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メタルマックス プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


兎角自由度の高さのみが喧伝されがちであるが、ロールプレイングゲームとしては真っ当とも言える出来。
勿論、シナリオの自由度が高い事は疑うべくもない。最低限のイベントをこなす必要は一部あるが、本当に必要な部分のみである。
ではどういう部分が真っ当な出来なのかというと、経験値を稼ぎ、金を稼ぎ、強い装備を手に入れるために遠くへ行く、というそういう部分が真っ当と言える出来である。
この真っ当さはある意味ではとても大事であり、これを無視するとゲームバランスが崩れ、ゲームの面白さをとても損なってしまう。
如何に自由度が高かろうと、基礎をしっかり保つ事は自由度よりも大事な事である。多少の心情的矛盾は生じるかもしれないが、総合的に見れば正しい処理と言えよう。

以上、一種の制約はあるとは言え、それでも自由度の高さは確かである。制作年・1991年当時にあっては出色の存在であったろう。
あまりユーザーフレンドリーな作りとは言えないものの、当時のゲームはそんなものは軒並みなかったとも言えるのでこれについては問題ない。
もうちょっとワンボタンでいろいろ出来れば、とは思うが、そもそもコントローラにボタンが少なかった時代の産物にそんな事を期待すべきではない。
しかもこれはリメイクではなく、当時のゲームそのままの姿が出ているのだ。システム面に関して異議を唱える事は無意味である。

ゲームとしての魅力はどこにあるかと問われれば回答に窮する。ほぼ総てが魅力的と思われるが故に。
そも私は、ゲームの魅力を語る事は心の問題の領域に入る事であり理屈ではないと考えているが、それでは話にならないので強いて言語にしてみると、欠損がこれといってないようにすら思える。
引き算の思考でどこが足りないかと考えていっても、システム面でもうちょっと便利になったなら、程度の事しか浮かばない。先に述べたようにそれは無意味である。
足し算の思考でどこが良いかを考えると、大体の面が基準並みかそれよりも良いかと。戦車とかの特異なところも寧ろ特に好きだし。
ただ、一部の人にはある意味での野放図さ、そして難易度がお気に召さないかもしれないという事は言っておかねばならないだろう。

このゲームはここで完成と言う一つの終わりを迎えていたと言う事も出来る。
だから、このゲームをやれば少なくとも、このゲーム及び『2』に受け継がれたDNAとでも言うべきものを感じ取る事は出来る。
現時点で『2』が配信されるという情報は入っていないが、或いは遠からず配信されるかもしれないので、このゲームに飽き足りないと言う人は待ってみるも良かろう。
今年2010年には『3』も発売される予定だが、まだその出来は未知数と言わざるをえず、ここで観測を述べる事は差し控えたい。


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