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開幕!! パドックGP プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


スマートフォン系の媒体で買い切りタイプのアプリケーションを輩出しているカイロソフト。彼らが媒体をスイッチに移して出したゲームの一つが当ゲームである。
そのタイトルは『開幕!! パドックGP』。大雑把に言うと、カーレースチーム・経営シミュレーションゲームと言える。
カーレースを扱うゲームではあるが、レースゲーム要素、及びアクション要素は含んでおらず、プレイヤーの為す事は経営、そしてチームの勝利を目指す事である。
どちらかと言えばチームの経営に重点が置かれており、必ずしも勝利を追い求めなくとも問題はない。最終的にはスコアと言う形で総合判断がされる。

シミュレーションとしての自由度は割と高い。やるべき事が形として示されていないと言うか、明確な目的はない。
ゲームが一応の終了となる、14年目の3月末になるまで、チームを維持出来ればそれでも良い。無論、レースで勝っても良いし、或いは勝てなくとも大丈夫。
ゲームが14年目3月末を迎えれば、そこまでのデータが記録され、一部データを引き継いで最初から新規にゲームを始める事が出来る。
やりようによっては、2周目以降はレースでの敗北を味わわないプレイも可能。ただ、苦労はどうしてもするが。

大まかなゲームの流れとしては、人を雇う、クルマを作る、レースに出る、の繰り返し。途中でクルマの修理や改造もする事になる。
レースは、最初に述べたように、自動的に実行され、プレイヤーのやれる事なく進行する。極端な話、何も出来ない。完全に見ているだけである。
逆に言えば、条件さえ整えれば大体勝利出来る。クルマの耐久度減少によるクラッシュ発生の可能性はあるが、事故の可能性もない。
レース後はクルマの修理、勝つための改造、パーツ開発、人材の育成などを行う。そしてまた適当なレースに出て、また同じ事をする。

レースに勝利するためのテンプレートと言ったものは特にないと思われる。強いて言えば、強いクルマを良いパーツで補強し、腕利きのドライバーとメカニックで囲えば良い。
そのために重要なパラメータは技術。主にドライバーのそれ、ただメカニックも地味に重要。兎に角技術がなければ碌なものが出来てくれない。
それはさておき、いろいろと要素が多過ぎて、1周でゲームを味わい尽くすのはまず無理。寧ろ2周目、或いはそれ以降を見据えてのプレイが肝。
シミュレーション系ゲームをやる以上、2周目以降をやる気がないプレイヤーはあまり居ないと思うが、1周しかやるつもりのないプレイヤーには当ゲームをお薦め出来ない。

定価1200円でこれなら、及第点以上を進呈する事は出来るであろう。私は価格以上の価値があると思った。
ただ、特に弱い点やダメな点はないものの、なんと言うか全体的にふわっとしたところのあるゲームであり、特に強力な強みを持っていないようにも映る。
また、ゲーム進行速度促進機能が2周目から解放と言う、暗にやり込みを促す作りは若干イラっとした。1周目から解放されていてもなんら問題はないはず。
良作とは言えないかもしれないが、確実に佳作と言える。取り敢えず、買った事による後悔はない。


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