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くまたんち プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


ライフシミュレーション。現実時間で2週間、ツキノワグマの擬人化女の子「くまたん」のお世話をするゲームである。
「くまたん」という萌えキャラっぽい名前からして抵抗を感じる方もおられるかもしれないが、ふふ……すぐに慣れる……。
まあ実際萌えキャラと言えるのであるが、それにしてはやや低俗、というか品のないところもある。アイドルだってトイレには行くのよ、みたいな。

シミュレーションの極意は管理のキメの細やかさ。このゲームにも当然それが当て嵌まる。
最低限のお世話としては、くまたんが餓えない程度に食事を与えるだけで良いが、それだけでは本当に最低限であり、面白味がないと言えよう。
くまたんを可愛がる(一般的な意味で)心があれば自ずと、くまたんの好感度は上がるだろう。
更にそれに加え、芸を仕込んで披露する面白さもある。お金を稼ぐ面白さがある。家具などのアイテムを揃える面白さがある。イベントを体験する面白さがある。写真を撮影する面白さがある。
というように、面白さの幅はかなり広い。だが基本はくまたんを可愛がる事である。それこそがこのゲームの醍醐味と断言しよう。

資金を稼ぐには2つの方法がある。くまたんの芸を披露するショーでの収入、そしてくまたんの日常を写真撮影してその写真を売るという2つである。
芸は日頃の鍛錬で修得できる。最大で5つまで。複数の芸を覚えるよう登録しておくと、大体万遍なく練習するようだ。逆に言うと未熟な芸に集中したりする事はない。
芸はレベルが高い程失敗の可能性が少なくなるが、最高レベルの3でも失敗する時は失敗する。大雑把な感覚だが、レベル2ならもう大体大丈夫なはずだ。
写真撮影はくまたんの位置取りとタイミングが重要。適当に撮ったら安い値段でしか売れないが、良い写真が撮れるとかなりの値段で売れる。
良い写真が撮れたら、それを保存しておく事も出来、2倍面白い。

お金を稼いだら物を買おう。貯めておいて悦に浸る、というのもありではあるが、別に意味はない。使ってこそのお金だ。
お金の使い道としては、おけいこ道具、そして食事・家具・リフォームと幅広く買っていきたい。最も後回しにして良いのは遊具である。
しかし男なら(女でも一向に構わないが)150万円する最高価格アイテム・土管を購入してみたいものである。勿論そこへ到達するまでの道は険しい。
まあ初回プレイでは避けておいた方が良いだろうが、土管はnintendoらしいアイテムでありいつかは必見の事。
買える物はゲーム進行とともに段々増えていく。お薦めは高級カメラ。どのタイミングで写真を取れば良いかが分かり、見ているだけで飽きない。勿論実用的でもある。

イベントは単発のモノだけでなく、日を跨いで発生するモノや、特定の日だけ発生するモノがあるようである。
ゲームスタートを0時として、その午前と午後で幾つかのイベントが発生するもよう。ただし見るためには少なくとも30分程はくまたんの様子を見てやる必要がある。何故ならイベントは芸と芸の練習の狭間で発生するからだ。
なお、ある日にイベントを見逃しても、後日幾らかは挽回出来るようである。ただしそれなりに時間が掛かる。

くまたん以外のキャラクターも良い味を出している。当然とも言えるが、周りに誰かがいなければ星は輝かないであろう。
と言っても周りにいるのは一癖も二癖もある奴らで、もしくまたんが主役でなかったら或いは主役に……と言うのは言い過ぎか。
くまたんに喰われる(カニバリズム的な意味で)フラグが立っているらびたん、まともなように見えるが変質者のねこくん。
ダークフォースを隠し切れてないと言うか隠す気が薄いように見えるうしのおねえさん、ストレートなスケベじいさんのさるじい。
一番の萌えキャラ? 莫迦野郎! とらのおねえさんに決まってるだろ!? だが異論は認めよう。

ゲームとしての弱点は特にないと思われる。強いて言うなら現実時間で2週間掛かるという事かな。どんなに頑張っても進みが早くなる事はないし、ゲームエンドまで必ず2週間掛かる。
せっかちな人や、この手のゲームが合わない人にはこれがかなり苦痛になる事だろう。そういう方は事前に情報を集めてこのゲームを回避してもらいたいものである。
ちなみに期間である2週間を終えればフリープレイに移行する。今度は期間がない。良く言えばずっと、悪く言えば延々プレイする事になる。
私個人としてはこのゲームに高い点数を上げたい。ゲーム性・グラフィック・音楽・センス、どれも実に良いと思う。
生き急ぐこの世の中、こんなゲームがあって良かったと思うゲームであった。


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