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ポケットモンスター GTS指南の書

文責:W.KOHICHI



目次

0‐1.前書き
1‐1.基礎 - GTSの予備知識
1‐2.基礎 - GTSを始める前に
1‐3.基礎 - GTSに於ける傾向
2‐1.応用 - 手元の駒の揃え方
2‐2.応用 - 細やかなテクニック(1)絞り込み
2‐3.応用 - 細やかなテクニック(2)プレミアアイテム
3‐1.知識 - ダミーとトラップ
3‐2.知識 - 第4世代と第5世代のGTSの差異
3‐3.知識 - GTSネゴシエーションの際のエチケット
9‐1.後書き



0‐1.前書き

この文章は、ニンテンドーDSでのゲーム・『ポケットモンスター』シリーズでの機能の1つである、「GTS」に関する手引き、ハウツーテキストの一種です。
GTSとは、「グローバル・トレード・ステーション」の略です。Global Trade Stationのイニシャルを取って、GTSになるわけですね。
そのGTSとはつまりなんぞやといいますと、ニンテンドーDS初のポケモンシリーズ『ダイヤモンド』『パール』バージョンから実装された、ネットワーク回線を介し見ず知らずの人とポケモンを交換するための機能、ツールの一種です。
実装された当初から、いろいろと難点も多いながら、概ね好評に稼動してきました。無論の事、今でも稼働中です。DSシリーズでは総てのポケモンに実装されています。
しかし、これだけポケモンが人口に膾炙し、売り上げを伸ばしユーザーに好まれてきたにも拘らず、このGTSについての解説とかいったモノは殆ど見掛けません。あったとしても断片的です。
ないモノは仕方がない、という事ではありますが、では、僭越ながら私がその解説をやってみようと思いつきまして、この文章を書き起こす次第です。
未熟者の文章ではありますが、この文章を閲覧し何か得れるものがあれば幸い至極に存じます。

2012年 2月 5日 W.KOHICHI 記す


追記:
一部、文章を追記・改訂しました。
なお、この文章におけるGTSに関する事は、第5世代までのそれを念頭に置いております。
第6世代、即ち3DSでのポケモンのGTSには、この文章は100%対応しているわけではありません。
逆に、第5世代までのGTSには、その対応を保証するものであります。

2013年 9月 1日 W.KOHICHI 追加して記す


追・追記:
2014年2月27日、任天堂社は、2014年5月20日をもって、ニンテンドーWi−Fiコネクションサービスを終了する事を発表しました。
この事により、ニンテンドーWi−Fiコネクションサービスに依存する、DSでのポケモンのGTSも、時を同じくして終了する事となります。
それは即ち、この文章の価値はほぼ消滅する事を意味します。ここに書いてある事は技術として通用しなくなりますので、いずれはこの文章も取り下げるかもしれません事をご了承下さい。
なお、現時点で3DSでのGTSに関する文章執筆の予定はございません。あしからず。

2014年 2月 27日 W.KOHICHI 追加して記す





1‐1.基礎 - GTSの予備知識

いざ行かんGTS! ……と、意気込んでGTSに挑んだは良いものの、いろいろな壁に突き当たってしまう前に、ここで大まかにながらGTSの特徴などを説明しておきましょう。
まず、GTSには「ポケモンを預ける」「ポケモンを探す」の2つのモードがあります。この文章の記述は両モードに対応していますので、その辺りは深く考えずとも結構です。
さて、取り敢えず、GTSを効果的に利用するのは結構しんどいという事を知っておいてください。そう簡単にホイホイ交換出来るものではないのです。理由はあとで説明します。
GTSをなんのために利用するのか、という目的を予め立てておく事も重要です。ただ交換してみたいだけとかでも構いませんし、ビッグな交換がしたいとかでも構いません。
それと、ここが重要なところなのですが、ゲーム中で見たことのないポケモンはGTSの交換ラインに出てきません
プレイヤーが例えばミュウが欲しくても、ゲーム中でミュウを見たことがなければ、GTSでは要求すら出来ないという事です。
つまりゲーム中で集めた事のある、もしくは見た事のあるポケモンが多ければ多い程、GTSで交換出来る可能性は高まります。
第5世代から追加されたGTSネゴシエーションではこの条件は多少緩和されておりますが、この事に付いてはあとで詳細に述べましょう。
さて、GTSはまずは目当てのポケモンを検索する事から始まります。
とは言えここは苦労するところではありません。ポケモンの名前で50音順に並んでいるだけですので、ポケモンの名を知っていれば容易く検索出来ます。
ちなみにこの文章はポケモンの日本語バージョンにのみ対応しておりますのであしからず。
あとはダミーやトラップを乗り越えて(「ダミー」「トラップ」などの意味に付いてもあとで述べます)、目的のポケモンを交換出来るか、という段階のみとなります。
まあ、それが最も苦労するところですので、この文章ではそこを重点的に解説する予定であります。
では、まずはGTSを始める前に於ける、基礎と言いますか基本を、次項から述べていきたいと思います。



