと言っとろーがっ!!」

あかり「な、なんだか、アクション
 映画みたいですね」
教官「アクション映画は、主人公が
 勝つもんだが……」
あかり「ふぎゃっ!! い、痛ぁい…」
教官「ウチの主人公は、
 これだからなぁ……」

あかり「どうせなら、もっと可愛い
 お人形がいいです」
教官「どんなんだ?」
あかり「フリルがついたのとか、
 リボンつけてるのとか……」
教官「そんなんが殴りかかって
 きたら、かえって不気味だぞ」



[リンボーダンス]

あかり「きょおかぁん……。
 これって絶対に訓練じゃない
 ような気がするんですけど……」
教官「言うな!!
 俺もあんまり自信がないんだ!!」
あかり「そ、そんなぁ……」

あかり「あぁん、熱ぅい……。
 ヤケドしちゃう……」
教官「神崎、こんな時は
 『風林火山』の心を持て!!」
教官「『疾きこと風のごとし』
 『徐かなること林のごとし』
 『侵掠すること火のごとし』……」
教官『動かざること山のごとし』
 ……だ!!」
あかり「……それって、何か関係
 あるんでしょうか?」
教官「…………あんまり、ないな」

あかり「これって、本当にリズム感が
 よくなるんでしょうか?」
教官「何を言うか、おまえには、
 このプリミティブなビートが
 聞こえないのか!!」
あかり「そんな余裕、ありませぇん…
 ……」

あかり「こんなの………絶対
 無理ですよぉ……」
教官「一度や二度の失敗を
 恐れるな!!」
あかり「恐れますよぉ。
 失敗したらヤケドしちゃう
 じゃないですか……」

あかり「教官、この訓練、
 誰が考えたんですか?」
教官「校長だ」
あかり「校長先生の、バカっ!!」
教官「……まあ、あえて否定は
 しないでおこう……」



[バンジージャンプ]

あかり「教官……
 これって、絶対に『反射神経』
 とは関係ないと思います」
教官「神崎、俺もそう思うぞ」
あかり「じゃあ、ヤメましょうよぉ」
教官「そういうワケにはいかんのだ。
 そら、あきらめて飛んでこい!!」
あかり「きゃあぁーあー!!!!」

あかり「教官、ロープちゃんと
 結んでますよねぇ」
教官「……あっ」
あかり「『あっ』って、
 なんですかぁ!!」
教官「いいじゃないか、飛ぶ前に
 気づいたんだから」
あかり「あ、アブなく死ぬ
 トコだった………」

あかり「教官、いっぺん一緒に
 飛んでくれませんか?」
教官「ダメだ」
教官「女の子と一緒にバンジー
 ジャンプをしてはいけないと
 死んだ父親と約束している」
あかり「絶対、ウソだぁ……」

教官「神崎、1、2、3で飛ぶんだ」
あかり「はぁ……1、……2、……」
教官「いけっ!!」
あかり「2.1……2.2……2.3
 ……」
教官「セコいことやってないで、
 そら、飛べ!!」
あかり「きゃあぁーあーあー!!!!!!
 」

あかり「何回やっても、コワいですぅ
 ……」
教官「そういう時は、
 いい方法が、あるぞ」
あかり「なんですか?」
教官「感覚がマヒするまで飛ぶんだ、
 そら、行け!!」
あかり「きゃあぁーあーあー!!!!!!
 」



[でぞめしき]

あかり「これってぇ……どーゆー訓練
 なんでしょーか?」
教官「どんな状況でも揺るがない
 バランス感覚を習得するのだ!!」
あかり「トライアスロンと、
 関係あるんでしょーかっ!?」
教官「深く考えるなっ!!」
あかり「考えますよぉ……」

あかり「あぁーん……!! お母さん、
 コワいよぉ……」
教官「天国の母君は、今もおまえを
 温かく見守っているはずだ!!」
あかり「どっちかというと、
 心配してると思いますぅ……」

あかり「あ、あとどのくらい、
 こうしているんでしょーかっ!?」
教官「今日の訓練が終わるまでだっ!!
 耐えろっ!!」
あかり「太陽さぁん……。
 早く沈んでくださぁい……」

