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オセロ プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


良くも悪くも色々なゲームを手広く作り続けるゲームメーカー・アークシステムワークス社のWiiUダウンロードソフトウェア第2弾、それがこの『オセロ』である。
「オセロ」というテーブルゲームを知らない日本人は中々いないと思われるが敢えて説明するなら、白と黒のチップを交互に打ち合い挟んで返したりして最終的にチップの多い方が勝ち、というゲーム。
今作『オセロ』は、良く言えば基本に忠実な手堅い作り、悪く言えば……というか、残念ながら普通の言い方からしても、ただ只管「オセロ」をするだけの単純極まりない作りに仕上がっている。

「オセロ」の面白さ・奥深さに関しては今更何をか況や、であり、今作『オセロ』においても特筆すべき事態はない。
ルールも至極そのまま。改変全くなし。ボードの色もグリーンと大変にノーマル。チップの色も黒白で変更なし。
まあ変に変更を加えられても困る事もあるかもしれないが、もうちょっと冒険心というか遊び心があっても良かったのではあるまいか。
強いて言うなら、耳障りにならない程度のBGMが付いている事が特色とは言えるかもしれない。後述するが、これも良し悪しであるのであるが。

さて、このソフト、実はゲームと呼ぶ事も過大評価と言える、遺憾極まりない作りとなっている事を申し上げねばならない。
勿論「オセロ」は、立派にして優秀な一つのゲームとして確立している。私は、今作『オセロ』は完全にその上に胡坐をかいている、という事を言いたいのである。
兎に角全くもって「オセロ」をするだけのソフトになってしまっている。これは「オセロゲーム」ではなく寧ろ「オセロツール」とでも言うべき存在。

更にモードの少なさが単調さに拍車を掛けている。存在するモードは対CPU・対人の2モードだけ。驚くべき事とまではいかないが、ネットワーク対戦には対応していない。
おまけにユーザーインターフェイスの簡素さは、ユーザーを舐めているのではないかとも思える不出来さである。対CPUに勝利してもこれほど空疎な気分にさせられたのは初めてである。
もっと言うとオプションも付いていない。連勝記録やらレコードやらの記録システムもない。どれだけやり込んでもご褒美といったものもない。ここまでないない尽くしであると何か素敵なシステムのようにも思えてくる。
ちなみに対CPU戦では一応難易度調整が出来るが、これも当たり前過ぎて本来なら特筆すべき事でもないであろう。このような事を書かねばならないほどに内容がないソフトである。

この内容で定価500円は高い、というより値段と中身が見合っていない。「オセロ」が登録商標である事を鑑みても冗談のような内容のなさとしか言えない。
かく言う私は、一応事前に警戒が働いて、年末年始の値引きセールでこのソフトを購入した。250円引きであった。しかし敢えて言うが、それでも値段に見合わない。
何も私は、好きで、購入したゲームの事をここまで酷評しているわけでは決してない。単にそうとしか言いようのなかったソフトウェアであっただけである。


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