1‐2.基礎 - GTSを始める前に

等価交換」という言葉があります。説明するなら「釣り合った価値のモノを互いに渡し合う事」とでも言うべき事です。
英訳すると「トレード(trade)」となるでしょうか。或いはこちらの言葉のほうが馴染み深いかもしれませんね。
さて、ポケットモンスターというゲームにおいては、自分以外のユーザーとポケモンをやり取りする事は、つまりは等価交換、或いはトレードを実行する、という事を意味します。
ここで重要な事は、基本的には自分のポケモンと相手のポケモンの価値は釣り合っていなければならない、という事です。
ただ、ここで引っ掛かってはならない事として、その「価値」を判断するのは究極的には自分でしかない、事を念頭に置いてもらわなければならないのです。
例を挙げて説明しましょう。仮に、レベル1のイーブイとレベル50のラティアスが交換されたとしますね。
この交換は、一般的に見れば明らかに不釣り合いな交換と言えます。
イーブイは一般ポケモン、おまけにレベルが1。片やラティアスは伝説ポケモン、しかもハイスペック(それも所謂600族)、更に即戦力にもなれるレベル50。
と、まあ、一般的と言いますか、パラメータや希少性を考慮すると「釣り合っていない」わけです。
しかしこれを当事者の目から見ると、或いは事情は異なってくるのかもしれません。
例えばそれは、ラティアス側がイーブイがどうあっても欲しい、とか、或いは色違いのイーブイだった、とか、もしかしたらこんなラティアスは要らないと判断する程度のラティアスだった、とかです。
つまりラティアス側にすれば、相手がレベル1のイーブイであろうが、充分にラティアスと等価値であった、という事です。
まあこれは極端な例ではありますが、つまるところ欲しいモノがあるならその代償を払う必要があるという事ですね。
さてさて、それを踏まえて、GTSを実際に体験してみますと、まあなんて事、「等価交換」の意味を分かっていない方々の多い事多い事。
どこの誰が貴方のなんでもないポケモンをゲットするために超希少ポケモンを出すんだ……というような要求で、GTSは溢れています。
ですからこの文章を御覧の皆さまには、まず第一には「等価交換」という言葉を覚えておいてほしかったのです。

