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ポケットモンスター X/Y プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


ニンテンドー3DSで初となる、ポケモンの正式タイトルの2作品、それがこれら『X』『Y』である。
ポケモンの根幹部分であるところの「収集」「交換」「対戦」は、3DSの時代になっても変わってはいない。アプローチの角度が変わっただけである。
しかしながら、今作、様々な意味で「不完全」であるような箇所が見え透いているように思えてならない。以下に、その思いと根拠を述べていってみたいと思う。

今作は言うまでもなく完全新作ではある。ただ、DSシリーズの過去作品を放棄したいのか継承したいのか、その意図が若干不明瞭である。
このソフトとは全く別個に、過去作のポケモンを今作へと送り込むための3DS専用のツールが当初から予定されていた、のではあるが。
主に製作者側の様々な都合により、そのツールに関して色々な問題が持ち上がったのは、或いは周知の事であるかもしれない。詳しく述べると疲弊するので、詳細は割愛する。
まず、そのツールがなければ、所謂「全国図鑑」完成は不可能、という点が第一の問題と言えよう。一概にそれが悪いというのではない、とはいえ問題であろう。
今までのポケモン、例えば『ホワイト2』『ブラック2』以前にもそういった問題はあった事は確かである。しかしそれを繰り返すというのはどういった了見なのか。

今作においては「パラメータ的に優秀なポケモン」を作り出す事が容易になった反面、ポケモンの「技」習得に関してはかなり後退している。
DSシリーズにおいて、その形と内容こそ作品ごとに若干の差異こそあれ、連綿と続いてきた「教え技」システムについては、なんと廃止と相成った。
揚げ足を取られないために言っておくが、この場合私が言うのは御三家専用技とか「りゅうせいぐん」以外の、一般的なそれである。
それの何が問題であるかというなら、戦術の幅が一般的には狭まる事、及び先程述べた過去作からのポケモンにはその制約がないという事に尽きるであろう。
今までのシリーズで出来ていた事が、今作に限って何故に廃止などという措置が取られているのであろう。憶測すら出来ないほどに理解不能である。

それとは別の事にも見えるが、一般的に3DSのソフトウェアからの特色として、ソフトのアップデートが出来るようになった、という事が一つ。
この今作も、既にアップデートがなされ、現在の最新バージョンは1.2である。つまり2回アップデートしているのであるが、それが問題なのではない。
今作、敢えて言うが、アップデートされる事を前提として出荷・発売されたのではあるまいか、という疑念がどうしても抜けない。
はっきり言ってバージョン1.0、即ち出荷直後のバージョンは、仕様とするにしてはあまりにも不完全であった。未完成とまでは言わない、しかし不完全であった。
ちなみにアップデートしない事のメリットは私の知る限り存在せず、アップデートをせずに今作を遊び倒そうという事は無茶とも言えるレベルである。

いろいろなところで痒い部分に手が届いていない出来。決して今作が駄作、などと言うつもりはない。とはいえ、どうしてこのような形で3DSのポケモンを完成させてしまったのか。
ただ、私には前提となる比較対象として『ホワイト2』『ブラック2』があった、という事は断っておく必要があるであろう。贔屓目を抜いても、あれらはかなり高い完成度であった。
だからと言って、今作を甘やかすわけにもいかない。世代変更などとは言い訳にもならない。ハードウェアが代わった、という事態も初めてというわけではないのである。
一言で言うなら「何故、今まで出来ていた事が今作から出来なくなってしまったのか?」という事である。他にも問題は若干あるが、大体この一言で片が付く。
繰り返すが、無価値なゲームソフトでは決してない。しかし、このあとの事、つまり続編や次世代の事も考慮すると、価値的には見劣りするのではないであろうか。

大まかながら以上をもって、今作を「不完全」と言う次第である。残念と言うより他にない。
個人的に最も言いたくない一言であるが、次回作に期待、としか……。
今までのシリーズと比べて、良くなった部分も存在しなくもないので、或いはこれを踏み台にして、次回作へと繋がる事を期待したい。


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