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電波人間のRPG3 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


ジニアス・ソノリティ社謹製の、3DSでのロールプレイングゲームも早第3弾。
それが今作、『電波人間のRPG3』である。分かりやすいのはよいのであるが個人的にはもうそろそろ、サブタイトルくらい付けても良い頃合だと思っている。
『3』とあるものの、前作・前々作との直接的つながりは殆どない。言い換えれば新規ユーザーでも滞りなく参入可能ではある。
ただし、今作は第3弾という事もあり、易しいゲームとは言いかねる出来となっている。加えて、ディープかつマニアックな作りでもある。
それに伴う救済策も幾つかは用意されてはいるが、正直、新規ユーザーに素直な気持ちで勧めるには多少の躊躇いを覚える出来。以下、理由を述べていきたい。

まずゲーム性というか、RPGとしての難易度から述べたい。これははっきり言えるのであるが、難易度は高め。
そもそも、このゲームは自分の求めるキャラクターが自分の意思で用意出来ない、という設定上のハンディキャップがある事を考えると、難易度は寧ろ高いであろう。
どういう風に難しいのか、と言うなら、敵がとても強い。自前のキャラクターだけで進む事を前提とするなら、多数の回復アイテムが必須となるくらい。
前作や前々作からのキャラクター導入や、キャラクターのレンタルといったヘルプはあるが、過去作を持っていなかったり、ネット環境がなかったりするとお手上げとなる。
ちなみに、次にどこへ行けば良いのかが分からない、といった進行上の難点は然程にはない。ナビゲート機能もある事であるし。

伝統的に、このゲームは力押しという手段が通じないゲームである。こちらのレベルがどれだけ高かろうと、戦法を誤れば全滅の可能性は否定出来ない。
勝つためには良い装備、良いキャラクターの両方が必要とされるのであるが、どちらも意のままには入手不可、というありようである。
キャラクターに関してはある程度妥協するしかない。問題は装備である。といっても、店で買える装備などたかが知れており、本当に良いものは敵を倒して手に入れる。
即ちアイテムドロップ狙いのマラソンを始める事となるわけであるが、先程述べたように今作は敵が強く、ある種のジレンマさえ横たわっている。
やり込みによる面白さは一種の快感をもたらすが、何事も程々が肝要ではないのであろうか。

私見では面白いゲームであったと思う。であるが、人に勧めれるゲームかといわれれば、正直、あまりお勧めは出来かねる。
人によってはストーリークリアさえ覚束ないであろう。クリアのための環境をある程度整えた私でも、ラスト近くの戦闘展開にはぐったりしたくらいであるから。
このゲームをクリアした、という人は賞賛に値する。それくらいにクリアは並大抵の事ではない。
一応、クリアは絶対条件ではなく、クリアせずとも楽しめるつくりになってはいるが、それでもRPGなのだからクリアくらいしてみたい、と思うのは人情であろう。
もし、仮に貴方が、このゲームがクリアできず投げ出したとしても、私はそれを咎める気分にはならない。ある意味自然だとさえ思う。

さて、ではこのゲームの面白さは何か、というならば、今までと同じくアイテム収集とか通信とかが楽しい。
今作からはネット通信でのコミュニケートが発達し、通信対戦は無論、レンタルやバザーなどが楽しめるようになった。
とはいえ、逆に言えばそのくらいの変化点しかないともいえる。一概に悪い事とは言えないものの、変化はあまりもたらされていない。
確かに、変わらない事の良さを否定するつもりはないが、『3』になってここまで機能追加を重ねたならば、何かしらの変化はあっても良かったのでは。
第3弾となって、完成度を高めた……とはいえないのが残念な、ディープでマニアックなゲームとなってしまったのはやや遺憾である。


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