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ロマンシング サ・ガ2 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


スクウェア(当時)が送り出した、スーパーファミコンでの「サ・ガ」シリーズ第2部作。
実に珍しいと言うか、風変わりなスタイルのロールプレイングゲーム。
この作品で、その後いろいろ出る「サ・ガ」シリーズの応用の元は完成した、といって差し支えあるまい。ちなみに基本の元は前作で出来ていた。
まあシリーズと言っても、それほどの数はないようにも思えるが、それは別の話。

このゲームの最大の特徴ながら、誰も大して意識していない特徴であろう事として、プレイヤーのスタンスが「帝国」で始まるという事が挙げられる。
これの何が凄いのかと言うと、海外のゲームはどうだか知らないが、日本のゲームにおいて「帝国」というスタンスは十中八九「敵対勢力」もしくは「悪」というスタンスと等しいからだ。
調べてみるといい。主人公が「帝国」側に所属し、悪ではなく葛藤はなく、最後まで「帝国」側に所属していたという例は、恐らくほぼゼロのはず。
ただ、プレイヤーの立場が「皇帝」だから、こういう事が出来るのかもしれないというのはあるだろう。本質的な問題ではないようには思われるが。

次に挙げる特徴は、やり込み要素が凄いという事か。最終的にやる事は何度プレイしても同じながら、そこに至るまでの道程は千差万別と言える。
1つのイベントに複数の解決策が用意されている事が珍しくなく、イベントによっては失敗という道も用意されている。
皇帝の継承も誰を選ぶか、その仲間もどんなキャラクターで編成するか、装備はどうするか、陣形はどうするか……考える事も実に多い。
或いはひたすらモンスターと戦ってパーティーを鍛えるのもいいし、もしくはモンスターからのドロップアイテムを狙うのもいいだろう。究極目標「七英雄の撃破」さえ達成できればプレイスタイルは問われない。

ゲームの自由度も割合高い。「次に何をしたらいいの?」という疑問にぶつかる事なんてしょっちゅうだ。一応の救済として参謀が大まかなヒントを教えてくれるが。
と、一見奔放なように見えるこのゲームであるが、実際にはかなり緻密に設計されている。例を挙げればキャラクターごとに(クラスごとに、ではない!)性能が違うとか。
兎に角ランダム要素というものが相当排除されており、逆に言えば計算を尽くしてプレイすれば上手くいく、と言いたいところだが生憎一般ゲーマーが見切れるような設計ではない。
2〜3回は体当たりでプレイして雰囲気やコツを掴み、それからおもむろにネットで情報を集めて通なプレイスタイルを構築するのが賢いやり方であろう。

とっつき易い事は確かだし、面白さもまた確か。しかし基本的には易しいゲームとは言えないだろう。ラスボスも割と強いし。
中級者以上のユーザーになら特に面白いゲームであると推測する。聞くところによれば、廃人的と言うしかないようなプレイスタイルも存在するらしい。
勿論初心者がこのゲームを踏み台にしてステップアップしていく事も可能だ。ただしラスボスは割と強いので注意。あくまで「割と」レベルだが。
私見ながら、この『2』が「サ・ガ」シリーズの中では一番ゲームバランスの取れた作品と思っている。入門するならここからではあるまいか。


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