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メタルマックス3 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


『メタルマックス』シリーズ・ナンバリングタイトル第3弾。『2』の発売から『3』の発売の間が17年開いたという事実だけでも伝説級のゲームであろう。
まあそれはさておき、『1』から受け継がれる遺伝子的なものをきっちり盛り込んだゲームとして登場した「正式な」タイトルである。
遺伝子的なものとは、テイストであったりシステムであったりいろいろであるが、一言で言えば空気であり雰囲気と言える。

今作では主人公というものがある程度の個性を持っており、それに従いストーリーも輪郭程度ながら存在している。
『1』よりは『2』に近い雰囲気である。話の道筋上に設定された障害が幾つかあり、そこを突破する事で次のステージへ行ける。
とは言うものの、全体から見れば障害があるのは一部に過ぎず、ゲームの自由度は伝統に則って相変わらず高い。

荒野と戦車と賞金首は健在。と言うよりもこれらがなくなったら『メタルマックス』とは言えまい。世界観的には『1』の世界観を一部ベースにしているようである。しかし今作との関連は殆どない。
なお戦車は、今作からはバイクという特殊車両や、生きている戦車・バイオタンクといった面白要素も導入された。
ある程度ストーリーが進むと、ルイ……もとい、ヌッカの酒場というポイントで、自由にパーティーが組めるようになる。
主人公にバックストーリーが付いた代償なのか、仲間に関してはバックストーリーが一切付随しない。代わりに想像力の翼を羽ばたかせる事が重要となった、のであろう。

ゲームとしての面白さはどうよ? という質問には、普通にやる限りとても面白い、と答えよう。
ゲームバランスが実に良く、適度な綱渡り感が常にある。レベルが高くとも下手すれば甚大な被害を被るし、強い敵は本当に強い。
戦車や兵器の改造とか、武器防具の購入とか、お金は幾らあっても使うとなったら夢のように消えるし、稼ぐ事だって一筋縄ではいかない。
こうして悪戦苦闘して前にじわじわ進んでいく面白さが確かにある。昨今のロールプレイングとしては、実に全うな面白さである。

「普通に」やる限り、って何? と言われたなら、それは普通にやらない手段があるって事である。
マニアックなやり込み型ユーザーにとっても、このゲームはやりがいがある。それは俗に「超改造」とか「レアドロップ」とか「周回プレイ」とか呼ばれている。
沼地に足を踏み入れるような事なので説明したくないから省くが、ドラム缶を延々と押すよりも苦痛で気持ちのいいプレイである、らしい。
詳しく知りたい方々は、各々で適当に調べてもらいたい。もしそれを実行する際には、私が推奨しなかったという事を覚えておいていて欲しい。

気になるバグ関連は……結構ある。しかし、気を付ければ回避出来るものが殆どであるし、重度・致命的なものはないと言えよう。
詳しくは攻略サイトを参照して欲しい。とは言え、その際はゲームの面白さをスポイルする可能性もあるので、くれぐれも気を付けて参照してもらいたい。
何故なら、言うなれば「おいしいバグ技」とでも言うべきものがあり、条件が揃わねば出来ないながら、それは本当にゲームそのものをスポイルしてしまいかねない。
寧ろ最初のうちは攻略サイトなどを見ないで突撃して欲しい。どうしても、本当に、全く分からなくなったなら、最後の手段として攻略サイトを参照するくらいの心意気で。

と、まあ、……ある意味では『メタルマックス』らしい、『メタルマックス』そのものとでも言えるゲームである。
面白さは確かであるが、マイナーさはどうしても否めない。しかしながら、他人にお薦めして悔いる事のないゲームであろう。
腰を据えてじっくりとプレイして欲しい、昔の空気と今時の空気が程よく混ざった良作である。


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