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ジョイメカファイト プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


知る人ぞ知る……というよりは、発売当時はかなりの話題を攫ったといわれるファミコンの対戦格闘アクションゲーム。
発売は1993年とファミコン時代最末期とも言えるが、それに見合ったクオリティの高さを誇る。
個人的にはファミコンが放った最後の光芒という称号を与えても良いと思っているくらいの出来だ。
まあ、このゲームのあとにも良いゲームが出た可能性はあるが、そこまでゲーム史に詳しくないのでこの表現には御容赦願いたい。

対戦キャラクターの形は、見てもらえれば言葉を尽くして説明するよりも分かりやすく、まさに一目瞭然なのだが、残念ながら絵がないので言葉で説明したい。
各ロボットはヘッドパーツ、チェストパーツ、ハンドパーツ、レッグパーツなどに分離しており、各部を繋ぐ間接部分がないシンプルかつユニークな形をしている。基本形はそれだが、オプションを持つロボも数多い。
多分ファミコンの演算性能の関係でこういう形になっていると推測されるが、詳しい事は分からないし、知らない。ちなみにロボの総数は36体もいる。
で、各自がその形に応じた必殺技を4つ持っており、それらを駆使して闘う。そして3本先取した方が勝利できる。ルールもシンプルである。

画期的な(当時としてはか?)特徴として、このゲームのCPUの思考は、1本取るごとに変化する。敵のライフが2つの時のそのキャラクターとライフが0の時のキャラクターは、動きが違ってくるのである。
つまり同じ戦法がいつまでも通じない事を意味する。これはかなり面白い工夫である。マンネリ化を防止するという意味で非常に有効だ。
更に、ロボット同士の相性や難易度による思考パターンの違いなどがあるので、奥深さは並々ならぬものがあると言えよう。
難易度が選べるのは1Pクエストモードのみなのがちょっと残念である。また、最初から総てのキャラクターが選べるわけではなく、1Pクエストでハードをクリアすれば四天王ロボを除く32体、スペシャルをクリアすればボスたる四天王ロボが使えるようになる。
余談であるが、といっても余談にするには惜しい話なのだが、全部のロボとは言わないから、32体が使用可能になった時点で一度、COM対COMの試合を見ておく事をお薦めする。CPUの思考変化が如実に表れ、見ているだけでも飽きない。ロボ同士の相性というものもあり、格下のキャラクターが上位ロボを打ち破るなどという離れ業も見られるし、ライフ0から思考パターンが変化、一気に逆転勝ちなんていうサヨナラ試合が見られる事も多々。適当にロボを選別してどっちが勝つかに賭ける、という行為がとても面白い。是非一度見てみてやってほしい。

また、このゲームの良いところとしてBGMを挙げないわけにはいかない。熱い曲から和やかな曲まで良曲が揃っている。
その曲一作一作が様々なシーンによく適合しており、「あつらえたような」という表現がぴったりだ。
コンフィグで一曲一曲を聞く事ができるので、時間が余っていたり、部屋にBGMを流したい時には利用するといいだろう。
ちなみにコンフィグへの行き方は、タイトル画面でセレクトボタン+Bボタンである。

欠点・弱点が特にないばかりか、優良な点が目に付きやすいという実に優れたゲーム。気分が悪くなるくらいに誉めるところが多い。
強いて欠けているところを探せば、1Pクエスト以外のモードで対戦する時、背景・BGMを選べるようになっていれば良かったと思う。
しっかり作られており、感嘆の念を禁じえないと共に、このゲームの制作者に最大限の賛辞を送るものである。
皆様にも是非一度触れてみて欲しいゲームだ。ファミコンのゲームと侮る勿れ、そのエンターテイメント性は今も時代の最先端を行っていると言っても過言ではない。


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