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ボクも世界を救いたい プレイ記念雑感

文:W.KOHICHI


ロールプレイングという土台に、アドベンチャーに育成シミュレーションを加え、更に箱庭的シミュレーションを加えたようなゲーム。制作・配給はポイソフトというメーカー。
シナリオモードで「勇者」を育成し、育った勇者はシミュレーションモードに放り込んで様子を見る、という寸法。
なお、このゲームの前作的存在として『王だぁ!』なるゲームがあり、それの遺伝子を色濃く受け継いでいる。無論、前作をやっていなくともなんら問題はないが、やっていた方がより世界観への理解が深まるだろう。

シナリオモードは、ストーリーをなぞっていく通常シナリオと、特に制約なく楽しめるフリーシナリオに分かれている。
手順的にまず通常シナリオを実行してクリアしないとフリーシナリオは楽しめないようになっている。どちらも一長一短あるが、強いて言うなら通常シナリオはチュートリアル的だ。

シナリオモードでの目標は、当然「勇者」になる事。通常シナリオではストーリーをなぞっていくだけで勇者になれる。フリーシナリオでは名声を上げる事で勇者への道が開ける。
通常シナリオにもクリアのための条件はあるが、フリーシナリオのそれに比べると易しい。基本的にはイベントバトルに負けてはならないだけである。

フリーシナリオの方が、難しいと言うよりは分かりにくいかもしれない。特に名声の上げ方。教会で祈る、イベントをこなす、といった手段の他に、自分のレベルと同等以上のダンジョンに挑む事でも名声は多少上がる。
勇者になるためには綿密な計画性が求められる。特に育成方針と装備の整備が肝要だ。より重要と思われるのは装備の方で、例えば防御力を重視するかパラメータアップを重視するか、物理型にするか魔法型にするか、という風に思慮が必要である。

ゲーム初心者や慣れないうちは、魔法をメインに扱う知力タイプにする事を目標に育てるとやりやすいかと思われる。
攻撃魔法は序盤から終盤まで威力が劣らず、また回復魔法も知力が低いと使い物にならず、さらにボスにさえ効く補助魔法はとても重要になるからだ。

主人公を物理攻撃タイプに育てるというのなら仲間の協力は不可欠だ。勿論魔法タイプでも仲間は不可欠だが、それ以上に欠かせないという意味。
攻撃と守備のどちらを重んじるべきかと言われたら、迷わず攻撃にかけるべし。パワーがないと敵に有効打を与えられない。防御力もそれなりに重要だが、まれに魔法で防御無視ダメージを与える敵もいるし。

最後になるが、スキルはゲームに慣れて、自動習得などである程度体得して、効果の程を良く理解してから手を出した方が良いだろう。
高い買い物になる上、事前説明が不十分なきらいがある。会得したスキル効果をメモしておくのもいいだろう。その上で選び抜いて体得したい。

さて、勇者の育成が終わったら、次はシミュレーションモードだ。これは育成済み勇者をいよいよ世界にデビューさせ、どんな風に動くかを眺めるものである。
シナリオをクリアすると、勇者の性格の骨付けが出来る。基本的に勇者はそれに従って動くようだ。
しかし、どんな性格にしようとも、泥棒に入って捕縛され装備を全部没収されたりするなど日常茶飯事。裏切りや暗殺なんて事態もしょっちゅう起こる。
ここら辺はCPUのなせる業とも言えるし、元々人間なんてろくでなしばかり、とニヒルに見ることも出来る。まあ、美しくはいかないものだ。
ちなみにこのシミュレーションモード、勇者の数は少なくとも7人以上くらいで臨みたい。あまりに少人数だと退屈なだけであるから。

欠点は特にないと思われるが、弱点はいろいろある。シナリオモードのセーブ領域が1つだけとか、スキルの効果が体得するまで分からないとか。 また、弱点とは違うが、このゲームの特筆すべき特徴として、正規の手続きをしてセーブして終わらないと進行中のデータは吹っ飛ぶというものがある。
つまり基本的に一発勝負を強いられるし、もし気に入らないイベントが起こったからといってリセットでもしようものなら総て御破算になるという事だ。これは実は想像以上にきつい特徴である。時として努力が報われない、思うようにならないというのは他のゲームでもよくある事だが、大抵のゲームはデータまで吹っ飛ばすほど非情ではないのだから。
いろいろな見解があるだろうが、ある意味ではリセット世代に対する警告的処置なのかもしれない。

と、まあそこそこに面白い。始めに言ったように前作『王だぁ!』をプレイしていればより楽しめる。
大体にして、『王だぁ!』の勇者は殆どがろくでなしだった。それを鑑みると、このゲームでの勇者の行動も納得はいかないにしろ、無理がないとも言える。
育成シミュレーションやアドベンチャーとしての面白さはあるので、興味のある方はちょっと手出しを……と言うには1000ポイントもするしなあ。まあ、無理にお薦めはしないものである。


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