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オーディンスフィア プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


横にスクロールするタイプの2Dアクション。普通とちょっと違うところは、円状というか筒状、いや円筒状になっており、端というものがないというところか。
1つのエリアをラウンドと言い、複数のラウンドの奥に潜むボスを倒せばステージクリアとなる。
アクションもメインであるが、もっとメインなのは緻密なグラフィックと厚めのストーリーであろう。ちなみにちょっと歌劇調。
ストーリーシーンはステージクリアさえすればアーカイブという形でいつでも見返す事ができ、感動のシーンや格好いいシーンを何度でもお楽しみいただけます。
まあそのためにはアクションでステージクリアせねばならないわけだが、そこは頑張ってほしい。

ストーリー面は良いの一言に尽きる。面白いし、BGMもいいし、ボイスが付いててしかも上手いし。キャラクターの表情や身ぶりの書き込みも良くできてる。
問題はアクション面である。難易度はやや難しい程度のレベル(調整可能)なのだが、同じ事の繰り返しにどうやってもなってしまい、だれる。
「同じ事の繰り返し」というのは、まず敵の使い回しが多い事。勿論、どんなゲームでもその傾向はあるが、このゲームはステージごとに「どこで」「どんな敵が」「どれだけ」「どういう風に」出てくるのかが決まっており、ランダム性というものが一切ない。
次に誰も彼も大体同じステージを回る事になる事。ステージの数自体が少なく、キャラクターによって順番の差こそあれど、回る事になるステージは同じようなものである。更に言うと中身まで同じである。違うのはストーリーだけだ。
そして全員やる事はほぼ同じであるという事。キャラクターごとに特殊な攻撃方法を持つが、基本は敵を倒してレベルアップ、食べ物を食べてレベルアップである。レベルアップ一切なしで突き進むクレイジープレイも一応可能になっているが、そこまでやるのは茨の道、と言うよりは狂気の沙汰と言えよう。
まあそんなこんなで、だれる。そのうち必ずだれる。幾ら勢いに乗ったとしても、5キャラクターもその勢いが続くわけはない。私のようにレベルアップが好きな人種なら尚更だ。

一応難易度調整ができるが、最低難度と最高難度の違いが分からない。恐らく敵のHPや攻撃力に差が出てるのだろうが、微妙な差な上に敵の攻撃パターンは一緒なのでよく分からんというのが正直なところだ。
はっきり言うと最低難度でも頭使わないとすぐにやられてしまう。ストーリーだけ楽しむなんて無理無理。コツを掴めばなんとかなる事が多いものの、レベルアップという基本は欠かせない。
とまあ、ストーリーだけを楽しむにはちと厳しいゲームに仕上がっている。まあそれができてしまったら違うゲームになってしまうが。

ストーリーの面白さは良く仕上がっているものの、5人分のストーリーは重なる部分も多い。また、1人クリアすると次の1人、というやり方はあまり良くないと思う。最初から5人のストーリーを自在に選べるのだったらもうちょっと飽きが来るのを防止できたと思うのだが。最初の1人分はチュートリアル的に許せるとしても、残り4人もそうであるというのは……。
重厚に見えて、その実、意外に薄いところのあるゲームである。良く言えばシンプル、悪く言えば単純だ。
それはこのゲームの良さにもつながっていると言えなくもないが、私の見る限りプラス面の恩恵を充分受けているとは言い難い。マイナス面が少し目立つくらいになっている。
気を長く持って地道にプレイすれば良いのだろうが、その前にだれて飽きてしまいかねない。実際私はそうなった。たまにプレイするにはいいゲームなのかもしれないが。
このゲームとは直接関係ないが、最近のゲーマーは軽薄になり、飽きが早くなってきていると言う。それは本当なのかもしれない。
自分がそうだったから全体に敷衍するというわけでは断じてないが、真理の一欠片は突いているのではないだろうか。


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