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箱庭シティ鉄道 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


小粒寄りのドットデザインゲームを、これでもかとばかりに量産しているカイロソフト社。そこから発されたゲームの1つが当ゲーム『箱庭シティ鉄道』である。
カイロソフト社のゲームは基本的にはシミュレーション。当ゲームは大雑把に括れば、その中でも経営シミュレーション系に属すると思われる。
とは言え、簡素ではあっても単純ではないのがカイロソフト社のゲーム。当ゲームがどう言ったそれかを大まかに説明しつつ、その感想を述べていってみたい。

当ゲームの目的は、地域の駅を開発して、全国ランキングのトップを目指すと言う感じで進展していく。
目的はとても分かり易いが、実際にそこまで行くのは簡単な事ではない。結構な手間暇が掛かる、と言って差し障りない。
手間が掛かるのはまだ良いとしても、暇、即ち時間を要する作りのゲームではある。何をするにせよ、一挙にドバっと行ってくれる類のゲームとは言えない。
また、当ゲームはカイロソフト社によくある周回型のゲームではなく、只管に駅開発を進める一本道型のゲームである。厳密にはエリアを変更したりは出来るものの、やる事自体は全く変化はない。
そう言う意味では、一般的なゲームよりもニッチと言うかマニアックと言うか。まあ、カイロソフト社のゲームは大体なんでもそうではあるが。

プレイしていて面白いか。そう問われれば、やりがいはあるがそのやりがいが楽しいかは人を選んでしまう、としか答えようがない。
一見したところはおおらかにも見えるが、その実はかなり計算づくで開発を実行しないとあとあと面倒な事態に陥りがち。また操作性にも細かい不出来な点が幾つか散見され、親切なユーザーインターフェイスとは言い難い。
一例を挙げれば、一部テナントは入口の方向が限定されるとか、時間帯によってはテナントのデータが反応しないとか、そもそも物体の陰を視認する方法はないとか。
こう、もっと上手く出来たと思われるが、実際にはそうなっていない点がマイナスと言えばマイナス。とは言え、そう設計されている、と返されれば反論も出来ない事も確か。
面白さの素養は間違いなくある。ただ、その素養は活かされているかと言われると言葉に詰まってしまう。

私はカイロソフト社、及びそのゲームシリーズに対して好意的である自覚はある。その私からしても、このゲームのある種の限界を否定する事はちょっと無理である。
贔屓目とは思うものの、先程も述べたように、もうちょっと上手く出来たはず、と言う感覚がどうしてもある。非常に惜しく思う。
割と長くプレイの時間を注ぎ込んだが、出て来た感想がこれである事は遺憾に思われる。完全なゲームはないとは言え、当ゲームはややハズレ、と言えるのではあるまいか。


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