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HITACHI 加熱水蒸気オーブンレンジ 型番MRO-DS7 購入&使用記念雑感

文:W.KOHICHI


カタログスペックだけでは分からない事というものが、世の中にはある……要は、使用してみなければ分からない事という事だ。
加熱水蒸気オーブンレンジという、素敵な言葉の響きに釣られて購入したこのMRO-DS7。だが私にはその機能の殆どが無用の長物と化している有様である。
加熱水蒸気というのが何やら分からない方もおられるかもしれないが、要はスチームの事である。熱いスチームを発生させて上手に過熱しておいしい料理を、という触れ込みであった。
だがこのMRO-DS7、正直言って使いこなすのが面倒な事この上ない。以下にその理由を示していこうと思う。

まずスチーム機能。当然であるが、スチームを発生させるための水が必要だ。そのためには、水をこのMRO-DS7の水タンクに補給してやらなくてはならない。これ自体は手間ではあるが左程の苦痛でもない。苦痛には違いないが。何せ私は愚かにも、水を補給するという事自体を考えに入れていなかった。考えてみれば当然極まりない事なのであるが、そこまで考えが至らなかったのだ。
スチーム式アイロンを使っている方ならお分かりと思うが、スチームを発生させるためには水の補給が必要である。そこまでは皆お分かりと思う。問題はそのあとだ。水をタンクに入れたまま放置しておくとどうなるか? 当然濁る。澱む。腐る。自然の理である。
このレビューを書いているのは冬場だ。だから実際に水が腐ったところを見たわけではない。しかしマニュアルにも「スチームの使用後はタンクから水を抜いておいて下さい」との注意書きがあり、この自然の理がここにも通じる事を示している。
何より最も笑うべき事は、このスチーム機能、あってもそんなにありがたくないのである。試しに冷やごはんをスチームで温めてみたが、味は普通のレンジと差がないように思える。舌が肥えているとは言えない程度の私であるが、何がどれだけ違うのか分からない。と言う事はだ、スチームの利点はラップが要らないという事だけになってしまう。そして残念ながら私には、ラップを掛ける手間よりも、スチームを発生させる手間の方が大きいと感じるのだ。
MRO-DS7は加熱水蒸気オーブンレンジであり、その最大の売りは言わずもがなスチームの筈なのだが……私には全く意味がないモノになってしまった。

次に数々のオート調理機能。これはもうはっきり言ってしまおう。こんな機能使って料理するより、普通に鍋やらフライパンやら使って料理した方が早い。下ごしらえの手間は同じなので尚更オート調理に魅力を感じない。
「お前が調理するより味が良いんじゃないか?」というツッコミがあるかもしれないが、敢えて言わせてもらおう。大差はない。微妙な差はあるかもしれないが。
しかもオート調理は中々融通が効かない。一々スチームの用意をしなければならなかったりするし、ボタンを何度も押さなければならなかったりするし。
何よりもマニュアルに「オート調理の仕上がりにムラがある場合は、手動でどうにかして下さい」というような事が書いてあった。これは要約であるが大体このような意味にしか取れない。
私はオート調理を1回使っただけで止めてしまった。使い勝手が悪いというのもあるが、マニュアルを読んで「あ、これダメだ」と直感したからである。不幸にもこの直感はハズレなかった。残念至極である。

そして残ったのは普通のオーブンレンジとしての機能だけ……。
しかしこれもあまり使い勝手が良いとは言えない。レンジの出力を選ぶのに、何故5段階もあるのか。私見では5段階も要らない、2段階、あっても3段階で充分だ。つまり600Wと100W、おまけで800Wで充分と思われる。過熱用に600W、解凍用に100Wといった具合に。
それにボタンをピポピポ押さなくてはならないというのも結構面倒である。レンジにしろオーブンにしろ、一々ボタンを何回も押さなくてはダメなのだから。摘みダイヤル式でなくなるとこんなにも不便になるとは思わなんだ。

自分が熟考の末に購入したものがこんな程度のモノだったというのは、しょんぼりここに窮まれり。
このレビューを参考にしていただけると、ありがたさ半分、口惜しさ半分である。だってこのレビューでスチームレンジを回避したのなら、私を踏み台にしたようなものだからだ。
敢えてフォローするなら、オーブンレンジとしての性能はまあまあという事が言えるだろう。スチームやオート調理を使いこなせる自信があると言う方や、「私は貴様程愚か者ではない」と言う方なら購入してみても宜しいのではあるまいか。


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