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少女魔法学リトルウィッチロマネスク アリアとカヤと黒の塔 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


色気らしきものは随所に見受けられるが、血の表現や過剰な艶気がないのに、CERO Dというのも変な話。
まあそれはさておき、ボリュームたっぷりの育成シミュレーションである。しかし些かボリュームが多過ぎるきらいがあり、とても精神力を使うゲームでもある。
育てる対象は2名の女子。性格は普通の枠を出ない普通の子である。個性はしっかりしているが、主役でなかったら影は薄い方だろう。
サブキャラクターも豊富で、男女複数が登場する。極端な性質の者はおらず、常識人が多い。兎角変な連中が溢れるこの御時世、良識を保つのは良い事であろう。
育てる期間は3年間。1年が13ヶ月あり、年末に試験が実施され、これをクリアしないとゲームオーバーになる。

難易度はそんなに高くはない。だが1回で総て極められる程に甘くはない。完全を期した私の初回プレイ、クエスト・魔法・ディプロマ総てを揃えてもなおイベント達成率は46%に過ぎなかったのだから。
育成シミュレーションではあるのだが、システムは一風変わっており、パラメータの上昇よりも魔法を修得させる事が主眼になる。ある程度のパラメータがなければ魔法は修得できない。そのパラメータは主にクエスト(依頼)という手段で補う事になる。
魔法を習熟させていく事によって、期末試験が確実に取れるようになったり、クエストでの魔法成功率が上昇したりする。
システム上、全魔法の修得は事実上不可能。魔法取得は簡単なのだが修得は用意ではない。完全を期すには3年という時間は短過ぎる。また、パラメータも通常授業では上がり幅が小さ過ぎる。
だからパラメータを上げる事に血道を上げるタイプの人にとっては、物足りないというか期待外れに終わるかもしれない。

弱点・欠点として挙げられるのは……テンポが悪いという事がまず挙げられる。もう少し処理を高速化しても良かった。
具体的には平日の訓練の時などで、魔法を使った時のエフェクトが反応悪いとか、クエストで場面切り替えが1テンポ遅れるとかそういったところが宜しくない。
また、週始めや終末には、ミニイベントというか会話場面が殆ど確実に入る。これによって単調な日々を解消しようという狙いだったのかもしれないが、だれる程に量があり、大体スキップしてしまう。
折角面白い会話とかが混ざっているのに、それすらもスキップさせてしまわせる気にさせる事は残念である。
他にも、セーブ/ロードに時間がやや掛かったり、ゲーム開始までのメーカーロゴが鬱陶しかったりとかという点が挙げられる。

明らかにマルチエンディング・複数回プレイを意識されて作られたゲームではあるが、正直言って1周回するだけで相当時間も手間も掛かる。
余程の暇人でなくては総てを極めるなどという事は……いや、このゲームの総てを極められる者がいるとは思えない。それくらいボリュームがある。
でも、人は私の予測など容易く超えるからなあ。ひょっとしたら既に極められているのかもしれない。
いろいろとかったるいゲームではあるが、画の質は高いしシナリオも良いし、誉めるべきところも多い。
一種独特のゲームなので、プレイの際は注意と覚悟が必要であろう。ただ、メーカー『リトルウィッチ』のファンなら迷わず購入だと思う。


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