そしてもう1つ大事な事を述べておきたいと思います。早くGTSに挑戦したい気持ちは理解しますが、その前に第二のポイントを述べなければなりません。
科学的に、人間は損する事を非常に恐れる生物なのであるそうです。そういえば「これを買わないと損しますよ」というフレーズはしょっちゅう耳にしますね。
それは兎も角、これはどうやら人間のサガであるらしく、人種・民族を問わず通用する理論であるらしいです。
そして勿論、ポケモンの交換においてもこの理論が通用します。ある意味では「等価交換」よりも通用する理論であるとさえ言えましょう。
また例を挙げてみますと、自分のポケモンを、誰かのコイキングと交換したいと思うユーザーは極めて稀と言えます。
では、それは何故極めて稀なのでしょうか?
理由は幾つかがあるでしょうが、最も大きい理由としては、何にしろ自分のポケモンをコイキングと交換するのは勿体ない、という心理でしょう。
大体のユーザーがご存知の通り、コイキングのレアリティは最低レベルと言わざるをえません。そして大体のユーザーは、そんなポケモンとの交換を成立させる事を「損する」と捉えるのですね。
無論コイキングとの交換は成立しづらい、という事が言いたいのではありません。何故にコイキングとの交換は中々成立しないのか、という事の理由を考察しているだけです。
要はつまり、損しない・損させない、という事を念頭に置けば、交換成立の可能性はまあまあ上がるであろう事を意味するのです。
勿論、以上の2つを踏まえても、交換が必ず成立する、という保証を出す事は出来ません。
しかし知識ゼロで挑んで無残に失敗して時間を浪費するよりは、この2つを踏まえて交換に挑んだ方が格段に交換成功率は上がると思われます。誇張でなく。
この文章を御覧の皆さまに、スマートに交換を成立させてもらえれば、書き手の私としても文章を起こしたかいは充分にあるのです。
では、次は、GTSとはどういったところか、どういった要求があるのか、という傾向を具体的に見ていきましょう。



1‐3.基礎 - GTSに於ける傾向

GTSに於ける要求はかなり昔、少なくとも『プラチナ』時代から今に至るまで、一貫した傾向が存在します。それは「要求過大」の一言で片が付きます。
つまりはまあ、例えば上級ポケモンと下級ポケモンを交換せよ、というような要求が実に多いです。
これだけでは分かりづらいでしょうから例を挙げますと、「わしのコクーンをやろう。だからおぬしのスイクンをよこせ」といったような要求を意味します(あくまで一例です)。
或いは「私のレベル6のコリンクをくれてやる。代わりにキサマのレベル100のエンペルトをいただきたい」といったような要求を意味します(あくまで一例です)。
要は、喩えが悪いかもしれませんが、石ころと宝石を交換したい、というような馬鹿げた要求がはばかっているわけですね。
言うまでもない事かもしれませんが、こういった類の要求は大抵無視されます。勿論、貴方にも無視出来る権利があります。
故に、やるべき事は、かなり昔から今に至るまで、一貫して変わりません。妥当な交換を発見し、然るのちに交換するかを思考する、という事です。
とはいえ、そう簡単に妥当な交換が見付かるなら苦労はないでしょう。それにあまりに要求過大交換が多いため、多くの人々が入門に於ける時点で挫けてきただろう事も事実でしょう。
しかし、それが世間というものと見た方が正しいとも思われます。考えてみれば、ネット上にも良いものばかりが並んでいるかというと、そんな事はありませんよね。
だから、見る目を養い、良いものを見付ける努力を怠らなければ、必ず、妥当或いはそれ以上の交換は見付かります
ポケモンはゲームではありますが、GTSというものはコミュニケーションツールの一種であると考えてください。そもそもポケモン交換は人と人との遣り取りだったのです。ですから、安易に交換が成立するに違いない、という甘い考えは捨て去った方が無難かと思われます。



2‐1.応用 - 手元の駒の揃え方

ここからはいよいよ、GTSに於いて実際に交換を成立させる技術に付いて述べていくつもりです。
この章で述べる事は、GTSにポケモンを預ける・GTSでポケモンを探す、その両方で役に立つ事でしょう。
まずは、交換に際しどのようなポケモンが求められているか、言い換えれば喜ばれるかを分析しましょう。
妥当な交換を見付けて、交換したいとしても、その交換条件となるポケモンを持っていなければお話になりません。
とはいえポケモンの数は600種を優に超えます。どんなポケモンを用意すればいいか分からない……ご尤もです、ですがご安心下さい。求められているポケモンには、ある程度の傾向が存在します。
取り敢えず条件を挙げると、次のような感じとなります。

