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おきらくテニス3D プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


アークシステムワークス社の3DS『おきらく』シリーズ第2弾が早くも登場。その題材は「テニス」である。
Wiiの『おきらく』シリーズでもテニスはあったが、当然ながら操作感が大きく異なる……というよりは全く別物である。当然至極であろう。
今作ではキャラクター数が8人に増量、キャラクターボイスまで付くという豪華振りである。
その分、と言ってはなんであるが、挙動のおかしなところ(バグ的な意味ではなく)が多少存在する。以下にこのゲームの特色を述べていきたい。

基本は3DSのスライドパットを用いて移動、A・X・Yの3つのボタンでそれぞれ異なるサーブを放つ事が出来る。
左右の打ち分けはスライドパットで行い、前後の打ち分けはボタンによって行う。テニスの基礎である揺さぶりを掛ける事は充分に可能。
ある程度サーブを打っていると、スペシャルサーブを打つためのゲージが蓄えられる。ゲージを消費してスペシャルサーブを放てる。ただこれはあまり有効な手でもない。理由は後述する。
どれだけのゲームを先取するかといったルールはフリー対戦モードに限り変更可能。モードは勝ち抜き・フリー対戦・ミニゲームの3種類。ミニゲームは更に3種類。CPUの強さは初級・中級・上級の3段階が用意されている。

先に述べたようにキャラクターが8人に増量された。これは今までの数にしてこれまでのシリーズの倍である。
無論、各々の特徴は異なり、バランスタイプやスピードもしくはパワーに特化したタイプなど様々。
勝ち抜きモードを突破していき、上級レベルをクリアすれば、ギャラリーに使用キャラクターの一枚絵が追加されるというご褒美が用意されている。
また、フィールドであるところのコートも6種類用意されており、それぞれパフォーマンスが異なる。

さて、このゲーム、実は割と欠点も多い。まずは、対戦における相手を選ぶ事が不可になっている事。勝ち抜きモードで選べないならまだ分かるが、フリー対戦ですら選べないというのは……。
また、ある程度プレイが上達してくると、上級レベルでも全く物足りなくなってくる。更にCPUはたまに、ボールと反対側に動くといった奇妙な行動を取る事がある。貶すつもりはないものの、恐らくアルゴリズムがマヌケなのであろう。
そして、折角のスペシャルサーブがほぼ無意味な点も見逃しがたい。システム的にボールの落下地点が表示されてしまうので、スペシャルサーブと言っても多少強烈なサーブに過ぎなくなってしまっている。CPUにすら通じない事も多々ある。
ただ、以上の点を踏まえ推測するに最も大きい問題は、2人対戦が出来ないというのが最大の問題ではないかと思われる。プレイしていて思うのであるが、このゲームが2人対戦に対応していないというのは致命的ではなかろうか。

総合的にはやや残念な出来のゲームともいえる。初心者が楽しむ分には充分な面白さがあるとは思われるが、ちょっと上達するだけでもう物足りなくなってくる。
言い換えれば、底が浅い。『おきらく』シリーズは作品によって面白さに割とムラがあるが、今作はそのシリーズの中でも良い満足を提供するものとは思えない。
せめて、ダウンロードプレイとは言わないから、ローカルプレイ対応にしてくれればと切に思う。思ったところで詮無き事ではあるものの。
グラフィックは良いしボイス付きだし3Dだし、とゲーム本来以外のところは本当素晴らしいだけあって出来が口惜しい。まあ、次作に期待といったところであるか。


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