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エルミナージュDSリミックス プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


別段ゲームに限った話ではないが、ある種の楽しみ・快感は言語として他人に伝達を試みようとすると消滅してしまう事がある。
それがゲームの話なら、特にそういう事態に多々直面する。ましてやり込み系のRPGならば尚更だ。
互いが特定の方向に偏ったゲーマーでもない限り、「エンテルクミスタ7回反射!」「天老剣ゲット!」「村正二刀流!」「法院保護区50%到達!」とか言われても、聞かされている方は勿論言っている方も醒めてしまう事だろう。
元々がそういうゲーム故に、この『エルミナージュDS』の面白さを文章化するのは至難と思われるが、まあ出来るところまでやってみたい。

『エルミナージュDS』は、『Wizardry』の流れを忠実に汲む、3D迷宮探索RPGである。
ゲームの目的は、世界に散らばってしまった5つの指輪を探索・発見し、世界に再び秩序をもたらす事である。
ただし、『Wizardry』の流れを汲むと言うのは伊達ではなく、手段が目的にすりかわる事など日常茶飯事。当初の目的を忘れるという者どもも少なからず存在する。
『Wizardry』でもそうだったように、ラスボスを倒すより当初の目的を達成するより、キャラクターの鍛錬やレアアイテムの確保の方に夢中になる事もまた一興であろう。

ゲームバランスは勿論シビアである。やり込み度合いだって当然のように底なしに近い。ついでに自由度もかなり高いために次に何をすべきか迷う事もよくある。
言っておくと、一応限界のようなものはあるらしい。しかしその境地まで辿り着く事は通常の真っ当なプレイでは不可能な段階にある。所謂チートを用いるなら別だが。
だがコツを掴み、世界に向かって踏み出した時、そのシビアさと底なし度合いは素晴らしい冒険のフィールドと化す。あとは各々でプレイスタイルを構築するのだ。
これを自己満足と言うには当たらない。それを言ってしまったら総てはお終いだ。ゲームがお終いという意味だけでなく生きる意味すら失う事だろう。

ユーザーによって合う者たち・合わない者たちが徹底して分別される事請け合いのゲーム。適性のない者たちには嫌われる事もあるが、ハマる者たちには至高のゲームに近い存在として輝きを放つ。
この弱点は即ち長所である。ゲームとしての弱味と強味が表裏一体と言えば近いだろうか。毒は薬であり薬は毒である。
欠点として幾つかのバグの存在が確認されているが、致命的なものは少ないし回避も比較的簡単。ただし知らないと回避も出来ないので、攻略サイトを参照しておこう。
『Wizardry』系のゲームに強い興味がある、または好きだと言うならば一度は触れておきたい。ただしそうではないならば、慎重に情報を集め分析し、熟慮してから手を出す事を推奨するものである。


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