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世界樹の迷宮 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


いやはや、大したゲームが飛び出してきたものだ。
メーカーが違うが『ウィザードリィ』の正統後継といった感じのゲーム。この『ウィザードリィ』というのは勿論シナリオ1を指す。
流石は『真・女神転生』シリーズや『BUSIN』で名を馳せたアトラス、ダンジョン探索ロールプレイングの1つの完成型を示したのではないだろうか。
まあ、『ウィザードリィ』で既に完成している、という意見もありだと思うが。

『BUSIN』は「ウィザードリィ・オルタナティブ(Alternative)」と銘打たれたが、私のこの『世界樹の迷宮』こそが真に「ウィザードリィ・オルタナティブ」ではないかと思う。この表現は『BUSIN』を否定するものではない事を断っておく。
謎に満ちたストーリー、多様なキャラクター、スキルという形の自由成長性と戦術の模索、アイテム収集、強敵の撃破……諸々。
プレイヤーに試行錯誤が求められる厳しい作りになっており、工夫と努力が求められ、それでいて飽きさせない、絶望させない絶妙なバランス。そしてゲームバランスが崩れないように定められたリミット。
ゲームとしての完成度は高い。ちょっと厳しすぎないか、という一面はあるものの。

普通のファンタジー世界モノかと思っていたら、第5層で吃驚させられた。これがアトラスの発想力……!
最初は「ストーリーは薄めだな……」と思っていたが、とんでもない。
どんでん返しは逆に言えばオーソドックスだが、決まれば効果は絶大だ。
とにかくどんなにつらくとも第5層までは辿り着く事、それがこのゲームを購入した人の務めでさえあると思う。

欠点や弱点が特に見当たらないのも強みだ。難易度が高い、というのはあるが敷居は低い。
これまたウィザードリィより受け継がれたと思われるレアアイテム集めが思うようにならずにイライラさせられるが、これも弱点ではないし。
音楽もその場その場に適合しているし、効果音やエフェクトもしっかりしている。戦闘も小気味良いテンポで進む。
強いていうなら、敵とのエンカウント率がやや高いところが癪に触るだろうか? 終盤ではこれにかなり手間取ったものだ。

手放しで褒め讃えているようで、自分でも気持ち悪くて仕方がない。が、これらは間違った事を言っているわけではないので困る。
こんなに完成度が高いと続編を作るのに苦労する事は必至であろう。
これを超えるゲームはもうそんなに出ないのではないか、とまで思えて、いやそんな完全なゲームがあるのかと自分の精神が疑わしく思えてくる。
まあとにかく凄いゲーム。RPGファンになら絶対お薦めできる。けどちょっとマニアックなので、一般にはそれほど薦められないか?


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