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フィッシュアイズ3D プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


マーベラスエンターテイメント社が、満を持して(笑)ニンテンドー3DSへ参入したタイトル、それがこの『フィッシュアイズ3D』である。
『フィッシュアイズ』シリーズは、今年で15周年の節目を迎えるらしく、ソフトウェアのお値段も心なしか安めになっている……とも言えるかも。
ただ、中身の方は、良く言えば、手堅い作りの釣りゲームとなっている。

ゲームの内容は、基本的には今までのシリーズ、及び釣りゲームの基本を踏襲している。即ち、只管魚を釣ることに特化した純粋なゲームである。
ゲーム性も多少はあり、最初から総ての要素が開放されているわけではなく、与えられたクエスト(お題)をクリアする事により、釣り場と釣れる魚が増えていく。
ある程度はクエストを進めないと碌にやり込み要素が増えないものの、逆に言えばある程度ゲームを進めればあとは勝手に出来る、という事である。

しかしこのゲーム、敢えて言うが単調さが否定出来ない作りになっている。
魚を釣るための技術の基礎をマスターすれば総ての魚を釣る事が出来る、というのは間違っているとは言わないが、加減の違いが三種類くらいしかないのは間違っているようにも思える。
更に、魚を釣る際に水中に視点が移るというのは私から見ればやや奇妙に思える。釣りゲームの見せ場的にそうせざるを得なかったのは分かるが、何が釣れるか分からないという面白味がないではないか。
グラフィックを尊重するよりは現実味を尊重してほしいところであった。もう一つ言わせてもらえれば、水中の映像美は大した事はないと思う。釣った魚の質感はあるとは思うが。
以上の理由から、釣りゲームだと言うのに釣りが面倒と言うか倦怠感を覚えるところがある。これは釣りゲームとしてはかなり致命的ではないのであろうか。

さてこのゲームの良いところとしては、釣りの成果を堪能できる点がまず第一であろう。獲物の大きさをランキング形式で見れるのは珍しくもないかもであるが、あるとやはり励みになる。
文句を付けるようで申し訳ないが、折角の3DSなのだから、すれ違い通信を活用して獲物の大きさを他人と比較出来れば面白かったのにと思う。
それに、ボタン操作とタッチペン操作の両方に対応しており、特にタッチペンの操作ではより手加減の面白味がある。このゲームに限って言えば、大体総ての操作をタッチペンで実行した方が楽しいのではあるまいか。

という感じで、総合的には多少の垢抜けなさは否めないものの、まあまあといった仕上がりに出来上がっている。
釣りゲームの開発のノウハウは持っているはずだし(シリーズ15周年なのだから)、或いは3DSでの開発テクニックが不足していたのであろうか、とも勘繰れる出来なのはやや残念。
このゲームを踏み台にした次回作に期待したいところ。それは或いは20周年記念作になってしまうかもであるが、気長に待つ事もまた一興か。


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