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デビルサバイバーオーバークロック プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


アトラス(現在はインデックス社に所属)の作った、『真・女神転生』系の傍流の1つ『デビルサバイバー』シリーズの第1弾が3DSで登場した。それがこの『デビルサバイバーオーバークロック』である。
『デビルサバイバー』は、元々はDSで出ていたシリーズであり、DSでは『2』も作られている。このゲームは『1』の3DS・アッパーバージョンとでもいうべき形である。
リメイク版、という程には変化は加えられていないようである。公式サイトなどを見ると、あくまでDS版を3DSのプラットフォームに移して、その上で多少の変更を追加した程度のゲームとも言えそうである。
無論、その事がこのゲームのゲーム性を損なう事はないし、私のようにこのシリーズ自体初めてならば、なおプレイに当たって問題は何もない。

ストーリーは要約が難しいが、敢えて言うならば幅の広いドラマティックストーリー。大袈裟な形容でなく人類の行く末をプレイヤーが選択する。
舞台は現代の東京。馴染みのある地名も多々出る。一部地名はストーリーとフィクションの関係により架空の地名を用いているようである。
ストーリーの内実はシビアであるが、それ程極端にきついストーリーという事もない。良くも悪くもCERO指定が「B」だけの事はある。
とはいえ、進め方によっては悲惨な目に遭ったりする事も多く、やはり伊達にCERO指定が「A」でないだけの事はある。

戦闘はなんと戦術シミュレーション方式。初めて聞いた時はどのような風になるのか想像が難しかったがどうという事はない、基本は極尋常なセミ・リアルタイム・シミュレーションである。
ユニットを動かし敵ユニットにぶつけバトルして、勝利条件を満たせばマップクリア、という意味での「極尋常な」作りになっている。
バトル部分は一言で言えば『真・女神転生3』のシステムを受け継いでいる。相手の弱点を突きつつこちらの弱点を突かれないようにする事で、バトルは有利になりボーナスも付く寸法である。
発動タイミングを自在に決めるアクティブスキルや、自動的に発動するパッシブスキルなど、多種多様なスキルを駆使し最終勝利を目指す事となる。

傍流とはいえ『真・女神転生』系だけあり、お馴染みの悪魔合体やら悪魔全書というシステムは健在である。システムの基本に変更なしというところも安心感を添える。
勿論、お馴染みの悪魔やらお馴染みのスキルやらも多く見掛ける。画面下に出るヘルプのお陰で、スキルの内実も把握しやすい。
新要素といえる部分の肝が「デビルオークション」である。これは悪魔が自らをオークションで売り出すという破天荒なシステム。人間が悪魔を出品するといったシステムではないので誤解なきよう。
オークションに並ぶ悪魔の質にはばらつきがあり、ゲーム内時間の経過或いはリセットで悪魔の顔ぶれが変化したりする。無論、強い良質な悪魔程お高い。

実はこのゲーム、ストーリー面に限って言えば、RPGというよりはADV、即ちアドベンチャーゲームともいえる。
1日のうちに動く事の出来る回数に限界があり(正確に言えば時間の制限があり)、その中で何をなすかを良く考えて決めねばならない。下手を打てば人が死ぬ。
先に述べた通り戦闘はシミュレーション、ストーリーパートはアドベンチャー。かなり異質というか斬新な作りである。『葛葉ライドウ』シリーズ並みに異質とも言えよう。あれとはまた異なるものの。
尤も、根底に流れるテイストとでも言うべきものがしっかりとロールプレイングであり、アトラスの『真・女神転生』系に馴染んでいれば、それ程に困惑させられる事もなかろう。

欠点は特にないものの、弱点というかそういうものとして、周回プレイを積極的に採用しているところ、換言すればやり込みを強いる形になっている事が挙げれる。
確かにゲームがいろいろと有利になる引き継ぎ要素が多く用意されており、2周目以降は1周目よりかは楽ではあるが、エンディングの数が多い(3つどころではない)ため、苦難の道である事に変わりはない。
また、シミュレーションRPGというそのジャンル自体、馴染めないという人もいるであろう事も想像に難くない。一種のもったり感とでも言うべきものの存在も否定は出来ない。
しかしながらゲームとしては質が高く買うに値するであろう。ただし、DS版『デビルサバイバー』をプレイ済みの場合、新鮮さはそれ程にないかもしれない事は言っておきたい。追加要素があるとはいえ、根底は一緒のようであるし。


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