・「最初の3匹」
・捕獲が面倒、或いは捕獲が困難
・特定のソフトに於いてはレアリティが高い
・♀

では、どういうポケモンが求められているか、詳細に分析します。

「最初の3匹」……これはつまり、ゲームスタート時に手に入る、3匹のうちから1匹を選んで冒険に出掛ける、というあいつらの事です。よく「御三家」とか言われてますね。
具体名を挙げるとツタージャ、ポカブ、ミジュマルとかいった面々です。或いはフシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメといった面子ですか。
ポケモンをプレイすると1匹は必ず手に入るこいつらですが、正攻法で進む限りは逆に1匹しか手に入らないようになっており、どのポケモンも需要は高いです。
多少話が先走りますが、♀であるならばなお好条件です。「最初の3匹」はデータ的に♀が産まれづらい傾向がありますので。

「捕獲が面倒、或いは捕獲が困難」……これは単純に捕獲するのが大変な連中を指します。具体名を挙げるなら、ダンバルとかですか。
ポケモンは種類によって捕獲のしやすさに違いがあり、マスクパラメータ(隠しデータ)として、捕獲指数(非公式名称)というものが存在します。大雑把に言うと、これが低い程捕獲しにくいのです。
伝説・準伝説は一部を除き、数値「3」とかいう低い値が設定されています。これは非常に低い値です。伝説系ならそれもまあ納得は出来ますが、実はダンバルも捕獲指数「3」なのです。
これらはGTSの活用という本文章の趣旨からは外れますので、ここでの詳しい説明は省きます。要は並よりも捕まえにくいポケモンがいる、と理解すればOKです。
そもそも捕獲のしやすさはマスクパラメータですので、大体の見分け方としては「クイックボールで一発捕獲が難しいポケモン」がこの条件に該当する、と思っておいてください。
捕獲のしやすさとは別に、秘境とも呼べるような辺鄙な場所でしか捕獲出来ないポケモンも、ここに該当します。『ブラック』『ホワイト』におけるキバゴのような存在もそれです。

「特定のソフトに於いてはレアリティが高い」……主にバージョンによっては出現しない・或いは出現が珍しいポケモンを指します。代表的なポケモンとしては『ブラック』『ホワイト』におけるゴチムとユニランなどが挙げれます。自力でポケモンを揃えようとする者にとって高い壁となる存在です。
こいつらは入手の難しさに反比例するかのように数が多く、下手するとそこら辺の伝説系よりも厄介かもしれません。救いとしては持つ者にしてみればレアリティは高くもない、という事が言えます。
幸い、文明の利器とでもいうべきGTSのお陰でこれらポケモンの入手も比較的たやすくなりました。更にGTSネゴシエーションという新発明のお陰で入手は倍々でやりやすくなりました。
ただ、自分の手持ちのバージョンにしか登場しないポケモン、と言っても分かりづらい部分がある事は否定出来ません。こればかりは攻略サイトを参照した方が賢明でしょう。

「♀」……性別が♀であれば、タマゴによる繁殖が可能であり、従って♂よりも喜ばれる傾向があります。
メタモンさえいれば♂のみでも繁殖可能ではありますが、ポケモンでは「遺伝技」というものが存在するため、その取得条件を満たすためにも♀は喜ばれるのです。
また、♀が生来産まれにくいポケモンも存在します。御三家とかイーブイなどがそうです。逆に♂が産まれにくいポケモンや、片一方の性別しかいないポケモン、無性別のポケモンもいますが、そういう種族は今ここで述べません。
それとは逆に、遺伝技の関係で♂を求める向きも稀に存在します。しかしそれは本当に稀なので、まあ意識しなくとも大丈夫です。

最後に付け加えますと、交換用のポケモンは、以上の条件を踏まえた上で、タマゴから孵化させて用意した方が喜ばれるかもしれません。
勿論野生のポケモンをゲットしたものでも良いとは思われますが、たまにレベルを限定しての要求があり、それは大体低いレベルに限定されているようです。
故に、こういう言い方は好きではありませんが、繁殖用のポケモンを用意しておくと手駒が尽きず、かつ交換に有利でしょう。



