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メダロットDS(カブトVer.&クワガタVer.) プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


ロールプレイングゲーム。一部のゲームファンやゲームマニアの間では好評なシリーズであり、そのシリーズとしては8年ぶりの新作らしいが、それはゲームの評価にはあまり関係ないだろう。
私の見た限りでは、コミカルな見た目と雰囲気に反して、その実はプレイが実にしんどいゲームである。
ある程度の計画性と地道な努力を必要とする。野放図に進めていると勝つべきところで勝てない。それどころか綿密に進めていても準備不足だと勝てない事もしばしばある。
とっつき易さと面白さは確かなのだが、このゲームは根本的にはユーザーに優しいゲームではないと言えよう。逆に言えば、メーカーからのゲーマーに対する挑戦と受け取る事も出来る。

このゲームはどういうゲームかと問われれば、人型ロボットの対戦ゲーム、と答えればいいだろう。大雑把な答えであるが間違ってはいない。
「メダロット」なるロボットをいろいろな者たちと戦わせる事が総ての基本。バトル(これを「ロボトル」という)は最大3対3で行われ、相手のリーダーメダロットを破壊すると勝ち。判定勝ちあり。
メダロットのパーツは頭、右腕、左腕、脚部に分かれており、これに頭脳にあたる「メダル」を搭載してメダロットが起動する。
パーツは改造やレベルアップなどはないが、メダルはそのメダルに適した行動を何度も取る事で、スキルがレベルアップしていく。
詳しくは直にやってコツを掴むのが一番であろう。というかそれ以外にはあり得ない。マニュアルにはアドバイスも書いてはあるが詳しくはない。とにかくやるしかあるまい。

ストーリーはせせこましいのか、それとも壮大なのか今一つ分かりかねる。ご近所を冒険するだけかと思いきや、とんでもない場所に行っちゃったりするし。
しかし難解なストーリーではなく、寧ろ一本道で分かりやすい。心情描写なども丁寧だし、途中の謎な部分とかも進行で解消される。
情報を収集するところによれば、過去のシリーズを知っているとニヤリと出来る箇所や人物の登場があるらしいが、知らなくともなんら問題ない。

さて、このゲームはタイトルからも分かるように、2つのバージョンに分かれている。2バージョンの相違点は主人公の相方メダロットを筆頭に、登場するメダロットの違いが主なところ。
勿論出て来るメダロットが違うと言う事は、収集出来るメダロットのパーツも違うという事を意味する。
2本のうち、どちらが攻略が楽か、という事はないと思われるが、強いて言うならばゲーム開始時から射撃を得意とする『カブト』バージョンの方が多少は楽か、程度。
とは言え、このゲームは最初に言った通り、計画性が大事なゲームである。完全クリアを目指すためには、最初の一周プレイは捨てるくらいの覚悟はいるかもしれない。
セーブ領域は3つもあるので、途中で失敗したならば思い切りよく最初からプレイ、というのも一つの手であろう。

率直な話、このゲームは何も考えずに努力していても報われないと言ってよかろう。そんな甘いゲームではないのだ。
一応のクリアだけでも、下手を打つと出来ない可能性がある。「出来ない可能性がある」と言うか、「出来ない」とまで言えるかもしれない。
クリアのためには忍耐の心がいる。当然計画性も欠かせない。総プレイ時間はこのゲームの総てを理解した上で、ざっと見積もって……最低でも30時間くらい欲しいかな。
こんな事を言うとまるで脅しているかのようだが、私が言いたいのは生半可な覚悟で挑むな、と言うそういう事であり、やるなと言うわけでは決してない。

繰り返すが、ゲームとしての総合的な面白さは確かである。ただし難易度は割と高いし、まとまった時間も必要だ。
欠点としては、バグが取り切れてない事が痛い。突発的なフリーズを始めとして、重篤なバグが幾つかある。回避するために攻略サイトの参照を推奨する。
また、通信機能に対応しているものの、実際に通信が許可される時期がかなり遅い。そういう意味でも計画性は欠かせないし、ある程度先を見ておかねばならないだろう。
個人的な意見だが、私にはこのゲームが何故に2つのバージョンに別れているのか良く分からない。どうも分割の必要性がないように思えてならないのだが。
まあ、ざっとこんな感じである。決して楽な道ではないので、その辺を覚悟してからプレイしてもらいたい。


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