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高速カードバトル カードヒーロー プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


高い思考力と集中力と推理力と精神力と引きの強さを要求される対戦型カードゲーム。
その面白さは折り紙付きだが、やり終えたあとにはしばしば燃え尽きたような気分を味わう事も多々。
勝利のためにはとにかく間抜けなミスは許されない。あと強運も必要とされる時もある。
こう書くとハードルが非常に高いように思われるかもしれないが、複数あるルールはいずれも基本はシンプルであり、すぐに慣れ親しむ事ができるだろう。ある意味で株取引に近い。

対戦型カードゲームなので、対戦のためにカードが必要になる。カードは対戦する事で手に入るポイントで購入する。勝っても負けてもポイントは入るが、勝てばより多くのポイントが入るのは言うまでもない。
この、カードの購入が実にリアリティあふれたものになっている。どんなカードを引くのか、カードパックの封を切るまで分からないのだ。
つまり運が悪いといつまで経っても欲しいカードは手に入らない。トレードとかシングルカード購入とかいう手段が用意されているが、基本的には運がモノを言う。
運が悪いと、レアカードのサンダーを4枚も引いたけど、牙王バサラをシングルカード購入で手に入れざるを得ないというような羽目になる事もあるかもしれない。
稀少価値の低いカードはどんどん溜まっていくが、同じカードは9枚までしか持てない。ブレンドの材料になるカードはどんどんブレンドしよう。とはいえ、ブレンドの材料もレアなカードである事が多いが。

対戦はやはりWi-Fi通信対戦が熱い。CPUもそれなりに強いが、デッキの中身が一定であり、安定性はあるが作業的になりがち。尤も、このお陰でポイントを楽に稼ぐ事ができるのであるが。
Wi-Fi対戦は相手のデッキが1〜2回の対戦では分からない上、相手が人間であるという事で、CPU相手とはまた違った面白さがある。Wi-Fi対戦で得られるポイントは実はCPU相手より少なめだが、新鮮さを求めるならWi-Fi対戦だろう。
このゲームは相手が通信を切断したり電源を落としたりしてもこちらには影響せずCPUがあとを引き継いで戦ってくれるので、途中で勝負を投げられる事もなく安心だ。
それでも相手が人間だと面白い。良くも悪くもCPUにはあり得ない思考をしばしばやらかしてくれるからだ。私も人の事を言えた立場ではないと心得ているが。

登場するキャラクターはみんな魅力的。特に主人公は人柄が良く好感が持てる。
破綻した性格の主人公を数多く見てきた身としては、この真直ぐさと礼儀正しさは新鮮だった。単純な性格ではなく、それでいて変に目立つ事のない個性。良い主人公だと思う。
この手のゲームでは、主人公に個性を持たせようとした場合はただ暑苦しいだけの奴になったり、逆に個性を殺そうとすると全く存在感のない主人公になりがちなのだが、上手い事バランスをとったものである。
キャラクターの個性付けは難しいモノがあるのは私も承知している。ここは流石任天堂と褒めるところであろう。

弱点はやりがいがあり過ぎるところだろうか。何事も過剰なのはいけない。
プレイスタイルとしては、集中して1時間くらいのプレイが望ましいような気がする。まあ、いろんな力が持続しないと思うので、1時間というのはちょうど良い時間かもしれない。
言うまでもないが、疲れ果てるまでプレイしてもそれはそれで個人の自由である。それで勝利できるなら問題はないし。
ここまでうっかりミスというのが命取りになるゲームも珍しい。人間の間抜けさを思い知らしめてくれるゲームである。
パッケージは子供向けのような印象があるが、幅広い年齢層に支持されるであろうゲーム。DSを持っているならプレイしてみてほしい。


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