2‐2.応用 - 細やかなテクニック(1)絞り込み

ここからは、GTSを利用する際に有効な、小技を紹介していきたいと思います。これらを活用する事で、闇雲に検索を繰り返すよりは多少、交換出来る可能性が上がるかと思われます。
それは「条件の絞り込み」です。といっても難しい事はありません。ポケモンのレベルや性別、トレーナーの居住地域などを指定するだけです。
「それくらいの事で……」と思われる向きもあるでしょうが、これをやるだけででも交換の効率が格段に上昇します。
GTSで無条件の下に出てくるポケモンは、恐らくはランダムで出るものと思われます。そして、それらポケモンは条件を絞り込まない限りは固定して出てきます。どんな無茶な条件ででもです。
ですので、まずは、性別の絞り込みだけででもやっておく事を強く推奨するものです。
では性別がない、或いは片一方、というポケモンや、性別を絞り込んでも出の多いポケモンの場合はどうするか……そこで地域の絞り込みです。
地域の絞り込みは、外国産のポケモンを入手したい、という場合だけでなく、交換条件を絞り込む場合にも有効なのです。ある国では無茶な交換条件ばかりでも、別の国では良心的交換条件があった、という事態も少なくありませんので。
ただ、居住地域情報を入力していないプレイヤーも多いので、万能というわけではありません。性別での絞り込みに比べると効率は落ちると言えましょう。
地域の絞り込みを行う場合は、人口の多そうな国を指定する事が基本となります。これは、人口が多ければそれだけポケモンプレイヤーも多いだろう、という推測に基づいたものですが、実際的にも人口の多い国を狙った方が効率が良いようです。
具体的な地域としては、日本、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツなどが挙げれるでしょうか。所謂メジャーな国名を指定すれば、それで充分以上の効果が得れる事でしょう。
逆に言えば、マイナーな地域を指定しても、効果は殆ど得れません。具体名を挙げる事は恐縮ですが、アンティグア・バーブーダ、ガボン、マルチニークといった地域を指定して、効果が得れるかは甚だ疑問です。
また、レベルの指定は無視しても構いません。これは元々そのレベルのポケモンが欲しい場合に活用する機能であり、単に交換したい、という場合にはあまり有用な機能でもありませんので。
言うまでもないかもしれませんが、これら絞り込みは、複数の条件を重ねて絞り込む事でより効率が上がります。性別と地域を組み合わせて検索すれば、交換の可能性は更に上がるでしょう。
とはいえ、あくまでも、交換の効率と可能性が上がる、のであって、交換に直結するわけではない事は理解しておいてください。



2‐3.応用 - 細やかなテクニック(2)プレミアアイテム

この章で述べる事は、普通にGTSで検索をする際にはあまり有効ではありません。逆に言いますと、GTSにポケモンを出す、もしくはGTSネゴシエーションを使う際に有効な技であります。
その内容はまたしても簡単な事で、ポケモンにアイテムを持たせて交換、それだけです。
想像してみてください、GTSで同じポケモンが同じ要求で並んでいたとして、片方はアイテム持ち、片方は手ぶら。貴方だったらどちらを選びますか? ……まあ、そういう事です。
つまりアイテムを持たせる事によって、お得感をかもし出す、という感じです。ただし、この技はあくまで補助、いわば援護射撃です。決定的な要因ではありません。
しかしながら、単にポケモンを放り出すよりは、幾ばくか交換効率が上がる事もまた事実であると思われます。出来るだけで構いませんので、アイテムを持たせて交換に出してやるのも良いでしょう。
とはいえ、その持たせるアイテムに少々コツがいるので、そこを説明していこうと思います。
求められているポケモン同様、求められているアイテムといったものが存在します。傾向としては、次に挙げるような感じです。

・レアなモノ
・ある程度有用なモノ
・非売品

分かり易い条件、のようにも見えますが、実際にはちょっとだけ面倒です。詳細に解説していきましょう。

「レアなモノ」……大体、入手が難しいモノ、と理解すれば間違っていません。とはいえバージョンによって各アイテムの入手し易さにも違いがあり、一概にこうだ、と言い切る事も難しいのが現実です。
例えばダイブボール。『ブラック』『ホワイト』以前では、限られた方法でしか入手出来ないレアモノでしたが、『ブラック』『ホワイト』になってからお店で購入出来るようになり、レア度が下がってしまいました。
しかしながらこれは極端な例であり、入手手段が限られたモノを想像しておけば大丈夫です。

