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ブルーオアシス プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


一言で言うと、ちょっと目の粗いアクアリウムシミュレータ。まったりとした時間を提供するが、やや粗雑な印象がある。
折角購入したゲームにこういう事を言いたくないのはやまやまなのだが、実際にそう感じられるのだから仕方がない。
まず思うのが水があまりにも透明過ぎる事。よって何もない空間を魚が泳いでいるように見える。
次に思うのが背景や配地物にリアリティが見えない事。どうもぺらんぺらんみたいな印象がある。また、魚は水中の障害物、例えば置石などを幽霊のようにすり抜けてしまう。これもリアリティを著しく下げる要因。
そして、エサにもリアリティがない。落書きのような表現のエサ。辛うじて魚が食べると減るくらいのリアリティはあるが、魚はエサに群がるもののあまり食べているように見えない。結果、かなりの数のエサが地面まで落ちて消滅する。

他にも不満な点はあり、例えば魚個体のズームアップはできるが、エリアのズームアップは出来ない。小さな魚が集まっているエリアを拡大して眺めたくともそれは不可能なのだ。
それに小さい魚はズームアップさせるのが大変だ。魚にカーソルを合わせてAボタンで拡大するのだが、魚が小さいとカーソルを合わせる事から苦労する。この意味でもエリアズームアップは欲しかった。
また、魚は時として画面外の見えないところへ移動する事がある。そうなると見えないしいなくなったも同然。運が良ければすぐ帰ってくるが、これが中々画面内に帰ってこないのだ。
あと、初期配置できる魚の個種が少ないのもやや不満。ゲームを進めるに連れ個種は増えていくらしいが、その条件は全く不明。
更にちょっと贅沢な不満ではあるが、どの魚も対応はほぼ一緒、違う事と言えばエサの違いだけ、というのにも不満である。それはこのゲームの良いところでもあるが少しは工夫させる配慮も欲しかった。

いかん、このゲームに対して良くないところばかりが目に付く。それは勿論事実を述べているだけなのだが、良いところも挙げねば不公正のそしりは免れ得ない。
良いと言うか楽と言うか、魚に付いて知識がなく、寧ろほぼ無知でも全く問題としない簡略さがある。やる事は魚を水槽に入れ、ディスプレイを考え、そして眺めるだけだ。エサをやる必要も必ずしもなく、長期間放っておいても餓死したりする事もない。良い意味で大雑把なプレイスタイルが許されている。
次に魚に肉体感があるように見える。特に拡大すると動きや陰影にやや不自然な点が見られるものの、肉体の厚みがちゃんとある。
また、備え付けのBGMが良い。クラシックから落ち着く曲を揃えており、耳障りにならない適度な演出を醸し出している。欲を言えばサイレントも欲しかったところだが。
ひたすらのんべんだらりと水槽を遠目で眺めるのもまた乙。スクリーンセーバーはオフにしておけば水槽を眺めているという気分になれるし、オンにしておけば魚のアップが写されてそれもまた佳し。せめてスクリーンセーバーが起動するくらいの時間は水槽なり魚なりを眺めていたいものである。


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