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ダービースタリオンDS プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


某ゲーム攻略本からの引用であるが、「どんなに面白いシステムでも、ルールを説明しないと遊んでもらえないよね?」という発言があった。これは至言だと思う。
このゲームもそれに漏れない。競馬がどのようなものか知っている、程度では所詮大前提に過ぎない。つまり「大」が付く程の前提であり、それだけではさっぱりだ。
私は別の競馬ゲーム、もっと言えば『ウイニングポスト』系のゲームをかなりやり込んだ身ではあったが、システムの違うダビスタでは歯が立たなかった。
『ウイニングポスト』系も「ぬるい」とは決して言えないレベルのゲームだというのに、ダビスタは少しばかりユーザーに厳し過ぎるきらいがあるように思えてならない。

このゲームが如何に玄人好みか、言い換えれば素人を寄せつけないものがあるかを理解してもらうには、公式サイトの用語辞典を見てもらうのが一番良いだろう。
よく分からない専門用語(競馬の専門用語ではなくダビスタの専門用語)が多い。特に配合理論に関してはその意味さえもよく分からない。いや意味は分かるが実践できるのか極めて疑問である。
大体、そういう配合理論があるのならそれをマニュアルかゲーム中で説明すべきである。ユーザーは言われなくとも分かっているとでも言うつもりなのか。
如何にニンテンドーDSのゲームとはいえ、いやニンテンドーDSのゲームだからこそ、そういう配慮はきっちりしてもらわねばならない。困る。

恥を晒す話なのだが、私は馬の「適性体重」という概念がある事すら知らなかった。自分で調教していったらどこまでも、それこそ馬体重が400を割り込むくらいまで鍛えられるのである。
当然、そんな状態の馬が勝てるはずもない。しかし一時は本気でそれをやっていたのである。「なんで勝てないのだろう」と首を傾げたのも本当だ。
自分なりに考えた結果、馬が痩せ過ぎなのではないか、という事に思い至った。これに気付いたのは霊感に近い直感だったような気がする。
恥ずかしい話であるが、前提を知らない、という事がどういう事かを如実に表わす話なので敢えて言わせてもらった。システムのルールというものはある程度の説明責任を負うべきだと思う。

システム面、肝心のレース部分にいってみると、バランスの取れている出来だ、とはちょっと言う事が出来ない。
まず戦法。差し・追い込みが有利である。と言うよりも逃げ・先行が露骨に不利を強いられていると言った方が適切。逃げで勝つ事は出来なくはないらしいが、まず出来ないと言える。
従ってどんな馬でも差しを命じておけばほぼ問題ない、という一種のつまらなさを感じさせられる事になってしまった。
競馬ゲームには作品・シリーズを問わずこういう面があるとは言えるが、今作に至ってはその傾向があまりにも顕著であり、フォローのしようがない事は残念である。

そしてレース。飛ばせない。一々スタートからゴールまで見なければならない。如何にシリーズ伝統とはいえちょっとだけきつい。
だがこれは「シリーズ伝統だから」と譲る事がまだ出来るから良い。問題はパドックだ。これは飛ばせるのだが、1頭1頭は飛ばせないのだ。
自分の馬の状態が知りたい時、16頭立てで16番の馬の状態が知りたいなら、16頭全部を見る必要があるのである。これはきつい。
他のシリーズでは飛ばせるらしいのに、何故今作では飛ばせないのか理解に苦しむ。致命的とまでは言わずとも、欠陥と言う事ができるであろう。

……とまあ、こんなにも文句の付けどころがあるゲームではあるが、知って覚えて慣れればそれなりに楽しめる。
カートリッジだけあって起動もセーブもロードも早いし、携帯機でどこででも楽しめるというのは大きな長所。
ただやはり、DSのゲームだけあって、長時間やり込むと目が特に疲れる。そこら辺は適切な自己管理で補いたい。
ゆっくりと、心に余裕を持ってプレイするのが上達のコツ。ファンならば買いと言う事が出来よう。


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