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メタルマックス ゼノ プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


続編が出るのかどうかも怪しかった、メタルマックスシリーズの最新作がPS4にて登場、それが当作『メタルマックス ゼノ』である。
新作が出てくれただけでもファンにとってはある種の幸いと言う事が出来ると思う。無論、ゲームの内容も重視すべき事柄ではあるものの。
では、そのゲームの内容を事細かに、私が感じたままに述べていってみたい。

大まかなストーリーとしては、かつて東京と呼ばれた地を舞台に、絶滅寸前までその数を減らした人類の反抗劇を描いた、みたいな感じと言えるそれ。
敵対勢力は人類抹殺をプログラムされたマシン集団であり、それらとの戦いがメインの話の軸となる。
あと、減るところまで減りきった、人類同士の絡みとかも描かれる。それも結構生々しく。
また、周回プレイに対応しており、2周目以降はストーリーを最低限に省いた「ハンターモード」なるモードも用意されている。

今作は戦闘メンバーが完全に固定されており、そのカスタマイズは出来るものの、自由にメンバーを作る、と言った事は出来ない。
それどころか、人類自体が数えるほどしか居ないため、拠点以外には街の一つすらもない。完全に拠点だけで自己完結している。
拠点では、今までのシリーズのほぼ総ての機能、例えば宿、満タンサービス、商店、酒場、改造屋などがあるが、居る人はたったの3人に過ぎない。
ついでに言うと、今作、犬が居ない。戦闘に参加する犬は無論、キャラクターとしての犬すらも存在しない。

さて、メタルマックスと言えば戦車である。それは流石に変更されていない。ストーリーのほぼ最初から戦車に乗っている、と言う点は些か面白味に欠けるが。
敵からのドロップアイテム選別とかも健在。一部アイテムは星の数に寄ってレアレティに差が付く。星が多いほど性能が良いが、入手しづらい。
ただ、先程書いたように、拠点以外に人が居ないため、イベントはほぼあってなきが如しとなってしまっている。極論、ストーリーをなぞるだけである。
ストーリーは面白くなくはないのであるが、ストーリー以外のサブイベントのなさにどうしても物足りなさを感じざるを得ない。

そして「ハンターモード」。只管敵を倒してキャラクターと戦車の強化に明け暮れるモードと言えよう。個人的に見て、ゲーム製作者とは相容れざると思わざるを得ない。
どんなストーリーでもないよりはあったほうが良いのに、それすら捨ててしまうとは。ある意味自由度は極めて高いが、逆にそれだけである。
「ハンターモード」は2周目以降の特典であり、敢えて選ばずもう一度ストーリーモードに入る事も出来るが、キャラクター強化的な意味でそれを選ばない選択は、事実上ない。
どうしても作業的なプレイになってしまいがちであり、このゲームに於いて最も残念なところと言う事も出来るであろう。

つらつらと不服なところばかり述べてきたが、ゲームの面白さまでないと言うわけではない。少なくとも1周目の戦闘バランスの兼ね合いは良いと思われる。
適正と思われるレベルで進むと、ギリギリの戦いを繰り広げる事もしばしば。多少レベルが高い程度であっても緊迫感のある戦いが味わえる。
敵との戦闘もサクサクと進み、ロード時間もなくストレスレス。最新鋭機でのゲームと言う事もあり、処理落ちなどもない。
戦車のカスタマイズもやり易く、試行錯誤も効き取り返しが効く。敵に対応してこちらの強化方針を決める、と言う事も充分可能である。

このゲームを形容するのには、最新作にして実験作、と言えば最も適切かと思われる。かなり斬新なゲームである事に疑いの余地はない。
ただ、なんと言うか、シリーズ作であるのであるから、今までの積み重ねを無碍にするような事をしてほしくはなかった、と言う事は言える。
思えば、ナンバリングタイトルではなかった事で、今までと違う事を察するべきではあった。仮に「5」が出るのなら、もっと真っ当なRPGを製作してもらいたいものである。


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