戻る


世界樹の迷宮5 プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


大体4年くらいの沈黙を破り、まあその合間にいろいろ出てはいたが、『世界樹』シリーズのナンバリングタイトル『5』が遂に出た。
今作のサブタイトルは「長き神話の果て」。一見、意味を図りかねるそれではある。なお、ゲームクリアすればその意図は一応理解出来る。
当作『5』はなんと言うか、実直な、と言うか、『世界樹』シリーズらしい内容である。当たり前とは言えるものの、以下にその理由を述べていく。

今作は無論『4』の後継にあたるわけであるが、雰囲気的には『1』『2』の続編に近く思われる。ダンジョンに潜るだけ、サブダンジョン或いは大マップの探索とかもない。
勿論ボリュームダウンした、などと言う事は全くない。やり応えは充分にあるし、人によっては余計なギミックの廃止を喜ぶ向きもあるかもしれない。
システム面では、今作からキャラクターに10の「職業」の他、4つの「種族」が追加され、システムの一部として「転職」が用意された。
さらっと書くとその面白さを実感出来ないかもしれない。要は(単純に計算すればであるが)キャラクターメイクに今までの4倍の幅が出た、とも言えるわけである。
あと「職業」は総て一新されている。しかしながら今までのセオリーが通じなくなった、と言う事はないため心配はない。戦術の変更は当然ではあるが。

ゲーム自体の攻略には全く関連がないが、当作はキャラクターメイクの自由度、と言うかカスタム性の度合いが飛躍的に上がっている。
キャラクターは幾つかの外見から見目を選択するのであるが、「髪の色」「目の色」「肌の色」をいじる事が出来、またのちに「二つ名」を付ける事も出来る。
更に「声」もお好みで付ける事が可能。言うまでもないかもしれないが、どんな声を付けても良いし、または付けなくとも良い。

今し方「二つ名」と言うものが出てきたが、これは単なる名称ではない。キャラクターの強化に密接に関わるシステムである。
簡単に言うなら職業の進路と言うべきものであり、どう言ったキャラクターを目指すべきかがこれで決まる。逆に言うと、これを付けない事には強化自体出来ない。
一応デフォルトの二つ名も用意されているため、名付けに深刻に悩む事はないが、個人的には自分で二つ名を考える事を推奨する。いろいろと面白くなるから。
ここまで書いてきたように、当作では「キャラクターのキャラクター性の強化」が強く為されている。その他、例えばダンジョン探索などの部分は据え置きとなっている。
私としてはこれらを好ましい変化、及び好ましい維持と見る。ゲームの作り手側がこのゲームの長所と短所を良く理解していると捉えるためである。

さて、『世界樹』シリーズ恒例、を超えて最早名物とも言えるシステムのバグ・不具合は、今作でも無論健在。不名誉な事ではあるが。
致命傷レベルのバグはないと言えるが、余計なダメージを受ける前にアップデータを適用し、攻略サイトを参照してバグを回避するべきであろう。
また、今作はDLC、ダウンロードコンテンツが用意されている。内容は入れても入れなくとも良い程度のそれであり、その程度には好感が持てる。

弱点・欠点の類は特にないと思われる。先程も述べたように、良い意味で今まで通りであり、プレイヤー側の要求は充分に満たしている。
強いて言うなら、転職後のキャラクターグラフィックが転職前から一切変更出来ない、と言うところが不満ではあるかもしれない。逆に言えばその程度であるか。
また、今作、通常の難易度でやる場合、と言う但し書きは付くが、割と易しめ、と言うかサクサクと進み易いとも言える。あくまで「易しめ」であり、「易しい」ではないものの。
良く出来た納得のいく作りのゲーム。体験版もあるため、未体験の向きにもどう言ったゲームであるか説明は容易、適性も見極め易い。
5作目と言う事でその意味でのハードルの高さはあるかもしれないが、幅広い層にお薦め出来る。やり込みを求めるのならどうぞ。


戻る