「ある程度有用なモノ」……バトルで役立ったりする、そんな感じのモノです。しかし、ポケットモンスターシリーズで出てくるアイテムは大抵何かの役に立つものですので、頭に「ある程度」と付くわけです。
例えばキズぐすり。序盤でなら兎も角も、ゲーム全体を通すとこのアイテムが役立つ事はほぼありません。有用な事は確かですが、「ある程度」とは言い切れないわけですね。
線引きが難しいですが、ストーリー後半ででも現役で役立つ、そういったモノを想像しておいてください。

「非売品」……一般のお店では売っていないモノです。ですが、これもまた数が膨大です。全体的に見れば非売品の方が多い事でしょう。
あまりにその数がある上に多種多様、例を挙げる事が出来ません。ご容赦下さい。
基本的には、一般のお店で売っていないモノの方がレアリティが高い、と思っていただければ大体合っていると思われます。

これら諸条件を複数満たすアイテムは、より喜ばれます。マスターボールなどはその最たるものでしょう。
とは言うものの、先に述べましたとおり、これらはあくまでも援護射撃。事の本質ではありません。
しかし魅惑のアイテムを持たせたポケモンは、多少の無茶が効くのもまた現実。バランスを考えれば非常に高い効果が得られる事でしょう。



3‐1.知識 - ダミーとトラップ

ここからは、GTSに関した知識を述べていこうと思います。ポケモン交換というGTSの趣旨からは多少外れますが、知っておいて損はありません。
まずは、文章冒頭でも述べました、「ダミー」と「トラップ」という2つの落とし穴に付いて述べていってみましょう。
GTSでは聞き覚えのない単語だな、と思われる方が多いと思われます。それはそうでしょう、私の勝手な造語ですから。
しかし、その性質を考えると、こう命名する以外にないのもまた確かなのです。
では、「ダミー」から説明していきましょう。これは、交換条件が無理・無茶・無駄の3つを満たした、普通にプレイしている限りでは入手が不可能なポケモンを要求しているパターンです。
例を挙げますと、「レベル1のリザードン」などを要求してくるのです。一応解説しますと、リザードンはレベルアップによる進化後に始めて登場するポケモンであり、レベルが36未満のリザードンというのは存在しません。
厳密に言いますと、全く手段がないというわけでもないらしいのですが、ではどういう手段があるのかと言えば、それは「データ改ざん」、つまり改造によるものでしかありません。
つまりは「交換出来ない」要求、それが「ダミー」です。検索の際に邪魔にはなりますが、無害でもありますので無視に限ります。
次に、「トラップ」について説明しましょう。これは、相手の出品しているポケモンが、その種族と姿が違うポケモンである事、即ち改造したと思われるポケモンであるパターンです。
例を挙げます。ここからが重要なのでよく読んでください。
こちらが「コラッタ」で検索を掛けたとします。すると、種族名は「コラッタ」、名前は「ダークライ」、姿は「ダークライ」というポケモンが出品されていたとしましょう。
つまり、「ダークライの皮をかぶったコラッタ」とでも言うべきポケモンがいる、という事です。
どうやっているのか、までは分かりませんが、改造の結果であるらしい事は分かっております。これが「トラップ」です。
対処の仕方も分かっています。それは「徹底的無視」に尽きる、という事です。この手のプレイヤーは結構な確率で交換可能なポケモンを要求してくるのですが、その要求に応じてはなりません。断じて。
迂闊に要求に応じた日には、それだけでこちら側も「違法改造プレイヤー」の汚名を着せられる可能性すらあります。繰り返しますが、絶対に要求に応じてはなりません
幸いと言うべきか、両方とも、こちらが無視している限りは無害ですので、どちらのパターンであれ、無視するに限ります。というか無視しましょう。



