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グルメドリーム プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


アークシステムワークス社から、前作にあたる存在『コンビニドリーム』の舞台をレストランへと変え多種多様に手を加えたようなゲームが登場。それが今作『グルメドリーム』である。
単純とは言えないものの、やや単調になりがちであった前作と比較しても、かなりの手応えを感じさせるゲームへと変身させられた。
その形容は簡単ではないが、以下に出来る限りその変化した点とそれに関する感想を述べていってみたい。

先ずはゲームスタートの際の立地点、及び難易度の選択である。大雑把に言うと、立地点選択は入る客層や食材費などに影響、難易度選択は資金の出入りのシビアさなどに影響する。
立地点はオフィス街・商店街・住宅街の3つから1つを選び、難易度は初級・中級・上級の3つから1つを選ぶ。なおゲーム途中での変更は不可である。
つまり3×3で9通りの難易度がある事になる。更に今作では立地点とその難易度ごとに、最終目標を達成した場合にボーナスがあり、次のプレイでそのサービスを受ける事が可能。
説明によれば、例えば初級・中級をクリアせず上級に挑み最終目標を達成すれば、上級のみならず中級・初級のボーナスも一挙に得る事が出来るらしい。
しかしそれは、たとえ貴方がシミュレーションゲームに自信があったとしてもお勧めしない茨の道。雰囲気を掴む事も重要であり、最初は難易度に関しては初級を選ぶ事を推奨する。

プレイヤーは店のオーナー、と言うよりは司令官と言った方が適切かもしれない。員数外の店員であった前作とは違い、今作ではプレイヤーは直接現場に携われない。
出来る事は従業員の編成、提供メニューの作成、店のレイアウト決定といった、経営のアウトラインを作る事である。その上で最終目標を達成する事がクリア条件となる。
ただ、一度それらを裁定したらあとは何もしないで良いというわけでは、無論ない。食材の仕入れ、提供メニューの中途変更、広告の発信などを適宜する必要がある。
この中で食材の仕入れのみ、オートでやってくれる機能が付いているが、費用効率が悪いためあまりお勧めしない。面倒でも自分で補充した方が良いであろう。
更に言うなら、人間、自分で出来る事がないとつまらないと思いがちであり、その側面からも食材の仕入れを自分でやる事は良いと思われる。寧ろその方が面白く感じられた。

さて、今作、やり方を誤るとあっさりと破産する。一定のセオリーを踏めばそのリスクは小さくなるが、金銭面では相当以上にシビアなバランスが保たれている。
そのセオリーとは何かというと、「分相応」である。当たり前のようにも聞こえるものの、今作は己の立場が見えづらく、このセオリーを踏襲する事が難しい。
斯く言う私も数度に渡り破産を体験した。原因は大まかに言うなら、身の丈以上の設備投資をした挙句設備維持費が高騰して収支がマイナスになった次第である。
特に序盤から中盤に掛けて収支のプラス維持が困難。序盤であるなら最低限の設備ででもやっていける、と言うよりはそうしないとやっていけないはず。
ここらのバランスの兼ね合いが難しいところであるけれども、逆にこの辺りがこのゲームの肝であり面白いところであろう。難易度にもよるとはいえ。

前作と比べて、より純粋な経営シミュレーションとなった印象。今作と前作は見た目やタイトルこそ似ているが、全く別物と言って差し支えない。
今や廃れていると言っても過言ではない経営シミュレーションのジャンルを求める向きには良いゲームであろう。ただ、その難易度から誰にでもお勧め出来るゲームとは言えない。
私はこのゲームが800円という値段以上の出来と思っている。しかしもう一度言うが、必ずしも推奨は出来ない、という事もまた確かと思われる。


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