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FRAGILE 〜さよなら月の廃墟〜 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


結論から言ってしまうと、ドラマチックゲームとでも言おうか。公称のジャンルは「廃墟探索RPG」であるが、正直言ってロールプレイングという感じはしない。
難易度は大したレベルではない。操作しづらかったり見えにくかったりする場面があって攻略の妨げになる事はあるが(これだけでも手痛い点だが)、それでも大した難しさはない。
なんと言えば良いか、……ゲームという感じ自体がしない。ではなんなのかというのを、以下に述べていこうと思う。

割とWiiらしいゲームである事は言える。懐中電灯の扱いとか、音感で敵を捉えるとか。しかしそれを除くと、別段大した特徴のないゲームと言えてしまうところもある。
そんなに奥深くない、と言ってしまうとなんだが、そんな感じ。良く言えば分かりやすく、悪く言えば底が浅い。敷居は高そうに見えるが、慣れれば意外に思えるまでに簡単だ。
だから、肝はアクションではなく、ドラマを楽しむものだと思える。ストーリーは中々良く、BGMは良い。
しかし、ならばアドベンチャーゲームにしてしまうくらいの思い切りは欲しかった。アクションゲームとしてはいかにも半端者という印象が先に立ってしまう。臨場感がない。
残念ながらアクション部分がこのゲームをつまらなくしている面がある。一応公式なジャンルは「廃墟探索RPG」なのであるが、ここまで述べてきたような事が大体正しく思われる。
とはいえ、アドベンチャーとしても簡単。ここまでのレベルだと、最早アニメーションにしてしまえと思うのは私だけだろうか。
別にゲームの難易度を上げろと言うのでは決してない。難しさを求めているのではなく、面白さを求めているのだから。つまりどうしろと言うのかと聞かれれば、もうちょっとゲームとして(ロールプレイングにしろアクションにしろアドベンチャーにしろ)、そして物語として深みを持たせてもいいんじゃないかって事である。

このゲームの良い点は……やはりBGMだろうか。全体的に質が高い。各所にばっちり合っている。
だが、逆にそれだけが突出して見えるというのはどうなのだろうか? その実はBGMが優れているのではなく、その他が劣っているという事ではないのだろうか? それはないとは思うのだが、そういう疑念を抱かせる。
なんとも、全体的に見ると今一つという感を否定し切れず、また否定しようとも思えない出来であった。


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