3‐2.知識 - 第4世代と第5世代のGTSの差異

唐突に「世代」などという単語が出てきて混乱する向きもあるかもしれませんが、大した事ではありません。
或いはご存知の通り、ポケモンは『ブラック』『ホワイト』になって、かなりの革新が加えられました。この革新を世代の革新とみなし、次の世代という風に扱われている、そういう話です。ちなみにこれは私の造語ではありません。
故に、『ブラック』『ホワイト』は、第5世代、という扱いになっています。ただし、これは公称ではなく、あくまで通称という事は覚えておいてください。
対して、『ダイヤモンド』『パール』『プラチナ』『ハートゴールド』『ソウルシルバー』は、第4世代という扱いになっています。
この文章はあくまでGTSに付いて述べる事が目的ですので、ここでは世代による差異に付いて詳しくは述べません。興味のある方は各自でご調査くださいませ。
さて、第4世代と第5世代には、GTSのシステムについても微妙な差異があります。あまり大きな違いもないのですが、第5世代のGTSを使ったあとに第4世代のGTSを使うと吃驚するかもしれませんので。
変化した要素というのは、大体次のような感じです。

・検索結果の減少無し
・GTSネゴシエーションの追加
・通信システムの安定化(?)

このうち、検索結果の減少無し、というのが分かりづらいと思われますので、解説したいと思います。
第4世代では、GTSの検索結果は、初期状態では3件しか表示されません。交換を1件成立させると検索結果は5件表示に増加、もう1件交換を成立させれば検索結果は7件表示(最大限)となります。以降は増えません。
更に、検索結果は日数の経過で減少、最終的には初期状態へ戻ります。再び検索結果を最大限にするには、また交換を成立させなければならないのです。
何故にこのような害あって利なしとでも言うべきシステムを採用したのか皆目不明ですが、兎に角そういうシステムが採用されています。
このシステムは第4世代のみで廃止され、第5世代では初期状態から最大限の検索結果が出るようになり、検索結果の減少という事もなくなりました。
しかしながら、DSで5つの作品を含む第4世代に、この面倒なシステムが採用されている事もまた事実です。効率は悪いですが、なんとか付き合っていくしかありません。
今まで挙げてきた交換の際の知識と技術を駆使し、まずは最初の1交換を目指してください。こちらから交換を探さずとも、ポケモンを出品して交換が成立するのを待つのもまた技術の1つでしょう。
ですので、第5世代のGTSを経験したあと、第4世代のGTSに触れて「これ、表示がおかしい! バグ?」とか思わないように注意が必要です。
とはいえ、寧ろその思考は正常であり、どうしてこういったシステムを採用し、しかも第5世代まで改善されなかったのか、そちらの方が疑問ではあります。
その他には、GTSネゴシエーションがない、という事くらいしか差異はありません。基礎部分は共通しているので、コツを掴んでいれば馴染むのに時間は掛からない事でしょう。



3‐3.知識 - GTSネゴシエーションの際のエチケット

この章では、第5世代から加わった新たな交換の形、GTSネゴシエーションに付いて、及びその際のエチケット、マナーに付いて述べたいと思います。
GTSネゴシエーションについて簡単に述べますと、特定の誰かと1対1でポケモンの交換交渉を行う、それがGTSネゴシエーションです。ネゴシエーションとは大体「交渉」という意味です。
とはいえ、GTSネゴシエーションというシステムは、ポケモン交換に於ける人間のモラルの問題をより露骨に現すシステムでもあります。
しかしながら、GTSネゴシエーションは、GTSでは入手の難しいポケモンや、リストアップされないこちらの知らないポケモンをゲット出来る機会でもあります。
つまりはハイリスク‐ハイリターンという事です。GTSとはそこが最も異なります。
このGTSネゴシエーションにも、今まで述べてきた交換のための技術や知識はある程度通用します。ただし、「ある程度」です。過信は禁物です。
ぶっちゃけた話、GTSネゴシエーションとは、顔の見えない何者かとの一騎討ちと思うのが最も正しい感覚でしょう。相手が敵対的と言いたいのではありません、相手も必死と思え、という事を言いたいのです。
そんな中にも、守るべきマナー、守った方が良いエチケットがあります。要点を挙げますと、以降のようになります。

