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コンビニドリーム プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


アークシステムワークス社から出された、一応の経営シミュレーションゲーム、それがこの『コンビニドリーム』である。
ゲーム内容はタイトルからある程度類推出来るとは思われるが、まあ言ってしまえばコンビニエンスストアの経営。大体そのままであろう。
話は若干横に逸れるが、それにしてもアークシステムワークス社は、小粒なゲームが多いとはいえ、手を変え品を変えいろいろなゲームを出してくるものである。

ゲームの出来はまずまず。シミュレーションの基礎はきっちり押さえてある。やや応用力に欠ける気もしないでもないが、これだけ出来れば及第点を進呈出来る。
どの辺りが基礎を押さえている、と言えるか。まず序盤から随意に店舗拡大は出来ず、一歩一歩の積み重ねによって店舗規模を拡大させていくさまはまさにシミュレーション。
大抵の、そして良識的なシミュレーションは、序盤は自由自在には出来ないしならない。ある意味当然であろう、出来てしまったらゲームの面白さを損ないかねない。

ゲームの取り敢えずの目標は、店舗レベルを50にする事。ただ、決して一本道のゲームではなく、店内のデザインから店舗拡大のタイミングを計る事まで割と自由に出来る。
例えば(進行に当たってやや無理はあるが)店舗の拡大をせず小ぢんまりした店で只管経営を続けても良いし、逆に広い店に碌にモノを置かないプレイも可能と言えば可能。
店が広くなるとその分回転させるのにも労力が生じるため、敢えて店舗拡大しないという手はあるが、ここで言いたい事は極端なプレイも可能である、という事。

最初に「経営シミュレーション」とは言ったが、純粋に経営だけに携わるゲームではない。プレイヤーはコンビニオーナーであり、同時に員数外の店員でもある。
プレイヤーが主に出来る事は、店員に大まかな指示を与える事、空になった棚に商品を補充する事、そして店舗のデザインである。
特に商品の補充は棚出し担当の店員が自動でやってくれるとはいえ、店員に任せ切りにするよりは自分で補充を試みた方が断然早い。店員の手が回らない所に手を回せば良いであろう。

ただ、やはりゲームであるというか、良くも悪くもゲーム的な特徴は強い。リアルではないというか非現実的な部分も多々ある。
例を挙げればそれは、店員の力がパラメータで表記されていたり、迷惑な客をお手柔らかに帰したり、滞りなく無尽蔵に補充出来てしまう品物群だったりとかである。
とは言うものの、これはゲームであるのであるから、リアルではないと憤慨するのは間違いであろう。あまりに現実とかけ離れているのなら怒っても良いが、そこまで遠くない。

ゲームとしての弱点や欠点は特にない。強いて言うならこのゲームは総ての操作をタッチペンで実行する。店内がこずみ過ぎている場合はタッチ失敗の可能性はあるかも。
また、時間経過の変速は可能であるが、一時停止がないのは若干痛い。メニューを開く事で時間停止は可能であるが、時間を止めて店内のデザインを行う事は出来ない。
総合的に見れば中々良いゲームと言えるであろう。800円ならまずまずの値段でもある。やや忙しないゲームではあるが、良質なゲームである。


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