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光の4戦士 −ファイナルファンタジー外伝− プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


キャッチコピーは「古き良き王道RPGを今の技術で」らしいロールプレイングゲーム。
良く言えば古めかしさとそれに附随する癖の強さを発揮している。悪く言えば多少取っ付きにくく敢えて不便にしているのではという面が見受けられる。
なお、タイトルには『ファイナルファンタジー外伝』とあるが、ファイナルファンタジーの一種という印象は殆どなく、寧ろ独立した一個の新シリーズとも言える出来になっている。

ストーリーは悪くはない。登場人物にブレはなく、何より全体として分かりやすい。あまり深みがないかもしれないが、強いて単純化したのだろうか、という読みも出来る。
主役級キャラクターの個性もはっきりしていて矛盾がない。個性は押し付けがましくない程度の段階に留められ、キャラクターに対する感情移入もやりやすいと思われる。
ただ一つ言わせてもらえれば、主役級の4人が中盤終わりあたりまで各々勝手に行動するため、4人揃って行動するのは終盤に入ってから、というのが欠点と言えば言えるかもしれない。

クラウンや宝石による強化、AP制戦闘などのシステム面についてはここで述べる事は割愛したい。詳しく知りたいと言う人には陳謝する。
代わりにその体感性やら使い勝手に付いて述べてみたい。多少長文であるが、御容赦いただきたい。
まず宝石で実行されるクラウンや武装のパワーアップ。実務的に取り組むなら、最小限かつ効果的に的を絞って行われるべきである。
序盤・中盤は宝石を使う機会自体が多くない。クラウンの数は少なく武装強化も+9が限界、そもそも最高位の宝石・ダイヤモンドが入手出来ない事もある。だから下位の宝石を換金する余裕さえあるだろう。
問題は終盤になってから。クラウンが一気に増える上、ランダムダンジョンで手に入る「オリハルコン」なるアイテムを武装強化屋に渡す事により、理論上は+99まで武装を強化出来るようになってしまう。それはいいのだが、クラウンにしろ武装強化にしろ、もし極めようとするのならべらぼうな数の宝石が必要となる。やるのは現実的ではないだろう。だから的を絞るべきなのだ。
次に戦闘。このゲームにおいて最も重要と思われる要素は、盾の装備による属性防御と断言しても問題ないだろう。何しろ受けるダメージが相当違ってくる。特に序盤から中盤のパーティーメンバーが少ない時期は非常に重要。
こう書くと面倒臭そうだが、ボス相手ならともかくザコ相手にならそんな気にする事でもない。攻撃属性の見切りも、敵の攻撃の際のエフェクトで簡単。あなたがボス戦前でもセーブしない、というチャレンジャーでないならそんなに難しい事ではない。
属性攻撃という要素もあるが、こっちはそれ程重要視しなくとも良い。相手の弱点を突けるなら望ましい事だが、敵の属性は見ただけでは分からない(見た目通りの弱点を持つものもいる)。それに耐性属性、という概念もある。
別に難しい事ではない。基本的には強い武器を装備しておけば問題ない。与えられるダメージがあまりに小さく勝てないのなら、武器を変えるかレベル不足かだ。
APに付いては、慣れるのが一番。攻撃や回復の目標指定が出来ないとかも、実は別に気になる程でもない。慣れる事だ。
そしてクラウン。要はジョブと言うか、まあそんな感じ。数は多いが実務的なクラウンは限られているので、恐れる事はないだろう。いつでも変更出来るし変更のペナルティもない、クラウン特有の武装とかもないので安心。
クラウンによる違いは、クラウン特有のアビリティ、そして細かなパラメータ。武装と同じく、臨機応変に使い分けていくのが一番。あるクラウンが特に使える、というような事は基本的にはない(有難みのないクラウン、というのはあるかも)。
敢えて挙げるなら、商人・精霊使い・狩人・学者・勇者あたりだろうか。断っておくが使用を推奨するものではない。
長々と述べてきたが、大体こんなところだろう。長文失礼した。

弱点は特にない。ただ欠点は多いかもしれない。さっき述べたストーリー的な欠点、やり込み要素の強さ(良い点と表裏一体)、終盤におけるゲームバランスのおかしさ(これは弱点とも言えるかも)、などが挙げられる。
コンプリートを目指そうとすると非常に手間暇が掛かるのも難儀。主に宝石稼ぎやらランダムダンジョンやら。まともにやればレベル99でのカウントストップは間違いなし。
しかし概ね軽快にプレイ出来るという点は大きな長所であり欠点を補う。総合的にはギリギリながら良いゲーム、と言えるのではないか。

スクウェア・エニックスの新作ゲームとして充分に評価出来る出来。別にファイナルファンタジーの外伝として出す事もなかったような気さえする。やるのなら寧ろこれを『ファイナルファンタジー13』として出すべきだった、というのは暴論であろうか。『ファイナルファンタジー13』の出来は知らない。
ただ、癖の強いゲームであり、その意味では『ファイナルファンタジー』系らしいな、と思う事もある。
全面的に、諸手を挙げて、このゲームを支持する事は出来ないが、お薦めする事ならなんとか出来る。それも広いユーザー層に。


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