あかり「お、落ちたら痛いですよねぇ
 ……」
教官「安心しろ。
 この高さならほぼ即死だ。
 痛いと感じるヒマもないぞ」
あかり「全然安心できません……」

あかり「きゃーっ!!
 風でバランスがぁっ!!」
教官「お、落ちつけ、神崎!!
 風がなんだ!! 『子供は風の子』
 というではないかっ!!」
あかり「慌ててるのは、教官ですよぉ
 ……」



[粘着床]

あかり「きょおかぁーん!!
 なんなんですかっ、これはぁ!?」
教官「粘着剤で、コーティング
 した床だ」
教官「ここで走れれば、実力は
 数段アップするぞ!! がんばれ!!」
あかり「が、がんばりようがない
 ですぅ……」

あかり「あぁーん、ネバネバするぅ…
 ……」
教官「洗えば落ちる、気にするな!!」
あかり「髪の毛が、ぐちゃぐちゃぁ…
 ……」

あかり「教官、ホントにこの訓練、
 効果あるんですか?」
教官「俺もちょっと、自信が
 なくなってきた」
あかり「教官……」

あかり「も、もう走れません……」
教官「なら、ほふく前進でもいいぞ」
あかり「も、もっと進めませんよぉ」

あかり「ううっ……。
 負けないんだから!!」
教官「逆境に負けず、突き進む!!
 その心が大切だぞ、神崎!!」
あかり「う、うーん……」
教官「……からだが突き進めば、
 もっといいんだが」



[ムエタイ]

あかり「やあっ!! たぁーっ!!
 神崎キィーック!!」
教官「……なんだ、それは?」
あかり「必殺技ですが?」
教官「……あんまり強くなさそうな
 ワザだな」
あかり「ひっ、どーい!!」

あかり「やあぁっ!! とおぉっ!!
 ……教官、私、ちょっと
 はしたなくなってませんか?」
教官「いや、それは違うぞ」
あかり「はぁ?」
教官「ちょっとどころか、十分に
 はしたないぞ」
あかり「ァー……」

あかり「もっともっと!!
 もっともっと!!」
教官「なにが“もっと”なんだ?」
あかり「もっと速く!!
 もっと強く!!」
教官「(……こいつ、格闘技に目覚め
 たりしてないだろうな……)」

あかり「脚力は、もうバッチリ
 ですね!!」
教官「まだまだ!!」
教官「バッグを一撃で破る
 ぐらいの破壊力がないと、
 熊には、勝てないぞっ!!」
あかり「いつから私、熊と戦う事に
 なったんでしょーか……?」

あかり「これなら、チカンに襲われ
 ても、やっつけられますね!!」
教官「まあ、チカンはもっと大人の
 女を襲うと思うがな」
あかり「そんなにお子様でしょぉかぁ
 ……?」



[カラリパヤット]

あかり「ジャーンプ、アンド、
 キーック!!」
教官「……なんか、この訓練中は性格
 かわるな、おまえ」

あかり「教官、見てください!!
 こんなに足が上がるように
 なりました!!」
教官「んー、しかし、ちょっと
 はしたないポーズだな」
あかり「ヒドぉい。
 教官が、ムリヤリやらせ
 たんじゃないですか……」
教官「(な、なんか誤解をまねく
 ような言い方だな……)」

あかり「高く、もっと高く!!」
教官「そうだ、より高みを目指せ、
 神崎!!」
あかり「はいっ!! 教官!!」
教官「(あー……。
 スポ根してるなぁ、俺)」

あかり「鍛えれば、
 全身がバネになる!!」
教官「いい言葉だ、神崎!!
 誰に聞いた?」
あかり「子供の時に読んだ、
 少女マンガで知りました」
教官「……どんなマンガだったのか、
 すごく気になるな……」

あかり「てあぁぁっ!!」
教官「……………………」
あかり「とうぅぅぅっっっっ!!」
教官「……………………」
あかり「だしゃあぁぁっ!!」
教官「(……もう少し、おしとやかな
 方が、俺としては好みだが……)」
教官「はっ!!
 な、何を考えてるんだ、俺はっ!?」
あかり「はい?」


以上、27トレーニング×5種の、135メッセージでした。


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