戻る


あそべる絵本 とびだスゴロク! プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


中々面白いボードゲームが出現したようだ。流石は任天堂監修。
Wiiウェアという器に相応しい程度のサイズのゲームなのだが、見かけ以上に容量を感じさせる。
それに一人で遊んでても全く寂しくない。孤独にも耐えれるとは素晴らしいではないか。

戦術性を重視したボードゲーム。総ての操作は配布されるカードで実行される。マスを進むのも相手を妨害するのも協力プレイも全部カードが必要だ。
一部のカードはマス目・イベント・配布などで手に入るコインと連動しており、それがなお戦術性を高めている。
カードは主に3系統。進行・妨害・援護だ。

マスを進めてゴールを目指すのには、主に進行カードが用いられる。より厳密にはこれにも2種類あり、『○だけ進む』『○+注ぎ込んだコインの数だけ進む』の2つがある。
『○だけ進む』は字義通り、カード指定の数だけ進めれる。『○+注ぎ込んだコインの数だけ進む』は、手持ちのコインから何枚だけ投入するかを決め、その数に応じたマス目を進めれる。極端な話だがコインが20枚あれば「○+20」マス進む事も可能。
説明がやや先走るが、コインはゴール後の最後の逆転劇にも使用する事になる。しかしコインを持っているだけ強いかと言うとそうとも言えないのがミソである。

妨害カード。文字通り相手を妨害するために使われる事をメインとしてある。他プレイヤーに働きかける、というモノとしてみればまず間違いない。
他プレイヤーのカードやコインに働きかけ、破壊もしくは奪取する種類と、他プレイヤーの位置に働きかけ、何マスかを戻す種類のモノとがある。
基本的には邪魔する意味で使われる。ただし他プレイヤーを何マスか戻す事によって、戻したマス目でイベントを発生させたり、そのプレイヤーを有利にするといった展開も望む事が出来、単なる邪魔だけには留まらないカードとなっている。

援護カード。これも文字通り、他プレイヤーの援護を主な目的として存在する。あとで説明するが、このゲームには協力プレイというものがあり、主にその協力の為に用いられる。
他プレイヤーにコインをもたらしたり、何マスかを進めたりできる。
また、これもあとで述べるが、このカードを積極的に使っていると、「善い行いをした」と見なされて、イベントなどがプレイヤーに有利に働く、という副作用もある。

CPU・人間を含む4人でプレイする。協力プレイの時は2対2に分かれる。
決着は基本的には1位でゴールしたプレイヤーの勝利。協力プレイの時はコンビで先にゴールした方が勝利となる。
ただし最後の最後で決算が行われ、所持しているコインが0倍から3倍の倍率でスコアに反映される。どの倍率になるかはランダムで決まる。
順位のスコア+コインのスコアで最終勝利者、または最終勝利コンビが決定するという按配だ。
また、勝者・敗者に等しくプレイ後にはそのプレイヤーのプレイスタイルに応じた称号が与えられる。いろいろな称号にニヤニヤするもまた佳し。

双六なので、マス目にはいろいろなイベントが用意されている。コインの増減・カードの増減、などなど。
ランダム効果で、一番面白くかつ一番このゲームらしいマスが「魔法の本」マス。派手なエフェクトと同時にプレイヤーに大きな影響を与える。
この「魔法の本」マスは、プレイヤーの行いによって微妙にプレイヤーごとに効果が異なってくるという特色を持つ。援護カードなどを積極的に使い他プレイヤーと連携していれば「善い行い」、逆に妨害カードなどを積極的に使い他プレイヤーを邪魔していれば「悪い行い」として認識されるようだ。この結果、「魔法の本」マスの良い効果・悪い効果は増幅或いは軽減させられる。単純な仕組みながらこれが結構趣き深い。

さて、いろいろ述べてきたが、総合的にはかなり遊べるゲームに仕上がっている。タイトルに偽りなし。
弱点としては、CPUのターン時のメッセージ送り速度にやや難があるだろうか。多少タイムラグがあるように感じられる。
また、善い行い・悪い行いを懸命にやっても、最終決算になんら影響を及ぼさないというのもつまらないところ。折角の要素なのに勿体ない。
更に言うなら、モードの「あっさり」と「じっくり」に、時間的差はほぼないのも無意味な事になっていると思われる。「あっさり」の存在意義がないという意味で。
ボードゲームの面白さは充分に踏襲していると言っていいだろう。Wiiポイント1000に見合った価値があると信じられる。


戻る