・挨拶、礼を欠かさない
・確固たる意思を持つ

「挨拶、礼を欠かさない」……基本です。GTSネゴシエーションでも通じる、基本中の基本です。人としての基本でもあり、人とのコミュニケーションの基本でもあります。
しかし、その基本をないがしろにする方々も、結構な数がおられる事は、残念な事に否定出来ないのです。
ですが、故意に礼を失する方々は兎も角も、「挨拶の仕方が分からない」という方々のために、GTSネゴシエーションでの挨拶の仕方を伝授しましょう。
GTSでの礼の基礎は、中段ライン左端にある、黄色のスマイルマークを活用する事で始まります。スマイルマークをタッチして発動させる、という行動が癖になるくらいでちょうど良いかと思われます。
スタートと同時、交換成立後の仕切り直しの時などに活用しましょう。これだけで相手の心証が良くなるだろう事は請け合いであります。
次に重要なのが、スマイルマークの右隣の、青色のガッカリマークです。主に相手の提示したポケモンが不要な時、通信を打ち切る直前の時に活用すると良いでしょう。
ただ、絶対にやってはいけない事として、ガッカリマークを連打してはなりません。相手の心証が著しく悪くなるだろう事は請け合いであります。
残りの桃色のハートマーク、黄緑色のエクスクラメーションマークはおまけのようなものです。各自工夫して使うも良し、最初から無視するも良し、です。

「確固たる意思を持つ」……相手が人間であるからといって、妙な情けを掛けるような真似は感心出来ません。それを一般的には「お人好し」といいます。
勘違いされている方も多いのですが、お人好しという言葉は褒め言葉ではありません。寧ろその逆である事さえあります。
GTSネゴシエーションを利用すると、時には強引な駆け引きに直面する事もあるでしょう。その際、流されてはなりません。ガッカリマークを連打されようとも、断る勇気が必要です。
また、折角接続したからといって、無理に交換を成立させるような真似も感心出来ません。得るものがない、と見切ったらばそこで交渉を打ち切るくらいの度胸も要ります。
ただし、交渉を断る際に礼を失してはなりません。そこだけはくれぐれも留意しておいてください。

このGTSネゴシエーションでも言える事ですが、人によっては改造されているとおぼしきポケモンを何の躊躇いもなく出してきます。
警戒すべき相手の特徴としましては、次のようなパターンが見受けられます。

・色違いばかりを提出してくる
・伝説ばかりを提出してくる

これらに該当するユーザーを見掛けたら、礼を失しないようにしつつ、速やかに通信切断するのが賢いといえるでしょう。
また、改造ポケモンを用いないユーザーであっても、無礼極まりないような連中と遭遇する事も、GTSネゴシエーションでは良くあります。
その場合、腹立たしい気持ちは大変良く理解出来ますが、かといって怒ったところで何にもなりません。
悔しい気持ちは腹の底に納めて、犬に吠えられたようなものと思って、次の交換に向けて気持ちを切り替えましょう。



9‐1.後書き

長々と書き連ねてきた文章も、これで終わりであります。如何でしたでしょうか?
或いは、基礎的な事しか書いていない、と映るかもしれません。しかし、実際にGTSを利用してまず思う事は、如何に基礎的な事が出来ていない方々が多いのだろう、という事なのです。
ですので、敢えて、もしかしたら読者の皆さまに失礼となるかもしれない事さえも、分かりきっているような事さえも書き連ねた次第です。
この文章が、読者の幸多きGTSライフにつながるのであれば、この文章を書き起こしたかいがあるというものであります。

2012年 2月 5日 W.KOHICHI 記す




目次

0‐1.前書き
1‐1.基礎 - GTSの予備知識
1‐2.基礎 - GTSを始める前に
1‐3.基礎 - GTSに於ける傾向
2‐1.応用 - 手元の駒の揃え方
2‐2.応用 - 細やかなテクニック(1)絞り込み
2‐3.応用 - 細やかなテクニック(2)プレミアアイテム
3‐1.知識 - ダミーとトラップ
3‐2.知識 - 第4世代と第5世代のGTSの差異
3‐3.知識 - GTSネゴシエーションの際のエチケット
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