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ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


見た目は実にダサいと言うかヘボいと言うか、ビジュアル的には今一つな、スクウェア製のロールプレイングゲーム。
こんなバージョンを「USA」などと銘打ったりして、向こうの人は立腹しないのかしらん、と要らん心配さえ覚える。
更に見た目に比例してと言うべきか、中身までもがなんか大雑把。少なくとも唐突感が強い。
と、誉めるところが一見だけするとないのであるが、それでも実際にプレイすると何故か、本当に何故か楽しいというある意味詐欺のようなゲームが本作である。
しかし、「やればわかるさ」ではあまりにもレビューとしての体をなしていないので、出来る限りその内容に付いて述べてみたいと思う。

始めに述べた通り、見た目は今一つ。美しいとは言えない程度のビジュアルである。
それに加え、主人公キャラクター(名称は任意)が、やたら大袈裟なアクションを取る。宿屋に泊まると踊ったりとか、肩をすくめて両腕を上げるポーズを取ったりとか。
肩をすくめて両腕上げるポーズ、USAっぽいと言えばそうなのかもしれないが、見るたびに苛立ちを覚えるのは私だけであろうか。いや、そんな事はないはずである。
ゲームの基本はロールプレイングであるが、マップ上の移動には、木を切り倒したりジャンプしたりといった、ちょっとしたアクション要素もある。
その他は極尋常なシステム。留意するなら、経験値を積んでレベルアップするのは主人公だけで、一時的に加わる仲間はレベルアップしない。
付け加えるなら、BGMはとても良いと感じた。見た目に反してと言うか、BGMは中々のものであろう。
とは言え、BGMはあくまで付随。メインであるところの本編より目立たず、その上で本編を引き立てるように出来ているのがなお好感が持てる。

……改めて見てみても、何故このゲームを面白く感じるかの理由付けになっていない事が明白になっただけであった。
こじ付けかもしれないが、シンプルなシステムとストーリーのテンポの良さが、プレイヤーの脳内で何かを引き起こして「面白い」と感じさせるのではないだろうか。
その「何か」とは、例えば郷愁であったり懐古であったりするのかもしれない。私の場合は作業の楽しみであったかもしれない。

もう一度言うが、ビジュアル的には今一つ、ストーリーの進み方はかなり強引、簡素を超えてなお簡素といったシステム、とゲームとしては決して洗練されてはいないゲームである。
なのに何故、このようなゲームに引き込まれてしまったのか、自分でも疑問に思うとともに、ゲームというものの奥深さを改めて知った次第である。
こんなゲームでも今の御時世に太刀打ち出来るという事に、一縷の希望さえ抱ける。人類はまだまだいけるのかもしれない。


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