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ザ・キング・オブ・ファイターズ‘96 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


タイトル通り1996年製の、『KOF』シリーズ第3弾。バーチャルコンソールでは‘94、‘95、‘96と順に配信されているので分かり易い。
対戦格闘ゲームとしては、実に良いゲームバランスを持つ。ただ、それに反して、という程ではないが、ストーリー面はかなりめちゃくちゃと言うに近い。
とは言え、そもそもこのシリーズは本来、ゲームの垣根を超えたお祭りシリーズであり野暮は言いっこなしよ、という基礎に基づくため、ストーリー面の矛盾を言うのは無意味であろう。

プレイアブルキャラクター総数は27名。ついでにボスキャラクター2名。少な過ぎず多過ぎず、と言うべきか。
先程も述べたようにゲームバランスが良いため、これと言って初心者向けというキャラクターはおらず、逆に上級者向けというキャラクターもいない。
強いて言うなら玄人好みのキャラクターはいるかもしれない。しかし基本は趣味と好みで選んで問題ないと思われる。

ゲームの趣旨とは多少異なるが、このシリーズのキャラクターの中でも一際異彩を放っているのが、ギース、クラウザー、Mr.ビッグの3名であろう。
何を間違えたか初っ端からプレイアブルなこの3人は本来ならばラスボスクラスのキャラクターである。バランス調整のせいで弱体化した上、ラスボスの2つ手前のステージに甘んじているが。
とは言うものの、こいつら3名が扱えるのはこの『‘96』しかないので、いるかいないか疑問ではあるが、ファンならば落とせないシリーズ作である。

もう1つの伝説の始まり、それは一見目立たないものの、間違いなくジョー・東にある。
伝説と言ってもあまり品はない。一体なんなのかと言うと、彼、ジョー・東が挑発においてケツを出すようになった始まりが、この『‘96』からなのである。
伝説と言うにはおこがましいかもしれないが、これは真の意味でユニークな試みであって、これに匹敵する挑発はもう出てこないのではないかとも思っている。

と、まあ、キャラクターは華やか・賑やか・豊かと三拍子揃っている。それに加えて何度でも述べるがゲームバランスが実に取れている。
ここで言う「ゲームバランス」にはCPUの強さも内包する。言い換えれば良くプログラムが組まれている、という事でもある。
CPU相手であれば難易度に応じたやりがいを提供してくれるし、人間相手なら腕前に応じたやりがいを提供してくれるであろう。

ここまでいろいろと褒めてきたが、褒めるに値するゲームと思っているし、実際やり込む事の出来るゲームである。
ただ、この文章の冒頭で述べた通り、ストーリーは正直言ってしっちゃかめっちゃかと言っても差し支えない。敢えて言うがないよりはマシ、といった程度。
しかしながら誤解しないでいただきたいのは、「ない」よりは「ある」方がいいに決まっている事である。どんなにめちゃくちゃであろうと、無視すべきではない。

遊べるゲームであり、楽しめるゲーム。誰にでもプレイ出来るが、偏見を持ったりしてない初心者にこそ、ぜひプレイしてもらいたい。
無論、初心者でなくともプレイしてもらって一向に構わない。と言うよりはいろいろな層のいろいろなゲーマーにプレイしてもらいたいくらいである。
それくらいの良質なゲームではあるまいか。手放しで賞賛する程ではないものの、お薦め出来るゲームの1つである。


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