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ピクロスS プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


ある意味ではジュピター社のお家芸とも言えるかもしれないパズルゲーム「ピクロス」、その最新版がニンテンドースイッチで登場である。
タイトルは『ピクロスS』。公式にアナウンスはないものの、「S」はスイッチを指すそれかもしれない。無論ほかの単語の可能性も考慮されるが。
それはさておき、今作、やや残念な……と言うより、進歩のベクトルがずれてしまっている、との印象を受けた。以下に、その理由を説明していく所存。

先ずパズルの問題数は300問。通常のピクロス問題で150問、メガピクロスで150問、合わせて300問となる。
難易度、及びパネルの大きさは様々であり、通常はチュートリアルを経て入門クラスの問題から挑む事が定石であろう。ただ、いきなり高難度の問題にも挑める。
今作はスイッチのハードウェア上に制約があったのか、タッチでのマス目入力は不可となっており、ボタン操作一択となっている。
その他には大雑把ながらオプションも付属。BGMは3曲から選択可能、無音にしたい場合はスイッチ本体の音声出力ボタンを弄る事となる。

さて、今作の肝はスイッチのジョイコンを使う事による2人同時プレイ。言葉通り、1つの問題で協力して、或いは対戦風味に問題を解いていくのである。
その意味は分かる。しかし、意図はまるで分からない。パズルのジャンルに新しい風を吹き込ませたつもりなのか、全く意図不明と言うしか他にない。
個人的な感想としては、無駄どころか有害な追加機能と見ている。こんな機能を加えるくらいなら、コストカットか問題数追加に力を入れてほしかった。
そもそもコントローラーが2つでも画面が1つなのであるから、やっても互いに混乱するだけである。やる前に分からなかったのか。

価格が800円と、今まで(ただし3DSのそれ)と比べて値上がりしているのも地味にイラつかせられる。
それも、中身が充実しているのならまだしも、特段の進歩が見受けられない今作での値上がりは反感さえ覚えるそれであろう。
パズルゲームとしては妥当な出来であるが、次回作があるのなら、もうちょっと洗練して出直してきていただきたい。


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