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電波人間のRPG2 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


ジニアス・ソノリティ社謹製の、3DSにおける本格的ロールプレイングゲームの第2弾が登場、その名は『電波人間のRPG2』! 名が内実を表す良い例である。
『2』とあるだけあって、前作を正しく踏襲した出来に仕上がっている。それでいて、あらゆる面で地味な改良・改変を加えられ、大幅なパゥワーアップを施されている。
ただし、その分、一筋縄でいかない内容も大幅にパゥワーアップ。所謂ライトユーザーは途中で挫けてしまいかねない出来ともなっている。

ストーリーは前作に続き王道的。さらわれた家族を取り戻すために主人公が戦う。この主人公は、前作のデータがあれば、前作の主人公を引き続き登場させる事も可能。
ただし、前作の主人公とはいえ、引き継ぐのは設定だけであり、レベル1からの育て直しを余儀なくされる、当然の事ではあるが。また、データ引継ぎをせず、今作のオリジナル主人公を改めて登場させる事も可能である。
ちなみに、前作のデータが存在すると、多少のメリットがある事は事実。しかしながら、そのデータがかなりのやり込みをこなしていなければ、データを引き継ぐ事の意味はあまりないものとなっている。

さて、様々な部分が大幅に変更されており、逐一述べるのも大変である。出来る限りその改変点に付いて述べていってみようと思うが、その前に要点整理のため、変わっていない部分から述べていってみたい。
根底的システムは前作から特に変更はない。絶対制経験値システムによるレベルアップ型ロールプレイング、という基本はそのままである。
やりがいが過剰にあるのも相変わらず。前作もかなり長い旅になったが、今作も負けず劣らずの長い旅となる。無論、クリア後の世界も健在である。
パッと見た印象が前作も今作も相似している、というか良くも悪くも代わり映えはしていない。見た目的変化には乏しいと言えるかもしれない。セーブデータ領域も1つなところも変更なし。
当然ながら、見た目は兎も角も、一皮剥いた内容は代わり映えした、というだけでは足りないくらいの変更が加えれているのであるが。

さて、では、主な変更点を列挙していこうと思う。
まずは、ドロップアイテム関係のシステムの変更。私見では最も大きい変更点と見る。実際、ある意味では中核と言って差し支えあるまい。
前作では特定手法を用いる事により簡単だったドロップアイテムゲットは、修羅の道を歩むようなと言っても良いくらいのバランスへと変貌を遂げた。
敵1体に付きドロップするアイテムは1つ〜3つ。これは間違いない。しかし今作からはドロップアイテムの種類として「通常」「レア」「激レア」の3つに分類がなされた。プレイ体感におけるドロップアイテム獲得率から推測するに、アイテムドロップの確率は「通常」ドロップが2〜6%、「レア」が1%、「激レア」が0.1%程度ではないかと思われる。これでほぼ間違いないと思う。
ただ、流石に全く対策なしでドロップを狙え、というのは無茶と開発スタッフも思ったか、今作ではドロップ確率を引き上げる装備が存在し、アイテムドロップマラソンはこれらを装備して初めて始まる、と言って良い。装備のドロップ率上昇は複数で重複し、最大で、「通常」ドロップなら通常確率の5倍、「レア」ドロップなら通常確率の10倍、「激レア」ドロップなら通常確率の50倍まで引き上げ可能。
強敵からドロップを狙う、という行動が前作と今作では全く違う事がお分かりいただけると思う。勿論、今作の方が厳しいと言わざるを得ない。

次に、お金の価値というか、お金の存在意義が劇的に増した。買えるアイテムが増えたという事もあるし、高価なアイテムが増えたという事もある。一概には言い切れないが、基本的に高価なものほど高性能である。ただし高価とひとくちに言っても、今作での高価なアイテムの高価っぷりはまさに半端ではない。
値段が7桁、即ち100万クラス以上のアイテムが幾つも取り扱われている。100万くらいならばまだ安い、800万という店売りアイテムすら存在する。このゲーム、敵と1戦交えて勝利して得れるお金は、通常、終盤のザコを相手にしても多くとも2000程度である。つまり……そういう事である。
ただ、流石に全く対策なしでお金を工面せよ、というのは無茶と開発スタッフも思ったか、今作では敵から得れるお金を引き上げる装備が存在し、最大倍率まで上げる事で多少は苦労が緩和される。敵からのお金獲得は、装備効果によって最大2000%、つまり20倍まで上昇する。500ゴールドの敵なら10000のゴールドを得れる。かなりの効果と言えよう。
今作では序盤から、もっと言うと体験版から、既に金策における苦労が始まる。これを良いと見るか悪いと見るか、それはユーザーの価値観に委ねられるであろう。

今作から通信に対応した。すれ違い通信とWi−Fi通信の2種である。基本的には両方ともおまけのようなものに過ぎないが、あれば楽しい。
すれ違い通信では、すれ違った相手のパーティーデータを得るとともに、特定ダンジョンでの探索可能時間の増加が見込める。ただしこれは必須ではなく、アイテムなどで補助が可能となっており、すれ違えなくとも必ずしも問題はない。
Wi−Fi通信では、パーティーデータをアップロードし、他ユーザーのアップロードしたデータと力比べを行う。対戦勝利数に応じてボーナスアイテムがもらえ、プレイ実績によって称号がゲット出来る。こちらはやり込む必要こそないが、ストーリーの途中で参加せざるを得ない。
この通信対戦、やり込めば面白いが、勝つのは低ランク時ならまだしも、1200位以降頃になると生半可な事では勝利が覚束ない。勝利のために創意工夫が求めれる。ヘヴィユーザーなら楽しい要素であろう。

その他の変更点としては、電波人間の体色追加・アンテナ追加・装備箇所の追加・バッドステータスの増加・アイテムリサイクルの追加・電波人間の体色変更システムの追加、などか。
アイテムの総数もかなりのものとなっている。コンプリートは前作のその手間と比べ、格段に難しくなっていると言わざるを得ない。逆に言えばやりがいがあるという事でもあるが。
あとは、地味ながら嬉しい変更点として、レア・激レアドロップアイテムゲットの際、ファンファーレが鳴るようになった。分かり易い上に達成感がある。
バグも目立ったものはないようであるし、総合的には全体が良化した、と言っても良いであろう。

欠点は特にないが、弱点としては妙に長大な攻略を余儀なくされるというのが弱いかもしれない。内実が長編RPGであるからして。
更に前作から引き続きの弱点として、自力のみでの電波人間の調達は至難であるという点も弱い。少なくとも思い通りのキャラクターゲットはまず無理であろう。ある程度は妥協するしかない。
全体的にも創意工夫を要求され、力でごり押し、という手段は通用しないゲームである。その分面白い、と見るか、その分手間が掛かる、と見るかが、評価の分岐点と言える。
あと、細かい事ながら、前作よりもソフトのお値段が200円上がり1000円となった。その分パゥワーアップしているのは確かであるが、多少の出費をする覚悟は必要となる。
大局で見ればとても魅力的なゲームと言っても良かろう。お値打ち品とも言える。前作から引き続き体験版が用意されているので、興味を持った方は下ろしてみるも一興であろう。


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