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真・女神転生 STRANGE JOURNEY プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


独特の世界観を持つ、『真・女神転生』正統シリーズの最新作。今作は今までのシリーズ中でも屈指のハードシリアスなストーリーを持つと見られる。
ストーリーは大まかに言うと、人類を破滅の淵から救うために組織された調査隊が、異界の極限的状況に挑戦し探索し乗り越えてゆく、というもの。
その情け容赦のない展開は実に厳しくそして熱い。今までに培ってきた『真・女神転生』の髄が凝縮されてモノになったような作品にも見える。

一方で『真・女神転生』シリーズらしいシステムも構築されている。当然と言えば当然ではあるが。
悪魔との会話・コミュニケーションに始まり、仲魔のレベルアップや強化、そしてLaw・Neutral・Chaosの三軸で構成されるスタンスとそれに基づくストーリー変化。
新要素としては、メイン・サブのアプリケーションを駆使する科学的っぽいデモニカスーツの存在、悪魔合体時に活用されるデビルソースなどがある。

はっきり言ってこのゲームは子供の方を向いていないと思われる。無理に対象年齢を固定するとすれば高校生……いや、中学生以上がターゲットだろうか。
まあ近頃の子供を詳しく知っているわけでもないので断言は出来ないが、ストーリーがまあまあ深いし残酷な表現だってある。そもそも緊迫感があるから。
子供にプレイさせたくないゲーム、というわけではなく、子供などにやらせるのは勿体ないゲーム、と理解していただきたい。

やり込み要素は多くてゲーム性はばっちり。エンディングは3パターンあるようであるし、二周目以降の特典も存在する。
悪魔の育成が単純作業ながらハマり易い。やはりどのゲームもレベルアップは麻薬的な面白さを秘めているもの。
余談ながら、二周目はいいデータを引き継ぐ事ができればかなり楽になる。ただしいいデータを残すために事前準備が必要となるが。カツカツでクリアするようではダメだ。

一味効かせたスパイスのようなものとして「悪魔パスワード」の存在が挙げられるだろう。言葉通り、悪魔のデータをパスワードにしたものである。
このパスワードを公式サイトなりネットなりで入手し、自分のソフトで入力してやればその悪魔のデータが手に入るという寸法だ。レベル制限こそあるものの勿論呼び出し可能。当然自分の悪魔の出力も可能。
これがまた地味ながらプレイヤー意識を刺激する。昔『ウイニングポスト』なるゲームで、育てた競走馬のデータをパスワード化して大会を開くみたいな事があったが、ほぼそれだ。

なお、このゲームを指して、同じくアトラス社が出した『世界樹の迷宮』と類似しているようだ、という者がいるらしいが、私から見ればその意見は的外れであるようにしか思えない。
確かに「3Dダンジョン探索型RPG」というジャンルは共通しているが、逆にそれだけが共通しているに過ぎない。他はだいぶ違う。
『世界樹の迷宮』と比べれば、明確な個性がある。ストーリーがあるし、主人公がいるし、その他にもシステム・ストーリーの構成・諸々が相当異なるし。

総合的にはかなりいいゲームと言えよう。ゲームバランスこそややきつめではあるが、乗り越えられれば非常に面白い。
そもそも『真・女神転生』シリーズに限らず、シビアなバランスのゲームはそれ自体が面白いのであって、もうちょっと易しかったなら、という要望は無意味であろう。
勿論無理してまでプレイする事はない、肌に合わなかったら投げ出せばよい。私は一ユーザーとしてこのゲームを支持するものである。


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